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OPECプラス有志国は3月の増産停止確認も、4月以降は不明

~地政学リスクや世界の需給動向を注視しつつ、柔軟な需給調整を維持する可能性は高まっている~

西濵 徹

要旨
  • OPECプラスの有志8ヶ国は、2月1日のオンライン会合で3月の増産停止をあらためて確認した。有志8ヶ国は2024年に実施した大規模な自主減産を2025年にかけて段階的に解除し、増産に転じた。しかし、世界経済の不透明感による需要の弱さや増産の影響から国際原油価格は下落しており、2025年11月の閣僚会合では今年1~3月の増産停止で合意するなど、生産計画を再修正している。

  • 有志8ヶ国は「季節性」を理由に増産停止を継続するが、近年は北半球が冬季を迎える時期においても需給が緩む傾向がみられる。このところの国際原油価格は、イラン情勢を巡る地政学リスクを警戒する形で一時上昇したものの、価格水準は依然として前年を下回っており、様子見姿勢が維持された格好である。

  • 声明文では4月以降の具体的な生産方針は示されず、あらゆる選択肢を残している。需要見通しの下振れ懸念や、JMMCでも明確な指針が示されなかったことを踏まえると、OPECプラスおよび有志8ヶ国は、地政学リスクや需給動向を注視しながら、柔軟な供給調整を続ける可能性が高いと見込まれる。

主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、2月1日にオンラインでの閣僚会合を開催した。有志8ヶ国は、2024年に日量220万バレル規模の追加的な自主減産を実施した。しかし、2025年4月からこれを段階的に縮小し、9月に追加自主減産は完全に解除された。2025年10月からは、有志8ヶ国が実施する日量166万バレルの自主減産も段階的に縮小するなど、実質増産に動いてきた。こうした動きは、価格の維持を重視する姿勢から市場シェアの確保にシフトしていることを意図していると考えられる。有志8ヶ国が2025年4月から12月にかけて日量290万バレルの増産に動いたうえに、世界経済の不透明感が需要の重しとなったことで、国際原油価格は下落傾向を辿った。これを受けて、有志8ヶ国は2025年11月の閣僚会合で今年1~3月の増産を停止することで合意、生産計画の重点を再修正させている。その後も有志8ヶ国は閣僚会合においてこの決定を維持し、今回も「季節性を考慮した」ことを理由に3月の増産停止を確認している。例年は北半球で冬季の暖房需要が高まる傾向があるものの、近年は需給が緩む動きがみられる。加えて、トランプ米政権がイランに対して強硬手段も辞さない考えを示し、イラン情勢に対する警戒感を反映して国際原油価格は上昇したものの、昨年の同時期に比べて依然として下回る水準にとどまる。こうしたことから、有志国は増産停止による様子見姿勢を維持したと考えられる。

図表
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なお、会合後に公表された声明文では、3月の増産停止を再確認したことは示される一方、4月以降の生産計画に関する具体的な方針に関する言及はなく、有志8ヶ国としてあらゆる選択肢を温存していると捉えられる。事実、イラン情勢を巡る緊張の高まりを警戒して国際原油価格は上振れする動きをみせたものの、その後はトランプ米大統領がイランとの協議に動いていることを示唆したことで下落に転じるなど、不安定な動きをみせている。さらに、OPECによる最新の需要見通しでは、4~6月の需要が下振れする可能性を示唆しており、国際原油価格が上値の重い展開をみせれば、増産余地が制限されることも予想される。1日に開催されたOPECプラスの合同閣僚監視委員会(JMMC)のオンライン会合においても、各国が枠組み内の生産を完全に遵守することの重要性を再確認するなど、先行きの生産計画に対する明確な指針は示されていない。世界的な原油需給を巡っては、世界最大の確認埋蔵量を有するベネズエラの動きに注目が集まるが、ベネズエラ政府の政策の失敗などが影響して産油量は低迷しており、回復には相応の時間を要すると見込まれる。したがって、OPECプラスや有志8ヶ国は、地政学リスクが需給動向に与える影響を睨みつつ、柔軟に供給動向を調整する対応を継続する可能性が高いと予想される。

以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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