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注目のキーワード『5月病』

水澤 太一

5月病とは、進学や就職・異動といった大きな環境の変化を迎えた人に、ゴールデンウィークが明けた頃から気分の落ち込みや意欲の低下などによって生活や仕事に影響が出るような状態を言います。「新生活がスタートして1ヶ月程過ぎた5月頃に症状が出る」「学生や新入社員に起こりやすい」ことから一般的に5月病と呼ばれていますが、正式な医学用語ではありません。

激しい受験競争を終えた大学新入生に見られた虚脱感や抑うつ気分を指すものとして、1960年代に広がりはじめましたが、今日では大学生だけでなく、社会人はもちろん、中学生や高校生にも同じような症状が起きています。

5月病の原因はストレスです。そのため、元々ストレスへの耐性が弱い人は5月病になりやすく、耐性があったとしても上手く発散や他人に相談できないとストレスが蓄積して5月病につながる恐れがあります。また、完璧主義の人や真面目で責任感が強い人も過度にストレスを感じてしまう傾向があります。

新しい環境に適応しようと緊張している状態では普段よりも疲労しやすく、それが継続することで蓄積した疲労が5月病につながる恐れがあります。こうしたことは誰にでも多かれ少なかれ起こりうることであり、4人に1人が5月病を経験したことがあるとの調査もあります。

5月病の対策としては、新しい生活で最初から全てを完璧にしようとしないことに加え、「バランスのとれた食事」「質のよい睡眠」「適度な運動の習慣」といったセルフケアを日常生活に意識的に取り込むこと、自分にあったストレス対処法を取り入れることが勧められています。症状が続く場合や社会生活等に支障が生じている場合には、自分だけでなく、家族・職場等にも悪影響を及ぼす可能性もあるため、医療機関の受診が求められます。

また、職場でコミュニケーションの場を設けることは、社員同士が打ち解けあい、新しい環境に慣れるきっかけになります。相談しやすい雰囲気づくり等により、コミュニケーションを通して悩みや不満を共有することは、不安を和らげたり、ストレスを緩和したりすることにもつながります。新入社員等だけでなく、お互いが働きやすい職場にもつながるのではないでしょうか。

(総合調査部政策調査グループ長 水澤 太一)

水澤 太一


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