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【1分解説】アウトスキリングとは?

白石 香織

  音声解説

「アウトスキリング(Outskilling)」とは、転職や起業等を通して、従業員の社外での新しいキャリアを後押しするリスキリング戦略を指します。新型コロナウィルス感染症蔓延により多くの企業で人員整理の必要性が高まった際、解雇の可能性のある従業員に学びの機会を与え、社外へ送り出す「アウトスキリング」が欧米で注目され始めました。解雇後の再就職支援を指す「アウトプレースメント」との違いは、雇用しながら学びの機会を与えることで、従業員がより高いスキルの仕事に円滑に移動できる点にあります。

ある米国企業では高校や大学の学位取得を補助し、新しいキャリアへの支援をしています。別の北欧企業は、予めレイオフする期限を通知したうえで、就職・起業支援を行った結果、半数以上が新しい職に就き、多くの新規ビジネス立ち上げにつながりました。同企業では、過去に人員整理をした際、従業員による抗議や住民の商品ボイコット、多額の解決金支払いといった苦難に直面したため、その後レイオフはせずにアウトスキリングを実施しています。アウトスキリングには、現従業員のモラル向上、退職した従業員との関係維持、そして企業ブランド向上に資するメリットがあります。

この解説は2023年2月時点の情報に基づいたものです。

白石 香織


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