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【1分解説】修理する権利(Right to Repair)とは?

田村 洸樹

  音声解説

「修理する権利」とは、主に電子機器や情報通信機器等の製品を、消費者が自分で修理する権利のことです。これは「企業が、スペアパーツや修理に必要な情報を、消費者に提供する責任」とも言い換えることができます。

近年、持続可能な社会の実現や、循環型社会への転換を求める世論の高まりを受け、各国や地域で修理する権利を法制化する動きが加速しています。例えば、修理する権利やリペアビリティ(修理可能性)について定めた規則として、2020年2月施行のフランス「循環経済法」、2020年3月発表のEU「新循環型経済行動計画」、2021年6月施行の米国連邦取引委員会「公正修理法」、米国バイデン大統領が2021年6月に署名した「米国経済の競争促進のための大統領令」等があります。

このような動きに、これまで安全性やセキュリティ等の観点から自社の修理工場や認定の修理店等を推奨してきた企業も姿勢を変え始めています。GAFAの一部等は2022年からセルフ修理プログラムを欧米で開始しました。非営利組織からの提案を受けて、消費者が選択できる修理オプションの拡大に取組むことを発表した米大手IT企業もあります。今後、日本でも修理する権利に関する議論が高まるかが注目されます。

この解説は2023年5月時点の情報に基づいたものです。

田村 洸樹


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