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【1分解説】チャイルドペナルティとは?

白石 香織

  音声解説

チャイルドペナルティとは、子どもを持つことによって生じる社会的・経済的に不利な状況を指します。別名「マザーフッドペナルティ」とも呼ばれ、母親がこうした状況に陥る可能性が高いこと示しています。米大学の研究ではチャイルドペナルティを「子を持つことにより生じる賃金格差」と定義づけ、先進国で学歴等の性差が解消されても残る男女間格差の要因は、チャイルドペナルティにあるとしています。

特に日本では出産による賃金下落の傾向が強いと言われています。出産1年前の賃金を基準とした出産前後の男女の賃金推移を見ると(資料)、男性は子の誕生後も変わらない一方で、女性は出産1年後には67.8%減少し、その後停滞しています。

日本では「子育て罰」とも訳され、出産による賃金下落だけでなく、広い概念で子育て世代に「罰」を与えるかのような社会の価値観、政策、企業慣行等を含む場合もあります。例えば、母親に偏る家事育児負担、保育園の待機児童問題、児童手当の所得制限や長時間労働等が該当しうるとされています。政府は男女賃金格差を含むジェンダーギャップや少子化対策に力を入れていますが、チャイルドペナルティ解消がそのカギとなるかもしれません。

図表1
図表1

この解説は2023年4月時点の情報に基づいたものです。

白石 香織


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