インドは中国を超えるのか インドは中国を超えるのか

内外経済ウォッチ『アジア・新興国~OPECプラス有志8ヶ国、 自主減産を当初予定から1年前倒しで解消~』(2025年9月号)

西濵 徹

目次

有志8ヶ国は自主減産終了の1年前倒しを決定

主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、8月3日のオンライン会合において、昨年から実施した自主減産枠の解消で合意した。有志8ヶ国は昨年実施した日量220万バレルの自主減産について、今年4月から18ヶ月かけて段階的に縮小させるとしたが、過去数ヶ月はスケジュールを大きく前倒ししてきた。そして、有志8ヶ国は今回の合意で9月も自主減産枠を54.7万バレルと、8月(54.8万バレル)並みの水準で減少し、当初予定から1年前倒しで自主減産枠が解消される。

今回の決定について、有志8ヶ国は「世界経済の見通しが安定している上、原油在庫が低水準であるなど市場のファンダメンタルズが健全であること」を理由に挙げた。OPECプラスが自主減産の終了を前倒しさせる背景には、協調減産や有志8ヶ国による自主減産が長期化するなか、世界の産油量に占めるOPECプラスの割合が低下し、存在感の低下が顕著になっていることがある。さらに、有志8ヶ国による自主減産縮小の前倒しにもかかわらず、国際原油価格は比較的高水準で推移している。よって、OPECプラスは過去数年にわたって価格維持を重視する姿勢をみせてきたものの、足元においては市場シェアの確保に政策の軸足をシフトさせていると捉えられる。

図表1
図表1

国際原油価格には好悪双方の材料が混在するか

このところの世界経済や国際金融市場は、トランプ米政権の政策運営に翻弄される状況が続く。米国は7月、ウクライナ戦争の早期終結を目的に、ロシアが50日以内にウクライナとの停戦に応じない場合にロシア製品の輸入国に対して米国が100%の関税を課す「2次関税」を発動する方針を明らかにした。その後、トランプ氏は期限の前倒しに言及した上で、ウクライナ戦争以降にロシア産原油の輸入を大幅に拡大させるインドへの相互関税を25%とした上で、ロシア産の兵器と原油の輸入へのペナルティーを導入する方針を示している。さらに、インド同様にロシア産原油の輸入を拡大させる中国との協議も難航する様子がうかがえる。よって、金融市場ではロシア産原油の供給が細ることが意識されていることも、足元の国際原油価格が比較的高止まりする一因になっていると考えられる。

OPECプラスは日量200万バレルの協調減産と、一部の産油国が日量166万バレルの自主減産を実施しており、昨年末にこれらを2026年末まで実施することで合意した。しかし、サウジアラビアが市場シェアを重視する姿勢を強めていることもあり、今後は日量166万バレルの自主減産の扱いが議論される可能性がある。OPECプラスによる実質増産の一方、ロシア産原油の供給先細りへの懸念もくすぶるなか、当面の国際原油価格は底堅い動きが続く可能性が高いと考えられる。

図表2
図表2

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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