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OPECプラス有志国、3月までの増産停止をあらためて確認

~米国によるベネズエラ侵攻の影響は議論されず、当面の原油価格は上値の重い展開が続くか~

西濵 徹

要旨
  • OPECプラスの有志8ヶ国は、1月4日にオンライン閣僚会合を開催した。世界的な需要の弱さや原油価格の低迷を背景に、今年1~3月の増産停止をあらためて確認した。近年は市場シェア拡大を重視して増産を進めてきたが、経済の先行き不透明感や需給緩和を受け、価格維持を重視する姿勢へと軸足を戻した形である。背景には、制裁と原油価格低迷で収入減に直面するロシアの意向や、将来的な大規模供給過剰を見込むIEAの予測もある。一方、会合直前に米国によるベネズエラへの軍事行動が明らかになったものの、同国の産油量が低水準に留まるため、会合での主要議題とはならなかった。OPECプラスは市場の安定を重視する姿勢を示したものの、当面の国際原油価格は上値の重い展開が続く可能性が高い。

主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、1月4日にオンラインでの閣僚会合を開催した。有志8ヶ国は、昨年11月の閣僚会合において今年1~3月の産油量について増産を停止することで合意するとともに(注1)、昨年12月の閣僚会合においてもこの決定をあらためて確認していた(注2)。有志8ヶ国は昨年4月から、2024年に実施した日量220万バレルの自主減産を段階的に縮小するとともに、昨年9月に完全に解除するなど実質的な増産に動いてきた。一方、2024年末にOPECプラス全体として日量200万バレルの協調減産に加え、有志国による日量166万バレルの自主減産を2026年末まで1年延長することで合意したものの、昨年10月からは有志国による自主減産を縮小させてきた。こうした動きは、OPECプラスの生産計画が価格維持を重視する姿勢から、市場シェアの確保に重点をシフトさせていることを反映したとみられた。しかし、世界経済を巡る不透明感がくすぶり需要の弱さが意識されるなか、国際原油価格は頭打ちの動きを強める展開が続いており、OPECプラスは重点の再修正に動いてきた。有志国は今年1~3月の増産停止の理由に「季節性を考慮した」ことを挙げている。なお、例年においては北半球で冬季の暖房需要が高まる傾向があるにもかかわらず、近年は需給が緩む動きがみられる。さらに、足元の国際原油価格は昨年1~3月の水準をも大きく下回る展開が続いている。こうした事情も増産停止を後押しした可能性がある。

図表
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一方、有志国が今年1~3月の増産停止で合意した背景には、ロシアが水面下で各国に働きかけを行ったことが明らかとなっている。これは、ウクライナ戦争に関連して欧米などがロシアに対する経済制裁を強化させているうえ、国際原油価格の低迷も重なり、ロシアの原油収入は減少するなど継戦能力の低下が懸念される状況にある。さらに、IEA(国際エネルギー機関)は昨年末に公表した最新予測において、2026年の世界の原油市場が最大で日量409万バレルの大規模な供給過剰に直面するとの見通しを示している。こうした事情も、OPECプラスが市場シェアから価格維持に重点をシフトさせる一因になっているとみられる。よって、今回のオンライン会合においても、今年3月までの増産停止をあらためて確認した。会合直前には、米国がベネズエラに軍事侵攻してマドゥロ大統領夫妻を拘束するとともに、米国に移送して起訴したことを明らかにしたものの、会合ではこの問題に関する議論はなされなかったとされる。なお、ベネズエラの確認埋蔵量は3000億バレル以上と世界最大とされるものの、チャベス、マドゥロという歴代政権の下で原油資源の国有化が進められた結果、関連投資が抑えられたことで産油量は低迷している。その結果、足元のベネズエラの産油量は世界産油量の1%にも満たない水準に留まる。よって、会合でベネズエラを巡る問題が協議対象とならなかった一因と考えられる。その一方、足元ではイエメンでの内戦を巡ってサウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)の緊張が高まるなど、供給面での懸念要因はくすぶるものの、OPECプラスとしては市場の安定性を重視する姿勢をみせたと捉えられる。とはいえ、当面の国際原油価格は引き続き上値の重い展開が続く可能性がくすぶることは避けられないであろう。

以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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