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注目のキーワード『ワーキングホリデー』

重原 正明

夏休みの季節。コロナ禍からの解放もあって、海外旅行をされる方も多いかと思います。旅行とは違ってもっと本格的に、海外で働きながら長期に生活できる制度があるのをご存じでしょうか。それが今回ご紹介する「ワーキングホリデー」です。

「ワーホリ」と略されることもありますが、簡単にいうと、若い人が原則1年間、海外で働きながら生活できる制度のことです。日本と協定を結んでいる27か国(2023年3月1日現在)が対象となります。制度利用者はワーキングホリデー用の特別なビザを取得して対象国に渡航することとなります。1980年にオーストラリアと協定を結んだ翌年から日本のワーキングホリデー制度は始まりました。2002年には制度利用者は2万人を超え、2010年前後は一時減ったものの、コロナ禍前は安定して毎年2万人近くの人が利用していた模様です。

ワーキングホリデーは休暇を過ごす制度ですが、滞在資金を補うために渡航先で働けます。面倒な就労ビザより簡単にビザが取得でき、留学の場合よりも自由に働くことができます。また留学のようにしっかり学校に通うことはできませんが、補助的に一定期間語学学校に通うことも一般には可能です。

一方で、「若者の生活体験のための休暇制度」という趣旨から、いろいろな制限もあります。期間は原則1年と長めですが、同じ国については一生に1回しかワーキングホリデービザを取得できません。また年齢も原則18歳以上30歳以下に限られます。人数制限や年齢範囲など、国ごとの制度の個別性は強いので、行きたい国があればその国の大使館等に問い合わせるのがよいでしょう。

海外で働きながら暮らすことは、通常の海外旅行以上の危険もあります。また休暇制度なので学生ならば休学、社会人なら休職あるいは退職をしないと参加できないのが実情です。帰国後の再就職等で苦労する例もあるようで、制度を利用する場合は明確な目的意識や決意が必要でしょう。ただ、海外で生活するという貴重な体験ができる制度であり、さらなる普及を期待したいと思います。

ワーキングホリデーは相互的な制度なので、日本へワーキングホリデーを過ごしに来る外国人もいます。良い体験ができるよう、温かい目で迎え入れたいと思います。

重原 正明


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