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2024.12.19
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FRBはインフレ動向に合わせて利下げを慎重に進める方針 (24年12月17、18日FOMC)
~今回はインフレ上振れでも政策金利を25bp引き下げ4.25~4.50%とすることを決定~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 24年12月17、18日に開催されたFOMCで、FRBは政策金利を予想通り25bp引き下げ、FFレート誘導目標レンジを4.25~4.50%とすることを賛成多数で決定した。クリーブランド連銀総裁のみ据え置きが適切として反対票を投じた。他方、バランスシートの縮小策の継続を決定した。
- 今回の決定について、パウエルFRB議長が「今日はさらに際どい判断」と発言しているように、足元のインフレ率、経済成長率がFOMC参加者の予想を上振れているなかで追加利下げを決定した。経済の堅調が続く中、雇用全般やインフレの鈍化によって、雇用とインフレの目標を達成する上でのリスクバランスが概ね均衡しているとの判断が維持された。そして、インフレ率が2%の目標に向けて低下を続けるとの見方を維持するもと、労働市場の一段の軟化を回避するために、利下げが必要と判断された。
- FRBの金融政策スタンスを示すFOMC声明文は、今回「FF金利の目標レンジの追加調整の幅とタイミングを検討する際、委員会は今後のデータ、今後の見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」と追加利下げの判断を慎重に行う姿勢を強調した。パウエル議長は、今回声明文に金利調整の規模と時期の文言を加えた理由として、利下げペースの減速が迫っている、もしくはその時期に到達したことを示していると説明し、今後利下げペースを緩やかにすることを示唆した。
- 同時に公表されたFOMC参加者の経済・金利予測(24年12月)では、米経済成長率とインフレ見通しが上方シフトし、失業率は下方シフトした。予測に、トランプ新政権の予想される政策の影響を一部の参加者は織り込んだが、一部の参加者は織り込まなかったほか、一部の参加者は織り込みの有無を明らかにしなかった説明されており、今回のFOMC参加者の予測はいつも以上に不透明感が高い。ドットチャート(FFレート誘導目標レンジの中央値、年末)では、インフレ予測の上方シフトを主因に、25年末3.875%(前回9月3.375%)、26年3.375%(前回2.875%)、27年2.875%と上方シフトした。利下げ回数は、25bpを1回とすれば、25年2回(前回4回)と減少した。しかし、26年2回(2回)が維持され、27年1回(前回0回)に増加しており、全体としては利下げペースの鈍化を示している。
- パウエルFRB議長は、今年政策金利を合計1ポイント引き下げたことで景気抑制の度合いが弱まっており、FRBは「今後の政策金利の調整について一段と慎重に検討できる」と説明、今回の利下げによって中立金利に近づいたため、慎重に動くのが適切になったとの考えを示した。ただし、議長は、政策は依然十分に制約的で利下げを継続する方向であることを指摘したうえで、一段のインフレ鈍化を確認する必要があるとした。
- 今後のFRBの金融政策について、FRBはPCEコアデフレーターが財価格の下落やサービスコアの緩やかな伸び鈍化により、前年比+2%に向けて緩やかに低下するとみられ、実質FF金利の高い水準によって景気は減速すると予想される。今後、景気が減速するなかで、PCEコアデフレーターは前年比で一旦上昇した後、+2%台前半に向けて低下するとみられる一方、失業率は11月の4.2%から上昇する可能性があり、労働市場の更なる軟化を回避するために、FRBはより漸進的な利下げを継続する公算が大きい。FRBは、25年3月、6月に25bpの利下げを実施し、FFレート誘導目標を3.75%程度に引き下げ、様子見に転じると予想される。
- 目次
FRBは政策金利を25bp引き下げ4.25~4.50%とすることを決定
24年12月17、18日に開催されたFOMCで、FRBは政策金利を予想通り25bp引き下げ、FFレート誘導目標レンジを4.25~4.50%とすることを賛成多数で決定した。FOMCで投票権を持つ12人のうち11人が25bpの利下げに賛成、クリーブランド連銀総裁のみ据え置きが適切として反対票を投じた。他方、バランスシートの縮小策の継続を決定した。
今回の決定について、パウエルFRB議長が「今日はさらに際どい判断」と発言しているように、足元のインフレ率、経済成長率がFOMC参加者の予想を上振れているなかで追加利下げを決定した。FRBは、ハト派的といえるだろう。経済の堅調が続く中、雇用全般やインフレの鈍化によって、雇用とインフレの目標を達成する上でのリスクバランスが概ね均衡しているとの判断が維持された。そして、インフレ率が2%の目標に向けて低下を続けるとの見方を維持するもと、労働市場の一段の軟化を回避するために、利下げが必要と判断された。
パウエル議長は、今回声明文に金利調整の規模と時期の文言を加えた理由として、利下げペースの減速が迫っている、もしくはその時期に到達したことを示していると説明し、今後利下げペースを緩やかにすることを示唆した。インフレ率を2%に低下させるために、利上げは必要ないとの見解も示した。
ドットチャートは25年の利下げ回数が2回に減少。9月は4回だった
同時に公表されたFOMC参加者の経済・金利予測(24年12月)では、米経済成長率とインフレ見通しが上方シフトし、失業率は下方シフトした。予測に、トランプ新政権の予想される政策の影響を一部の参加者は織り込んだが、一部の参加者は織り込まなかったほか、一部の参加者は織り込みの有無を明らかにしなかった説明されており、今回のFOMC参加者の予測はいつも以上に不透明感が高い。ドットチャート(FFレート誘導目標レンジの中央値、年末)では、インフレ予測の上方シフトを主因に、25年末3.875%(前回9月3.375%)、26年3.375%(前回2.875%)、27年2.875%と上方シフトした。利下げ回数は、25bpを1回とすれば、25年2回(前回4回)と減少した。しかし、26年2回(2回)が維持され、27年1回(前回0回)に増加しており、全体としては利下げペースの鈍化を示している。
FOMC参加者が中立金利と推測する長期は、3.000%(前回2.875%)と上方シフトしており、中立金利が上昇したと考える参加者の増加が示されたが、足元の金融政策運営への影響はない。

声明文での景気、雇用、インフレ判断は変わらず
FOMC声明文で、景気判断、雇用判断、インフレ判断は変更されなかった。
景気判断は、前回同様「経済活動が堅調なペースで拡大していることを示している」と経済は堅調との見方が維持された。
雇用情勢について声明文では、前回同様「今年の早い時期以降、労働市場の状況は概ね緩和してきた」と、ストライキやハリケーン襲来の影響で実態が見え難くなっている雇用者数への言及を控え、年初からの労働市場の軟化を指摘した。議長は、「労働市場の逼迫度合いはパンデミック前より緩和しており、労働市場はインフレ圧力の要因ではない」とインフレ低下のため、これ以上の労働市場の軟化は必要ないとの見方を維持した。そのうえで、「労働市場の下振れリスクは減少したものの、依然として軟化している」と慎重な見方を維持しており、「雇用創出は失業率を一定に保つ上で必要な水準を下回っている」との判断を示した。
インフレについて声明文では、前回同様「インフレは委員会の目標である2%に向けて前進しているが、依然としてやや高い水準」との判断が維持された。議長は「インフレを巡るリスクと不確実性はより高まっている」とインフレへの警戒を示しつつも、「インフレは2%に向けた軌道にあると確信している」とインフレ低下が続くとの見方を示したうえで、「2%に到達するにはこれから1、2年かかる可能性がある」とFOMC参加者の予測中央値に沿った慎重な見方を示した。

FRBの目標達成に向けたリスクは概ね均衡しているが、両サイドのリスク注視を継続
リスクについて声明文で、前回同様「委員会は、雇用とインフレの目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断した」とリスクバランスに関して、インフレの低下、労働市場の軟化によって、ほぼ均衡したとの判断を維持。そして、声明文で前回同様「経済見通しは不確かであり、委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」と引き続き、インフレ率の上昇に加えて、労働市場悪化のリスクを注視していることを示した。
FRBは追加利下げに関して、より慎重に決定するスタンスに
FRBの金融政策スタンスを示すFOMC声明文は、今回「FF金利の目標レンジの追加調整の幅とタイミングを検討する際、委員会は今後のデータ、今後の見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」と前回の「FF金利の目標レンジの追加調整を検討する際、委員会は今後のデータ、今後の見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」から、幅とタイミングとの文言を加えることで、追加利下げの判断を慎重に行う姿勢を強調した。
パウエルFRB議長は、今年政策金利を合計1ポイント引き下げたことで景気抑制の度合いが弱まっており、FRBは「今後の政策金利の調整について一段と慎重に検討できる」と説明、今回の利下げによって中立金利に近づいたため、慎重に動くのが適切になったとの考えを示した。ただし、議長は、政策は依然十分に制約的で利下げを継続する方向であることを指摘したうえで、一段のインフレ鈍化を確認する必要があるとした。
バランスシートの縮小は継続
バランスシートの縮小は継続する。24年6月1日から保有証券の圧縮は月間上限額600億ドル(950億ドル)に減額された。米国債の上限額を250億ドル(600億ドル)に減額した。一方、エージェンシー債、政府支援機関保証付き住宅ローン担保証券の上限額は350億ドルに維持したうえ、これを上回る額を国債に再投資する。

FF先物市場はFOMC参加者の予想よりも若干慎重なペースでの利下げを織り込み
金融市場では、ドットチャートでの25年の利下げ回数の減少を受け、金利が上昇し、ドルが主要通貨に対して強含み、株価は水準を切り下げた。
FF金利先物市場では、25年1月FOMCで25bpの利下げの可能性が約6%、3月は約37%に低下した。また、25年末で4.0%程度と、FOMC参加者の予想中央値(3.875%)を上回る水準に上昇した。市場では経済の好調に伴うインフレ上振れへの警戒の強い状況が続いている。

FRBは25年半ばにかけてより漸進的な利下げを実施し、3.75%程度が目処
今後のFRBの金融政策について、FRBはPCEコアデフレーターが財価格の下落やサービスコアの緩やかな伸び鈍化により、前年比+2%に向けて緩やかに低下するとみられ、実質FF金利の高い水準によって景気は減速すると予想される。今後、景気が減速するなかで、PCEコアデフレーターは前年比で一旦上昇した後、+2%台前半に向けて低下するとみられる一方、失業率は11月の4.2%から上昇する可能性があり、労働市場の更なる軟化を回避するために、FRBはより漸進的な利下げを継続する公算が大きい。FRBは、25年3月、6月に25bpの利下げを実施し、FFレート誘導目標を3.75%程度に引き下げ、様子見に転じると予想される。
桂畑 誠治
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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