1分でわかるトレンド解説 1分でわかるトレンド解説

注目のキーワード『e-Tax(オンライン確定申告)』

重原 正明

3月はいろいろなことがある季節です。学生にとっては卒業や期末試験の時期、人によっては入試の時期。また引っ越しや転勤の多い時期でもあり、桜も最近は3月に咲くようになっています。そして何よりも、自営業や年金生活者など一部の人にとっては、所得税の確定申告の締め切りの時期です。

2022年分(2023年春)の所得税の確定申告者は2,295万人で、人口減の中でも2013年分(2014年春)ごろからほぼ横ばいです(以下申告に関する人数は国税庁の令和5年5月報道発表資料によります)。そのうち申告納税額がある人は653万人、ない人は309万人、税の還付を受けた人が1,332万人ということで、還付申告が多いことがわかります。主たる所得別で見ても確定申告者の中で一番多いのは給与所得者で、会社員などが医療費控除や寄付等による還付申告を受けている割合が多いと推察されます。

このような状況の中で税務署は申告の効率化に努めています。申告を続けている人はお気づきでしょうが、紙で提出する申告書においても、医療費の領収書など、添付が必要な書類は年々減って自宅保管などに変えられています。また国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」の利用者は912万人に及び、そのうちの561万人はオンライン提出(e-Tax利用)です。

オンライン申告の増加は、還付申告を中心に簡易な内容のものが増えたことも一因でしょうが、マイナンバーカードによるデータ連携の範囲拡大も影響しているでしょう。マイナンバー制度は元々税と社会保障の一体改革とあわせて整備されたものであり、税務申告に使うのは本道中の本道と言えます。

納めた税金が少しでも有効に活用されるために、公務の効率化は望まれるところです。確定申告のまだ終わっていない方は、できるところから電子化に取り組んでみてはいかがでしょうか。まだ寒さの残る中、分厚い書類を持って税務署の外に並ばなくて済むようになります。そしてその分、国民の三大義務の一つについて、申告書の内容を通して考えてみるのもいいかもしれません。

(総合調査部 研究理事 重原 正明)

重原 正明


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。