【1分解説】人権デューディリジェンスとは?

奥脇 健史

  音声解説

人権デューディリジェンス(以下「人権DD」)とは、企業がサプライチェーン上を含めた事業における人権リスク(例:強制労働など)を特定し、その防止・軽減を図り、取組みの実効性や対処方法について説明・情報開示する、という一連の行為を指します。世界的に「ビジネスと人権」への関心が高まる中、企業に求められる取組みとして人権DDにも注目が集まっています。

欧州を中心に人権DDの義務化は進んでおり、イギリスでは一定の条件のもと、イギリス国内で事業を行う企業に人権DDの実施を法で義務付けています。日本では、政府により「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」(2020年)、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」(2022年)が策定されるなど、国として企業の人権DDの実施を促進しています。

人権DDをはじめとする人権尊重の取組みを企業が推進することは、社会課題の解決につながるとともに、投資の呼び込みなど自社にも好影響を与えると考えられる一方で、取組みが不十分と判断された場合には経営リスクにもなりえます。日本の国際的な競争力の向上のためにも、引き続き官民が連携して取組みを推進していくことが望まれます。

この解説は2023年2月に公表した後、2024年2月時点の情報に基づき改訂したものです。

奥脇 健史


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