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2023.12.14
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ブラジル中銀は4会合連続で50bpの利下げ、次回も同程度の利下げを模索
~インフレは落ち着いた推移も穏健、且つ慎重な姿勢を崩さず、投資妙味の高い展開が続くか~
西濵 徹
- 要旨
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- ブラジル中銀は13日の定例会合で4会合連続となる50bpの利下げ実施を決定した。昨年末以降の商品高や米ドル高の一巡などを追い風にインフレは鈍化するも、中銀はルラ政権によるバラ撒きを警戒して慎重姿勢を維持した。インフレが中銀目標に回帰したことで中銀は8月に3年ぶりの利下げに動き、その後も漸進的な利下げを維持している。足下のインフレは落ち着いた推移をみせるなか、中銀は次回会合での追加利下げに含みを持たせる考えを示している。他方、今回もインフレを巡るリスク、なかでも世界情勢を巡るリスクを警戒する考えをみせるなど、穏健且つ慎重な姿勢を崩していない。よって、当面は漸進的な利下げを維持するとみられ、実質金利の大幅プラス化を追い風にした投資妙味の高い展開が続くであろう。
ブラジル中銀は、13日に開催した定例会合において政策金利であるSelicを4会合連続で50bp引き下げて11.75%とする決定を行った。ブラジルでは、1月に発足した左派のルラ政権が様々なバラ撒き政策による景気下支えを目指すとともに、ルラ大統領をはじめとする政府高官が相次いで中銀に対して利下げ実施を求める『圧力』を掛ける動きがみられた。他方、ここ数年の同国では歴史的な大干ばつによる火力発電の再稼働に加え、商品高や国際金融市場における米ドル高も重なりインフレが上振れする事態に直面してきた。よって、中銀は一昨年3月から物価と為替の安定を目的とする断続、且つ大幅利上げに追い込まれ、昨年9月の利上げ休止までに累計1175bpもの大幅利上げに動いてきた。なお、昨年末以降は商品高や米ドル高の動きが一巡するとともに、ボルソナロ前政権が実施したエネルギー価格抑制策も追い風にインフレは頭打ちに転じたものの、上述のようにルラ政権が財政出動を辞さない考えをみせるなかで中銀は引き締め姿勢を維持してきた。しかし、その後のインフレは中銀目標の範囲内に収まる推移をみせているほか、ルラ政権も財政運営の持続性向上を目的に財政規則法を策定するなどの動きをみせており、中銀は8月の定例会合で3年ぶりの利下げ実施に動くとともに、先月の定例会合まで3会合連続となる利下げに動いてきた。なお、足下の景気は昨年末以降のインフレ鈍化による実質購買力の押し上げのほか、ボルソナロ前政権が実施した減税策をルラ政権も継続した上で追加減税に加え、堅調な雇用環境も追い風に家計消費は旺盛な推移が続いて景気を押し上げる展開が続いている。他方、インフレの鈍化ペースに比べて中銀が小幅利下げに留めることで実質金利が高止まりしており、家計部門による住宅投資や企業部門による設備投資は弱含む展開が続くなど全体としての景気は頭打ちの様相を強めている(注1)。こうしたことも影響して、政権内においてはルラ大統領を中心に歳出拡大を通じた景気押し上げに向けた意欲を崩さない姿勢をみせるなど迷走する動きがみられるなか、中銀は政府に対して財政運営目標を堅持することが重要との考えを示すなど『注文』を付ける動きをみせてきた。他方、足下においては世界経済を巡る不透明感などが重石となる形で原油価格は頭打ちするなどインフレ圧力の後退を促す動きが確認されるほか、実質金利のプラス幅の大きさを理由とする投資妙味の高さを追い風に通貨レアル相場も堅調に推移しており、インフレは落ち着きを取り戻す展開をみせている。こうした状況は中銀による4会合連続の利下げを後押ししたと考えられる。なお、会合後に公表した声明文では、世界経済について「不安定な状況が続くも前回会合時点に比べて悪化していないものの、新興国を巡る状況には警戒が必要」との認識を示すとともに、同国経済については「景気、物価共に想定通りの展開が続いている」として、インフレ見通しは「今年は+4.6%、来年は+3.5%、再来年は+3.2%」との見方を示している。一方、インフレを巡るリスクについては「上下双方に残るとともに、なかでも世界情勢を巡るリスクについては不透明であるなど金融政策の運営には慎重さが求められる」との考えを示している。その上で、今回会合において「インフレ期待の固定化と金融政策を有効にするには、設定された財政目標を断固として追及することが重要」と引き続き政府に注文を付けるとともに、先行きの政策運営について「経済が想定通りの推移をみせれば、次回会合でも政策委員が一致して同程度(50bp)の追加緩和を実施する」と追加利下げに含みを持たせるとともに、「金利をディスインフレに必要な抑制的な水準に維持することが適切」との考えを示している。足下の企業マインドの動きを巡っては、家計消費の旺盛さを反映してサービス業を中心に堅調に推移する一方、世界経済の減速懸念や商品市況の調整の動きなどが製造業の足かせとなる展開が続いており、家計消費をはじめとする内需が景気を下支えする展開が続いていると見込まれる。他方、インフレの下振れが確認されているにも拘らず中銀は引き続き穏健、且つ慎重な姿勢を崩しておらず、ルラ大統領を中心とする財政運営を巡る不確実さのほか、国際金融市場におけるボラティリティの高まりを警戒している様子がうかがえる。よって、先行きについても中銀は慎重な利下げを維持する可能性は高く、結果的に実質金利のプラス幅の大きさが投資妙味に繋がる展開が続くであろう。



注1 12月7日付レポート「足下のブラジル景気はインフレ鈍化と減税で辛うじてプラス成長を維持」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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西濵 徹

