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【1分解説】少子化対策の支援金制度とは?

谷口 智明

  音声解説

支援金制度(仮称)とは、2023年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」、いわゆる「異次元の少子化対策」で示された「こども・子育て支援加速化プラン」を実施するための新たな財源調達手段です。子ども家庭庁では、公的医療保険(協会けんぽ、健保組合、市町村国保、後期高齢者医療制度等)の保険料に支援金負担分を合わせて徴収する仕組みとして制度設計を進めています。

加速化プランに要する年3.6兆円規模の財源のうち、2026年度より支援金制度から約1兆円の拠出が見込まれており、私たちが加入する公的医療保険の保険料負担は実質的に増加することとなります。さらに、残りの財源は徹底した歳出改革と既存予算の活用、こども特例公債の発行で賄われる予定であり、2023年12月に政府の全世代型社会保障構築会議より「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について」が示されたところです。

公的医療保険は病気やケガに備えた社会保険であり、本来の目的とは異なる少子化対策の財源として、給付が発生しない世帯にも保険料を一律に求める事に違和感があることは否めません。全世代が支払い能力に応じて負担し、所得再分配機能も発揮する観点から、社会保険料と様々な税を組み合わせ、バランスの取れた仕組みを目指すことが期待されます。

この解説は2023年12月時点の情報に基づいたものです。

谷口 智明


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

谷口 智明

たにぐち ともあき

総合調査部 研究理事
専⾨分野: 財政・社会保障、教育

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