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OPECプラス有志国、2026年1~3月の増産停止で合意

~ロシアの要望でOPECプラスは結束、市場シェア回復から価格下支えへ軸足を再びシフト~

西濵 徹

要旨
  • OPECプラスの有志8ヶ国は2日にオンライン閣僚会合を開催し、12月の産油量を日量13.7万バレル増産する一方、来年1~3月は増産を停止することで合意した。今年4月以降に有志国は昨年の自主減産を段階的に縮小して増産に転じたが、国際原油価格が上値の重い展開をみせるなかで小幅増産に留めた。
  • 過去数ヶ月、サウジアラビアとロシアの間では増産枠を巡る見解の違いがあったが、価格下支えを優先して足並みを揃えた。声明では、世界経済の安定や在庫水準の低さを理由に12月の増産を決定する一方、季節要因を踏まえて来年1~3月の増産を一時停止すると説明している。
  • 背景には、欧米による対ロ制裁の強化の動きが影響している可能性があり、OPECプラスはロシアに配慮して結束を重視する姿勢に転じたとみられる。今後は価格維持を軸に市場動向を見極める構えであり、原油価格は一定の下支えが期待される一方、制裁の行方次第では不安定な推移が続く可能性もある。

主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、2日に開催したオンラインの閣僚会合において、12月の産油量を日量13.7万バレル増産する一方、来年1~3月については増産を停止することで合意した。有志8ヶ国は今年4月以降、昨年実施した日量220万バレルの自主減産を段階的に縮小しており、9月には完全に解除するなど実質的な増産に動いてきた。一方、昨年末にはOPECプラス全体として日量200万バレルの協調減産に加え、有志国による日量166万バレルの自主減産を2026年末まで1年間延長することで合意したが、先月からは有志国による自主減産を縮小させてきた。有志国による減産縮小の動きは、OPECプラスが価格維持を重視した姿勢から市場シェアの確保にシフトしていることを意味している。

その一方、先月以降における増産幅は3ヶ月連続で日量13.7万バレルとなり、4月以降の増産幅に比べて小幅に留めている。この背景には、金融市場において供給過剰が意識されるなかで国際原油価格は上値の重い展開をみせていることも影響しているとされる。さらに、有志国のうち二大産油国であるサウジアラビアとロシアの間では増産幅に対して見解の相違があった模様であるが、このところの国際原油価格が上値の重い動きをみせるなか、12月については小幅増産を維持しつつ、来年1~3月については増産を留保するなど方針転換に動いた。会合後に公表された声明文では、今回の決定について「世界経済の見通しが安定していることに加え、原油在庫が低水準であるなど市場のファンダメンタルズが健全であること」を理由に12月の増産を決定する一方、「季節性を考慮して、来年1~3月の増産を一時停止する」とした。その一方、先行きについては「市場環境の変化に応じて段階的、ないし全面的に回復させる可能性がある」と従来からの考えを示し、一段の増産にも含みを持たせる姿勢をみせている。なお、例年1~3月は北半球において冬季の暖房需要が高まる傾向があるものの、近年は需給が緩む傾向がみられるなかで足元の国際原油価格は今年の1~3月をも下回る水準にあり、市場シェア重視姿勢からの転換を後押ししたとみられる。

有志国が市場シェア重視姿勢からの転換に動いた背景には、トランプ米政権はロシアの石油大手2社(ロスネフチ、ルクオイル)に対して米国内の資産凍結と取引を制限する制裁を科す方針を示すなど、欧米などによる対ロ経済制裁の動きも影響しているとみられる。過去数ヶ月にわたって、サウジアラビアをはじめとする中東の湾岸産油国は市場シェアの確保を目指して増産に傾く一方、ロシアはウクライナ戦争の継続に向けて原油価格の下支えを重視するなど対照的な姿勢をみせてきた。サウジアラビアなどが増産に動いた背景には、トランプ米大統領が国際原油価格の引き下げに向けて『圧力』を掛ける動きをみせてきたことも影響しており、ここ数ヶ月は増産幅を巡って攻防戦が繰り広げられてきた。しかし、米国がロシア経済の『生命線』である原油関連収入に狙いを定める姿勢を鮮明にするなか、OPECプラスとしてはロシアに配慮する形で結束を重視する姿勢に舵を切った模様である。事実、その後の報道などによれば、来年1~3月の増産停止に向けてロシア(ノバク副首相)が水面下で働きかけを行ったことが明らかになっており、OPECプラスとしては結束をアピールするとともに、欧米による経済制裁がロシアの原油生産に与える影響を見定めるための時間稼ぎを目指した可能性も考えられる。したがって、当面の国際原油価格はOPECプラスが価格維持重視に軸足をシフトさせたことが下支えする可能性が見込まれるものの、欧米などの対ロ制裁の効果が不透明ななかで引き続き不安定な展開が続くことも考えられる。

図表
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以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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