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【1分解説】つなぎ国債とは?

谷口 智明

  音声解説

つなぎ国債とは、償還財源を予め法律で担保して発行する国債のことで、安定財源 を確保するまでの資金繰りを「つなぐ」ことから、便宜的に呼ばれています。正式に は普通国債の一種です。

2023 年 6 月に閣議決定された「こども未来戦略方針」では、少子化対策の「加速化 プラン」実施が完了する 2028 年度までに安定財源を確保するとした上で、その間の 「つなぎ」として「こども特例公債」の発行が示されました。償還に必要な財源は、 社会保障制度改革に加え、社会保険料の賦課・徴収の仕組みを活用した「支援金制度」 (仮称)から労使を含めた各層で賄うことを想定しています。

つなぎ国債は過去にも発行事例があります。例えば、年金特例国債は基礎年金の国 庫負担割合を引き上げる際に不足する財源を補うため、2012 年度から 13 年度に発行 されました。消費税増税による収入を償還財源としており、現在も償還が続いていま す(資料)。

つなぎ国債は償還財源を特定しており、財政赤字を拡大させにくい利点がある一方、 今後、償還財源とこども・子育て予算に必要な財源の両建てで確保する必要がありま す。社会保障制度改革や新たな「支援金制度」の行方次第では、将来世代に負担を先 送りする懸念もあり、十分な財源の確保と効果的な財政運営が求められます。

図表1
図表1

この解説は2023年7月時点の情報に基づいたものです。

谷口 智明


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

谷口 智明

たにぐち ともあき

総合調査部 研究理事
専⾨分野: 財政・社会保障、教育

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