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OPECプラス、5月から有志8ヶ国が予想外の増産に動く方針へ

~存在感と価格の維持を天秤にかけるも、国際原油相場は当面上値の重い展開が続く可能性~

西濵 徹

要旨
  • OPECプラスは、2月の合同閣僚監視委員会(JMMC)で、有志8ヶ国の自主減産を4月から段階的縮小で合意した。5月以降の減産縮小は定期的に需給動向を確認して決定するとし、5月の生産量は4月5日に開催予定のJMMCで協議される予定であった。しかし、JMMC直前に有志8ヶ国はオンライン会合を開催し、5月の自主減産縮小で合意した。縮小幅は日量41.1万バレルと当初予定を上回り、市場の健全性と前向きな見通しを反映したとした。他方、先行きは市場動向をみつつ一時停止や見直しに含みを持たせた。
  • 国際原油市況は米トランプ政権の貿易政策や世界経済を巡る不透明感が重石となるなか、有志8ヶ国の予想外の増産決定による需給緩和が懸念されている。5日のJMMCでは枠内における生産枠の適合と補償の実現をあらためて求めることで合意した。この背景には、カザフスタンの生産量に対する他国の反発が影響している模様だ。今後は今月15日までに新たな減産計画が提出され、次回のJMMCは5月28日に開催予定である。ただし、米国はカザフスタンに高い相互関税を課すなど他国と状況が異なる。長期的な協調減産でOPECの存在感が低下しており、価格と影響力の維持が今後の課題となる展開が続こう。

主要産油国の枠組であるOPECプラスは、今年2月に開催した合同閣僚監視委員会(JMMC)において、有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)が実施している日量220万バレル規模の自主減産を4月から段階的に縮小することで合意した(注1)。さらに、5月以降の有志8ヶ国による自主減産の縮小幅については、定期的にJMMCを開催して需給動向を勘案しつつ決定することで合意し、5月の生産量については4月5日開催するJMMCにおいて協議するとしていた。

しかし、JMMC開催直前の今月3日に有志8ヶ国がオンライン会合を開催し、5月から自主減産を一段と縮小することで合意したことを明らかにした。有志8ヶ国は5月に日量41.1万バレル生産を拡大することで合意し、当初のスケジュールに基づけば5月は日量13.5万バレルの増産予定であったものの、それを大きく上回るものとなっている。その理由についてOPECは、市場の基礎的条件が健全、かつ市場見通しが前向きであることを反映したとした上で、増産量については当初5月に予定されていたものと2ヶ月分の増産分を合わせたものとしている。その上で、先行きの増産については市場の状況に応じて一時停止や見直しが行われる可能性があるとするなど、一段の増産は留保する可能性を示した。なお、足元の国際原油市況を巡っては、米トランプ政権の通商政策を巡る不透明感や貿易戦争が世界経済の足かせとなる懸念を反映して上値が抑えられてきたことに加え、有志8ヶ国が想定を上回る増産に動く方針を示したことで需給が大きく緩むとの警戒感が広がり、調整の動きを強める事態に直面している。

なお、5日に開催したJMMCでは、各国に割り当てられている生産枠について、各国に完全な適合と補償を実現できなかった国々に留意しつつ、完全な適合と補償の実現が極めて重要であることを再確認したと表明した。具体的には、サウジアラビアをはじめとする多くの加盟国が記録的高水準での生産を続けるカザフスタンに対して反発を強めているとされる。その上で、今月15日までに加盟国が新たな減産計画を提出するとともに、次回のJMMCを5月28日に開催する方針を示すなど、枠組全体としての減産枠を維持する方針を示している。ただし、上述したカザフスタンを巡っては、米トランプ政権が発表した相互関税において、有志8ヶ国のうち同国のみ27%と高い税率が課される内容となっており、他の産油国と直面する状況が異なっていることに留意する必要がある。上述したように有志8ヶ国は先行きの減産縮小留保に含みを持たせているが、長期にわたる協調減産の影響で世界の産油量に占めるOPECの割合は低下するなど存在感の低下が顕著になっており、そうした事態に歯止めを掛けたいとの思惑も透けてみえる。その意味では、価格と存在感の維持を天秤に図りつつ難しい対応が迫られるとともに、上値の重い展開が続くことは避けられないと予想される。

図表
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以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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