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2024.03.05
新興国経済
原油
ロシア経済
産油国経済
OPECプラス、価格防衛へ有志国の自主減産を3ヶ月延長し、ロシアは追加減産
~価格防衛と結束維持のバランスを採るべく難しい舵取りを迫られる局面が続くであろう~
西濵 徹
- 要旨
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- 主要産油国の枠組であるOPECプラスは3日、価格防衛を目的とする協調減産の枠組維持に加え、8ヶ国の有志国による自主減産を3ヶ月延長して6月末までとする決定を行った。さらに、ロシアは自主的に日量47.1万バレルの追加減産に動くなど供給を絞る姿勢をみせる。足下の国際原油価格を巡っては、中国経済の減速懸念の一方、中東情勢の悪化懸念が長期化するなかで底入れしている。一方、協調減産が長期化するなかで逸失利益を嫌う動きもみられ、価格防衛に向けては有志国による自主減産に依存せざるを得ない状況にある。先行きも価格防衛と結束維持のバランスを採る難しい対応を迫られる局面が続くであろう。
主要産油国の枠組であるOPECプラスは、世界経済の減速懸念が意識されるなかで国際原油価格が頭打ちの動きを強めたことを受け、昨年11月の閣僚級会合においてOPECプラス全体としての協調減産の枠組を維持する一方、今年1月から3月までを対象に8ヶ国の『有志国』が日量220万バレルの自主減産実施により価格下支えに動くことで合意した(注1)。ただし、枠内で減産実現の余力が高いサウジアラビアとロシアによる自主減産は元々昨年末まで実施予定であったものの延長に過ぎず、その他の有志国が実施する自主減産も枠そのものが拡大されたものではなく、供給そのものを巡る状況はその後も大きく変化している訳ではない。こうした状況ながら、昨年後半以降の中東地域においては、ガザ地区を巡る混乱長期化をきっかけに情勢に不透明感が高まる動きがみられるほか、地域の物流網に悪影響が出るとともに、原油の供給不安が意識される展開が続いている。他方、一部の産油国は協調減産の長期化による逸失利益を嫌う形で原油供給を拡大させる動きをみせているほか、需要面ではとりわけ中国経済を巡る不透明感が需要の重石になるとの警戒感がくすぶるなど、市況の上値を抑える材料も混在している。よって、OPECプラスが先月に開催した合同閣僚監視委員会(JMMC)では協調減産の枠組に加えて、今月末までの自主減産についても新たな取り決めなどを示さない『様子見』姿勢を維持することにより事実上価格下支えを重視する考えを示した(注2)。なお、次回のJMMCは通常2ヶ月ごとに開催するスケジュールであることから予定通りであれば4月3日となる一方、上述のように有志国による追加自主減産は3月末までであるため、定例のJMMCの前に追加自主減産に関する対応を決定する必要があった。こうしたなか、OPECプラスは3日に有志国による追加自主減産を6月末まで3ヶ月延長する方針を明らかにするとともに、ロシアについては同時期に追加的に原油生産と輸出を追加で日量47.1万バレル削減する方針を明らかにしている(4月は生産を日量35万バレルと輸出を同12.1万バレル、5月は生産を同40万バレルと輸出を同7.1万バレル、6月は生産を同47.1万バレル)。ただし、有志国の各国による自主減産の割り当てをみると、3月までは8ヶ国で日量219.6万バレル相当の自主減産が実施される一方、4月以降は8ヶ国の自主減産枠が同266.4万バレルと減産枠そのものが大幅に拡大される格好となる。足下の国際原油価格については、上述のように中東情勢を巡る不透明感の高まりが警戒される形で底入れの動きを強めている上、ロシアにとってはウクライナ侵攻を機に欧米などが設定した制裁価格(1バレル=60ドル)を上回る推移が続くなど事実上の継戦能力の向上に繋がっていると捉えられる。今後は北半球における冬場の燃料需要の鈍化が見込まれるなかで供給を絞りやすい環境にあるとともに、価格上昇の恩恵を受ける『一挙両得』を狙ってこうした動きに出た可能性も考えられる。ただし、OPECを巡っては自主減産に反発して加盟国であったアンゴラが昨年末に脱退したほか、加盟が期待されたブラジルは協調減産の枠組に入ることを拒否してオブザーバー参加に留める動きがみられる。さらに、足下では協調減産の除外対象国であるリビアやイランが産油量を拡大させているほか、これら以外にもイラクやナイジェリア、ガボンなどが目標を上回る生産を続ける動きをみせており、協調減産の枠組が長期化するなかで形骸化が懸念される動きもみられる。その意味では、OPECプラス全体としては価格防衛を重視する動きをみせる一方、その結束維持に向けたバランスを採る難しい舵取りを迫られる局面が続くであろう。



注1 2023年12月1日付レポート「OPECプラスは協議難航の後、有志国が3ヶ月間の自主減産で合意」
注2 2月2日付レポート「OPECプラス、中東混乱による原油価格底入れを受けて現状維持」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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