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- Side Mirror(2023年10月号)
7月に25bpの利上げをしたFRB。年内のFOMCは9月、11月、12月の3回。FOMC内の意見も割れていると言われている中、8月恒例のジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言に注目が集まった。事前に中立金利上昇?(自然利子率+期待物価上昇率)の話もあったがそれに対する明確な発言はなく、今後の金融政策はデータ次第という基本これまでと同じ内容の発言だった。
俄然注目されるようになった中立金利。現在2.0%~2.5%と言われているが、この水準を大幅に上回る利上げにもかかわらず経済が成長を続けていることもあり中立金利は考えられているレベルよりも高いのではないかという議論がみられるようになっていた。もしそうであればFFレートの天井は高くなるし、そもそも長期金利自体が上昇することも想定する必要がありグローバル金融危機以降の世界が大きく変わるということにもなる。
グローバル金融危機以降のゼロ金利+QEからの正常化の動きの中でFRBは2015年12月には利上げに転じ2018年12月にはFFレートを2.5%まで引き上げたが、そこが限界だったことを考えると、確かに足下の経済状況をみれば中立金利はもっと高いのではないかという議論が出るのも当然かもしれない。
ただ“今の経済”は利上げの効果もあり経済が減速気味だったところにコロナショックによる急激な落ち込み…からの未曽有の財政支出もあって急回復したものの、製造業とサービス業、労働集約型産業とデジタル産業といった業種、業務プロセスの違いによる回復の差も大きい。つまりこれまで経験してきた景気循環とは違う形で推移していると言えるのではないか。そうした上下動のなかで構造変化が起き短期間で中立金利が上昇した可能性はあるが、単に“異形の落ち込みと回復”の混乱が続いているだけかもしれない。中立金利の議論も大切だがこの循環で何が起きてこうなっているのかもう少し詳細に知りたいと思う。
佐久間 啓
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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