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OPECプラス、価格維持へ生産量据え置きも、原油価格は見通せず

~IEAによる供給過剰見通しで市場安定重視の模様も、上値の重い展開が続く可能性はくすぶる~

西濵 徹

要旨
  • OPECプラスは先月30日の閣僚会合で、日量200万バレル規模の協調減産を2026年末まで維持する方針を再確認し、有志8ヶ国も来年1~3月の生産量据え置きで合意した。減産縮小の動きは市場シェア重視を反映していたが、原油価格の伸び悩みを受けて再び価格維持を重視する姿勢に転じている。また、2027年以降の生産基準値を設定するため、加盟国の最大生産能力を評価する仕組みも承認されている。

  • 背景には、欧米の対ロ制裁強化によりロシアの原油収入が減少し、ロシアが増産停止を働きかけたことがある。今後は、ウクライナ和平交渉の行方によってロシアの原油供給が増減する可能性があり、供給面の不透明感が続く。IEAは来年の世界原油市場が大幅な供給過剰に陥るとの見通しを示しており、こうした状況を踏まえOPECプラスは市場安定を重視するが、当面の原油価格は上値の重い展開が続くであろう。

主要産油国の枠組みであるOPECプラスは、先月30日にオンライン閣僚会合を開催した。会合においては、昨年12月の閣僚会合で2026年末まで1年間の延長を決定したOPECプラス全体による日量200万バレル規模の協調減産について(注1)、これを維持することで合意した。さらに、自主減産を行っている有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)も、来年1~3月の石油生産量を据え置くことで合意した。有志8ヶ国は、先月2日の閣僚会合において、今月の産油量を日量13.7万バレルと小幅増産する一方、来年1~3月は増産を停止することで合意しており(注2)、その内容をあらためて確認した。有志国による減産縮小の動きは、OPECプラスが価格維持から市場シェアの確保に重点をシフトさせたことを反映していたとみられる。しかし、世界経済を巡る不透明感が高まるなか、足元の国際原油価格は頭打ちの動きを強めており、OPECプラスは重点の再修正に動いている。その上で、2027年以降における原油の生産基準値を設定することを目的に、加盟国の最大生産能力を評価する仕組みを承認し、新たな基準値に基づいて各国は生産目標を定めることになる。

図表
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有志8ヶ国は、来年1~3月の増産を一時停止することを決定した理由について「季節性を考慮した」としているものの、例年1~3月は北半球において冬季の暖房需要が高まる傾向がある。こうした状況にもかかわらず、近年は需給が緩む傾向がみられるほか、足元の国際原油価格は今年1~3月を大きく下回る水準に留まる。このため、OPECプラスは市場シェアを重視した姿勢から価格維持に再び修正しているとみられる。このように価格維持を重視する姿勢に転じている背景には、ウクライナ戦争を巡って欧米などがロシアに対する経済制裁を強めており、ロシアの原油収入の減少基調が鮮明になっていることも影響している。事実、来年1~3月における増産停止の背景には、先月2日の閣僚会合に際してロシアが水面下でOPECプラスの国々に働きかけを行ったことが明らかになっている。その意味では、OPECプラス全体として結束をアピールするとともに、欧米による経済制裁がロシアの原油生産に与える影響を見定める時間稼ぎを目指したとも捉えられる。なお、欧米などは対ロ制裁を強化する一方、トランプ米政権はウクライナ和平を仲介する動きをみせており、仮に仲介が成功すればロシアへの制裁が緩和されて原油供給が増える可能性があるものの、失敗すればロシアへの制裁が一段と強化されて原油供給が抑制される可能性もある。このように供給サイドに不透明要因が残るなか、IEA(国際エネルギー機関)は先月公表した最新予測において、来年の世界の原油市場が最大で日量409万バレルの大規模な供給過剰に直面するとの見通しを示している。こうした見通しも国際原油価格の上値を抑えるなか、OPECプラスとしては市場の安定性を重視する姿勢をみせたと捉えられる。とはいえ、当面の国際原油価格は引き続き上値の重い展開が続く可能性がくすぶることは避けられないであろう。

以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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