ライフデザイン白書2024 ライフデザイン白書2024

生成AIを教育にどう活用すべきか

~各種ガイドライン等から考える可能性と課題~

鄭 美沙

要旨
  • 生成AIの教育への影響は大きく、世界各国で議論が進んでいる。本稿では主なガイドラインや研究を紹介し日本の教育への示唆を述べる。
  • 日本の学習指導要領では、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を目指している。生成AIは生徒に合わせた教育ができる点が特に強みであり、前者が進めやすくなる。一方、自己肯定感等は生成AIが相手では身につけづらく、後者には不向きな点もみられる。また、その回答に過度に依存して正解主義に陥らないよう、視野を広げながら、独自の意見を構築する力の育成も必要である。
  • 文部科学省は暫定的なガイドラインを公表し、活用が想定される場面や留意点を示した。パイロット的な取組みを進めるとしているが、効果検証とともに、ICT先進校以外でも簡単に取り入れられる事例の共有が必要である。
  • ICT教育先進自治体である埼玉県戸田市は、まず教師が校務で利用した上で学習に展開することを想定している。校務への活用は、生産性を上げながら、教師自身が生成AIへの理解を深めることができるため、非常に有効な使い方である。
  • 英国の教育省が公表した声明には、生成AIは「教育分野にチャンスと課題をもたらす」と記された。また、その力を引き出すには知識が必要であると教育の大切さを強調した。米国では、教育省教育テクノロジー室が政策レポートを公表した。“Humans in the Loop”を掲げ、AIを活用した教育システムへの生徒や教師の積極的な参加・補完を促している。
  • 国際機関ではUNESCOがガイダンスを策定し、「人間中心」の活用を提唱している。G7で動きがあるように今後生成AI自体の規制作りが進むとみられるが、規制は教育にも影響が及ぶため、そうした動きを注視する必要がある。
  • 生成AIは教育の質を大幅に向上させる可能性を秘めている。近年の教育改革は、技術革新が起こりうることを想定し議論されてきたが、実現がより急務となる。その障壁は教員の多忙化と人材不足であり、生成AIの活用による学びの高度化とともに、働き方改革の実証が進むことを期待する。
目次

1.生成AIと教育

ChatGPTの公開から間もなく1年になる。誰でも簡単に使え、かつこれまでになく正確で自然な回答をする生成AIは、いわゆる「AIの民主化」(注1)を加速させたといえる。そうしたなか、生成AI時代に求められる人材の育成や学校での活用など教育への影響は大きく、世界各国で議論が進んでいる。どう役立て何を規制すべきか、少しずつガイドラインや研究も公表され始めているため、本稿では主なものを紹介し日本の教育への示唆を述べる。

2.教育における利点と欠点

ChatGPTを中心とした生成AIを教育で活用する利点と欠点について、Baidoo-Anu and Owusu Ansah(2023)が資料1のとおり整理している。

資料1
資料1

利点としては、個別のフィードバックや対話形式の双方向の学習、進度に応じた学習方法の提供等、生徒に合わせた教育ができる点が特に強みである。生成AIが、生徒の学習履歴から最適なアドバイスをする、一人ひとりのチューターのような役割を担うことが期待される。

日本の学習指導要領では、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を目指している。個別最適な学びとは、子ども一人ひとりの特性や学習状況に応じた指導方法や学習時間等を設定する「指導の個別化」と、そうした機会の提供により、子ども自身が最適な学習になるよう調整する「学習の個性化」に大別される(注2)。資料1の欠点に「個別指導能力の限界」とあるとおり、現時点で完全な個別化は難しいとしても、生徒自身が生成AIを活用し、疑問を問いかけたり、考えに対するアドバイスを求めたりすることで「学習の個性化」を進めやすくなる。

一方、生成AIは協働的な学びには不向きな点もみられる。協働的な学びとは、探究的な学習や体験活動等を通じ、多様な価値観・意見を持つ他者と協働しながら学びを深めていくことである(注3)。アイディアを出し合っている際に、足りない視点を生成AIに聞くといった活用方法は有効である。また、シチュエーションを設定し、交渉や説得、判断等のトレーニングができるモデルの実装も進みつつある。しかし、協働的な学びで育みたいものには「他者を価値のある存在として尊重すること」や「自分のよさや存在が認められること」「自分の活動によって何かを変えた実感を持つこと」がある。すなわち、自己肯定感やリーダーシップ、相互理解等の人間性の育成であり、それには他者とともに何かを成し遂げた経験、あるいは失敗したりリアルな人間関係に悩んだりすることが大事である。欠点に対人交流の不足とあるように、生成AIが相手では得難い機会だ。

さらに、日本の学校教育は自分の意見を述べること、そして異なる意見を受け入れまとめる力の育成が不十分とされてきた。これは、物事には必ず1つの正解があるとする「正解主義」が要因の一つと考えられる。正解主義の下では、正解以外を発言しづらく、正解のない問いについて議論し「納得できる解」を求める経験が不足する。東京大学理事・副学長の林氏(社会情報学博士)が「過去のデータを基に、あらゆる答えを最大公約数として出してくれる生成AIは、使い方によっては私たちの世界を画一化していくことに拍車をかけている」と述べているように(注4)、生成AIの回答に依存しすぎることは正解主義を助長しかねない。答えのない課題にどう立ち向かうのかが求められているなか、生成AIを活用し視野を広げながら、独自の意見を構築する力の育成が必要である。

3.文部科学省のガイドライン

生成AIの急速な普及を背景に、2023年7月、文部科学省は「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」と「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて」を公表した。それぞれ活用が想定される場面や留意点を示している。本稿では、前者のポイントを紹介する。

(1)位置づけ

本ガイドラインは、タイトルに「暫定的」と記載されているように、学校関係者が現時点で生成AIの活用の適否を判断する際の参考資料として、作成時点の知見を基に暫定的に取りまとめられたものである。今後のルール作りの進展や関係者のフィードバックを踏まえて、機動的に改訂を行うことが前提となっている。また、一律に禁止や義務づけを行う性質のものではないと強調されている。

(2)基本的な考え方

生成AIが、どのような仕組みで動いているかという理解や、どのように学びに活かしていくかという視点、使いこなすための力を意識的に育てていく姿勢は重要としつつ、生成AIが発展途上であることから、児童生徒の発達の段階を十分に考慮する必要があるとしている。

こうした面を勘案し、懸念やリスクに十分な対策を講じることができる一部の学校でパイロット的な取組みを進めるなど、限定的な利用から始めることが適切とする一方、全ての学校で情報活用能力を育む教育活動の一層の充実が必要であると示している。

(3)適切でないと考えられる例

学校現場における具体例も提示しており、「情報活用能力が十分育成されていない段階において、自由に使わせること」や「子供の感性や独創性を発揮させたい場面、初発の感想を求める場面などで最初から安易に使わせること」「児童生徒の学習評価を、教師がAIからの出力のみをもって行うこと」等を適切でない例とした。

(4)活用が考えられる例

一方、活用が考えられる場面としては「グループの考えをまとめたり、アイデアを出す活動の途中段階で、足りない視点を見つけ議論を深める目的で活用させること」「英会話の相手として活用したり、より自然な英語表現への改善に活用させること」「生成AIを用いた高度なプログラミングを行わせること」等が挙げられた。また、これらはあくまで例示であり、個別具体に照らして判断する必要があると注記がなされ、利用が過度に限定されないよう留意されている。

基本的な考え方に「パイロット的な取組みを進める」とあるとおり、文科省は「生成AIパイロット校」の募集を行い、38自治体53校が内定した(注5)。内定校の一つである、つくば市立みどりの学園義務教育学校(注6)は先進的ICT教育を進めており、既に様々な授業にICTやプログラミングを活用している。こうしたICTの土台がある学校において様々な使い方を試し、効果検証や課題の抽出を図ることは有用であろう。その際「先進的な学校だから活用できる」とならないよう、一般的な学校でも簡単に取り入れられる事例の共有が必要である。

また、ガイドラインにはパイロット的な取組みについて「創造性を減退させるのではなく、更に発揮させる方向で使用できるようにすることが期待される」との記載がある。生成AIの登場により、創造力を高めることが必要になるとの指摘も世間にみられるが、既に近年の教育改革は、創造性を備えた人材育成が必要との問題意識の下に進められてきた。技術革新や不確実性を背景に、人間ならではの感性や創造性を発揮しつつ新しい価値を創造する力を育成することなどが重要視されている。例えば、政府が策定する教育振興基本計画は第2期(2013~2017年度)の時点で、「自立」「協働」に加え「創造」を理念に掲げた。また、直近の第4期計画(2023~2027年度)でも、「デジタルも活用して問題解決や価値創造ができる人材の育成こそが目指されるべき」との記載がある。加えて、情報活用能力についても、学習指導要領では言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置づけられている。

つまり、生成AIの登場により、これまでの教育改革の方向性が大きく変わるものではない。もちろんアップデートや見直しは必要ではあるが、政府や文科省の中央教育審議会はまさに生成AIのような技術革新が起こる前提で議論してきた。ただ、生成AIの普及速度は非常に速い(注7)。今後も技術の進化・普及は益々速まる可能性があり、現在の教育改革の進捗速度では追いつかない。教育行政や教育現場は危機感を持った対応が必要となり、実効性向上がより重要かつ急務となる。

4.戸田市の活用ガイド

文科省だけでなく、各自治体においてもガイドラインの作成が進んでいる。例えば、2016年に市内の全小学校・中学校のICT環境を整備した、ICT教育先進自治体である埼玉県戸田市は、2023年9月に「戸田市の教育における生成AIの利用に関するガイドライン」を公表した。戸田市の基本姿勢は、生成AIを「正しく怖れ、前向きに活用する」ことである。

特徴は、生成AI利用を「フェーズ1:主として校務での利用」と「フェーズ2:校務・学習双方での利用」の2段階に分けている点だ(資料2)。まずは教職員自身が校務で利用し、メリット・デメリットについて「腹落ち」した上で、学習での効果的な利用について検討することが想定されている。こうしたフェーズ1の取組みが十分に浸透した時点で、校務・学習の双方で生成AIを利用するフェーズ2に移行する。

資料2
資料2

文科省のガイドラインでも、働き方改革の一環及び教育活動で適切に対応する素地を作るために、校務での活用が考えられるとし活用例を挙げている(資料3)。

資料3
資料3

戸田市ではこの分類に沿って、例えば、学校の運営にかかわる業務の支援では「アンケートや学校評価等の整理」「教職員による作成文書の校正・校閲」、学校行事・部活動への支援では「朝会等の講和のたたき台作成」、外部対応への支援では「指導者や来賓への依頼文や謝辞のたたき台作成」等を例示している。また、文科省のガイドラインでは、あくまで「たたき台」としての利用であり、最後は教職員自らがチェックし、推敲・完成させることが必要であるとしており、戸田市も同様の扱いとなっている。

現状、教師の過重労働は非常に深刻であり、新しい教育活動をしようにも考える時間を十分に取れない。生成AIの校務への活用は、生産性を上げながら、教師自身が生成AIへの理解を深めることができるため、非常に有効な使い方である。一方、利用を認めるかは教育委員会等の方針による。戸田市のような先進自治体の使い方を参考にしながら、より多くの学校で活用が進むことを期待する。

5.英国の声明・米国の政策レポート

日本と同様に海外でも、生成AIの教育現場での活用について検討が進んでいる。

(1)英国

英国教育省は、2023年3月に“Generative artificial intelligence in education(教育における生成AI)”という声明を公表し、生成AIの教育分野での使用に関する同省のスタンスを示した。教育関係者へのキーメッセージは資料4のとおりだ。「教育分野にチャンスと課題をもたらす」とし、日本と同様にリスクを把握しつつ、適切に活用していくスタンスである。

資料4
資料4

加えて、質問したい領域をよく理解していないと良いプロンプトが書けないことから(注8)、生成AIの力を引き出す知識が必要なことや、専門家の判断や専門知識が生成AIに取って代わられることはないと述べている。それゆえ、知識、専門性、知的能力を生徒たちに確実に身につけさせることがこれまで以上に重要であるとし、教育の大切さを強調した。

実際、生成AIが絵画や写真のコンテストで入賞したというニュースもみられるが、出品者はその分野の専門家であったりする。生成AIへの指示や、作成されたものの取捨選択や手直しには知識が必要であり、専門性が高ければ質も高まると考えられる。英国教育省の方針は、生成AIと教育の補完的関係を適切に示したものといえる。

本声明はChatGPTが話題となって間もなく出されたもののため、具体的な活用事例は示されていない。ただ、教育現場は生成AIをどう受け止めるべきか、早期に教育省としての方向性を打ち出した対応の速さは、日本政府が見習うべき点であろう。

(2)米国

米国では、全国の公立学校におけるテクノロジー計画の作成を担う教育省教育テクノロジー室が、生成AIの普及も踏まえ、2023年5月に政策レポート“Artificial Intelligence and the Future of Teaching and Learning(人工知能と教育・学習の未来)”を公表した。AIの利点として、学習者の幅広いスキルやニーズに合わせたサポートができることや、生徒や教師へのフィードバックの質と量を向上させること等を挙げている。

さらに、活用に当たって“Humans in the Loop”(注9)が強調されている(資料5)。一般的には、自動化が進んだシステムにおいて、判断や制御にあえて人間を介在させることを意味する。政策レポートでは、AIが教師に取って代わるという考えを否定しており、教育プロセスが自動化される際は教師らが「ループの中」に常にいなくてはならないとした。つまり、AIを活用した教育システムへの生徒や教師の積極的な参加・補完を促している。

資料5
資料5

その他の提案としては、AIモデルを教育や学習に関する共通のビジョンに合わせることや教育関係者への情報提供と関与を促すこと、教育に特化したガイドラインの策定等を挙げている。米国は分権化されており、教育制度は基本的に各州が政策を立案する。今後の活用やガイドラインの策定状況は各州によって違いが出てくると考えられる。

6.UNESCOのガイダンス

国際機関では、2023年9月にUNESCOが“Guidance for generative AI in education and research(教育・研究分野における生成AIのガイダンス)”を公表した。UNESCO初の教育・研究に関する生成AIのグローバルガイダンスである。本ガイダンスでは、生成AIの定義・説明、倫理的・政策的な論点と教育分野への示唆、規制の検討に必要なステップ、カリキュラムデザインや学習、研究における創造的な活用の可能性、長期的な影響等について、幅広く紹介されている。

ポイントと考えられる点を3つ挙げる。1つ目は「人間中心」の活用を提唱している点だ。人間中心のAIとは、人間をAIに置き換えるのではなく、人間の能力を拡張させることに焦点を当てたアプローチである。日本政府も、AIの社会実装における原則として、2019年に「人間中心のAI社会原則」を策定した。ここでは、AIの利用は基本的人権を侵すものであってはならないと記されている。5節で述べた、米国のHumans in the Loopは人間中心のAIを実現する手段であり、どちらの文書も類似の概念を強調したものとなっている。

2つ目のポイントは「データ格差」への警鐘だ。グローバルサウスの多くの国々はまだ生成AIを開発できないことや、モデルのデータ自体がグローバルノースの価値観や規範が反映されたものであることを指摘した。そのため、グローバルサウスに多くあるデータが乏しい地域や、グローバルノースの相対的に豊かでない地域に関しては、AIアルゴリズムが適切に働かないことや、そうした地域の人々が十分なデータにアクセスできない「データ貧困」に陥ることを懸念している。これは、2節の生成AIの欠点で挙げた「教師データのバイアス」に該当する。

3つ目は、13歳未満の生成AIの利用を制限すべきとの提案だ。主要な生成AIは利用規約に年齢制限が記されている。例えばChatGPTは、13歳未満は使用不可、13~17歳は保護者の同意が必要となっている。文科省のガイドラインもこの点は踏まえており、年齢制限等の利用規約の順守を前提に、生成AIの利用が効果的か否かで判断することを基本とするとしている。

本ガイダンスは、特に各国に生成AIに対する規制がないことを問題視し、データプライバシーの保護など各国に規制の導入を促している。ガイダンスに強制力はないが、活用と制限のバランスを取っていくことは各国の課題である。2023年10月に京都市で開催された「インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)」でも生成AIに焦点が当たり、G7において生成AIを含む高度なAIシステムの開発者向けの国際的な指針や行動規範の策定を進めることが表明された。生成AIの規制は教育にも影響が及ぶ。開発競争や各国のスタンスが異なるなか、どのようなルール作りとなるのか注視する必要がある。

7.日本の教育への示唆~教育改革の早期実現と働き方改革への活用~

以上、日本や各国のガイドライン等を概観した。生成AIの普及スピードは速く教育への影響も大きいが、教育効果の検証はまだ途上であるため、現時点ではひとまず方向性を打ち出す段階のようだ。文科省がガイドラインで強調しているとおり、暫定的な指針を示し、実際の運用や規制を踏まえて改訂していくことが重要であろう。例えば、同ガイドラインでは「定期考査や小テストなどで子供達に使わせること」を適切でないと考えられる例に挙げているが、今後は生成AIを活用しながら成果を出すテストが求められるかもしれない。生成AIは、個別最適な学習の実現など教育の質を大幅に向上させる可能性を秘めている。戸田市の基本姿勢のように「正しく怖れ、前向きに活用」していくことが肝要だ。

また、先述のとおり、生成AIの登場により教育改革の方向性が大きく変わるものではない。こうした技術革新が起こりうることを想定して、どのように持続可能な社会の創り手を育てるかについて検討が進められてきた。ただ、まだ実践途上にあるところに、破壊的変化をもたらすものが登場したため、教育改革の実現がより急務となっている。全国一律に一定水準の教育を提供することは重要であるが、益々速くなる技術革新のスピードに整備が追いつかない。教育の一部やできる学校から始め、PDCAを回しながら導入するスタンスがAI時代にはより必要である。

最後に、教育改革実行の障壁となっているのは、教員の多忙化と人材不足である。生成AIは生産性向上を促し、働き方改革に寄与する。生成AIをパートナーとして、互いの得意・不得意を補いながら、校務・学習双方へ活用していくことが望まれる。子どもの学びの高度化とともに、教員の働き方の実証も進むことを期待する。

以上

【注釈】

  1. AIの民主化とは、AIを誰もが使えるようにするというものである。2017年に、米国のAI研究者フェイ・フェイ・リーが初めて示した概念とされる。
  2. 文科省の定義は、指導の個別化は「教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことなどで効果的な指導を実現することや、子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行う」ことであり、「学習の個性化」は「基礎的・基本的な知識・技能等や、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、幼児期からの様々な場を通じての体験活動から得た子供の興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、探究において課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、教師が子供一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整する」ことである。
  3. 文科省の協働的な学びの定義は、「探究的な学習や体験活動などを通じ、子供同士で、あるいは地域の方々をはじめ多様な他者と協働しながら、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、様々な社会的な変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となることができるよう、必要な資質・能力を育成する」ことである。
  4. 東京大学第2回GENEEシンポジウム「生成AIのもたらす社会課題―データバイアス・フェイクニュース・揺さぶられる法制度」より。
  5. 令和5年度生成AIパイロット校内定校は、小学校4校、中学校27校、義務教育学校4校、高校17校、中等教育学校1校である。
  6. 義務教育学校とは、9年間の義務教育課程を一貫して行う学校種である。2016年に制度化された。
  7. ChatGPTは公開から2カ月でアクティブユーザーが1億人に達した。Tik Tokは9カ月、Instagramは2年半である。(“ChatGPT fastest-growing app in history – UBS”Reuters,2023-2-2)
  8. プロンプトとは、AIツールに入力する指示文のことを指す。
  9. 詳細は、桐生佳介(2021)「人間参加型のAI活用(Human-in-the-loop)」参照。

【参考文献】

  • 埼玉県戸田市(2023)「戸田市の教育における生成AIの利用に関するガイドライン」
  • 桐生佳介(2021)「人間参加型のAI活用(Human-in-the-loop)
  • 文部科学省(2023)「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」
  • 藤井邦幸(2023)「時評『生成AIとの共創によるイノベーションの進化』」第一生命経済研レポート10月号
  • Baidoo-Anu, D., Owusu Ansah, L. (2023)“ Education in the Era of Generative Artificial Intelligence (AI): Understanding the Potential Benefits of ChatGPT in Promoting Teaching and Learning.” Journal of AI. 7(1), 52-62.
  • “ChatGPT fastest-growing app in history – UBS”Reuters,2023-2-2
  • The UK Department for Education(2023)“Generative artificial intelligence in education”
  • The U.S. Department of Education Office of Educational Technology(2023)“Artificial Intelligence and the Future of Teaching and Learning”
  • UNESCO(2023)“Guidance for generative AI in education and research”

鄭 美沙


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