1分でわかるトレンド解説 1分でわかるトレンド解説

【1分解説】技能実習制度とは?

重原 正明

  音声解説

技能実習制度とは、発展途上国への技術移転を通じた国際貢献を目的として1993年に開始した制度です。外国人が働き先の企業と雇用契約を結び、技能実習という在留資格で来日します。そして最長5年間、報酬を受け企業で働き技能を身に付けることになります。技能には農業、漁業、建築、メッキなど工業分野の他、介護、宿泊(接客・衛生管理)といったサービス業も含まれます。コンビニの店員は対象外です。

技能実習終了後は母国に帰る想定ですが、一部技能を除き在留資格を特定技能に切り替え、技能実習終了後も日本で就労する道が開かれています。

技能実習制度は人材育成制度のため、期間中は原則職場を変えられず、途中での資格試験等の要件もあります。在留資格も1年更新です。単なる安価な労働力として実習生が扱われて人権問題となるケースもあり、2017年施行の法律で実習生の保護等が図られました。しかしその後も技能実習生の失踪等は続いています。

政府は、2024年3月15日、技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする育成就労制度を創設する法律案を国会に提出しました。新制度は公布から3年を超えない範囲内の政令で定める日から施行とされていますが、人口減少時代に即した、実態に合った持続可能な外国人受け入れ制度への円滑な移行を期待します。

この解説は2023年4月に公表した後、2024年4月時点の情報に基づき改訂したものです。

重原 正明


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。