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2026.02.24
アジア経済
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国際的課題・国際問題
高市政権
中国商務部、日本の20企業・団体への軍民両用品の輸出禁止
~中国は経済的威圧を着実に強化、日本として中国リスクの低減に向けた取り組みは不可避~
西濵 徹
- 要旨
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中国商務部は24日、日本の20企業・団体を輸出管理リストに追加し、軍民両用品の輸出を禁止することを決定した。具体的な規制対象品目を示しておらず、恣意的運用がなされる可能性が懸念される。また、最終用途が確認できないとして別の20社・団体も監視リストに加え、輸出審査を厳格化している。背景には、日本の政権与党の選挙圧勝のほか、トランプ米大統領の訪中を控えた外交環境が影響した可能性がある。
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中国が念頭に置く規制対象は、レアアースなど供給面で影響力の大きい重要鉱物とみられる。短期的な影響は限定的と見込まれるものの、日中関係の不透明さから長期化が懸念される。日本は中国による経済的威圧に対し毅然と対応するとともに、中国リスクの低減に向けてレアアースの多元的確保や国際社会への発信強化などに取り組むことが求められる。
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中国商務部は24日、同日付で輸出管理法と軍民両用品(デュアルユース)輸出管理条例などの関連規定に基づき、日本の20社・団体を輸出管理リストに追加するとともに、これらの企業に対する軍民両用品の輸出を禁止したと公表した。中国商務部は1月、日本に対する軍民両用品に対する輸出管理を強化することを明らかにしており(注1)、今回の決定は輸出管理強化に向けた具体的な措置と捉えられる。なお、輸出管理強化に際しては具体的な品目などに関する言及はなく、どのような品目を輸出管理強化の対象とするかは示さなかった。今回の決定についても、対象となる防衛関連企業や団体を明示する一方、具体的な規制対象品目を明らかにしておらず、恣意的な運用を可能としているとみられる。また、海外の組織や個人が中国製の軍民両用品を、これらの企業や団体へ移転することも禁止するとしている。中国商務部は決定の理由について、「日本の再軍事化と核開発の野望を抑制すること」と説明するとともに、規制そのものについても「正統で合理的」としている。一方、誠実な事業活動を行う企業に対しては、今回の措置は懸念材料とはならず、両国間の通常の経済・貿易交流に悪影響を与えることはないとも付言している。そのうえで、特別な事情により輸出が必要となる場合、リストに掲載された企業・団体に対する輸出を申請できるとしている。さらに、中国商務部は、上記の20社・団体以外の20社・団体を対象に、軍民両用品の最終使用者や最終用途を確認できないことを理由に監視リストに追加したうえで、輸出審査を厳格化するとしており、日本に対する「経済的威圧」を強化した格好である。
中国側が輸出規制の対象として念頭に置いているのは、中国が世界生産量の7割を占めるなど全世界的な供給面で影響力が強いレアアース(希土類)など重要鉱物であろう。なお、中国国内の金属業界団体(中国金属・鉱物・化学品輸出入商会)は、3月25日に北京でレアアースをはじめとする重要鉱物の輸出に関する政策説明会の開催を予定している。説明会においては、商務部や税関総署の担当者が関連企業に対して輸出規制や通関手続き、コンプライアンス(法令順守)要件などについて説明するとともに、対外貿易政策の見通しなどを示す予定とされた。その前に中国当局が規制強化に動いたのは、今月実施された衆議院総選挙において、高市首相が率いる自民党を中心とする与党が3分の2以上の議席を獲得するなど圧勝したことが影響した可能性がある。また、トランプ米大統領は3月31日から4月2日までの日程で中国を訪問し、習近平氏と会談する予定であり、それまでに米中両国の間で詰めの協議が行われる見通しである。一方、トランプ氏による訪中の直前に高市首相の訪米が予定されており、その前に日本に対して揺さぶりを掛けたいとの中国側の思惑も透けてみえる。短期的にみれば、重要鉱物に対する在庫が直ちに枯渇する状況は見通しにくく、今回の措置による影響が顕在化する可能性は低いものの、日中関係の行方が見通しにくいなかで事態が長期化することが懸念される。日本としては、中国による経済的威圧に毅然とした対応を取るとともに、こうした中国リスクの低減を図る観点から、多元的なレアアースの確保に向けた取り組みを着実に強化する以外に道はない。そのうえで、国際社会において日本の立場を適切に広報するなど、中国が展開するプロパガンダへの対抗措置も不可欠である。当面は中国による一段の経済的威圧を念頭に、日本として重要鉱物を巡る自律性を高めることが不可欠になろう。
注1 1月7日付レポート「中国、軍民両用品の輸出規制強化で「経済的威圧」を一段と強化」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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阿原 健一郎

