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【1分解説】ダブルケアとは?

白石 香織

  音声解説

ダブルケアとは、子育てと親もしくは親族の介護を同時に担う状態を指し、その担い手をダブルケアラーと呼びます。少し前のデータになりますが、内閣府男女共同参画局の調査(2016年)では、ダブルケアラーは全国で約25万人いると推計されています。このうち女性が約17万人、男性が約8万人と、性別による偏りもみられます。またダブルケアラーの約8割が30~40歳代と、いわゆる働き盛りの世代に負担がのしかかっているといえます。

背景には、高齢化および晩婚化、晩産化があります。高齢化により要介護者が増加するなか、晩婚・晩産化により育児のタイミングが後ろ倒しされ、介護と重なる人が増えています。2025年には団塊世代が75歳以上になり、今の40〜50歳代がダブルケア問題に直面していくと予想されます。

ダブルケアラーの増大により、当事者の精神的、肉体的、経済的負担が増えるだけでなく、社会的リスクも生じかねません。たとえば、第2子以降の出産をあきらめることによる少子化への拍車、離職による貧困化や労働人口の喪失、高齢者や子への虐待の誘因等が挙げられます。ダブルケアラーの負担軽減に向けた国や企業の支援体制の拡充は、今後の重要な課題といえます。

この解説は2024年2月時点の情報に基づいたものです。

白石 香織


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