米国 26年1月鉱工業生産は上振れ、製造業が牽引

~広範な業種で生産拡大、基調はプラス圏へ~

桂畑 誠治

要旨
  • 26年1月の鉱工業生産は、前月比+0.7%(前月同+0.2%)と市場予想中央値同+0.4%(筆者予想+0.4%)を上回った。25年8-12月分が合計で0.7ポイント下方改定され、25年の下期の生産活動がこれまで考えていたよりも弱かったことが示されたが、1月単月の勢いは強い内容といえよう。
  • 内訳をみると、公益が1月末の気温低下による暖房需要や、データ・センター向け電力需要の拡大を背景に、同+2.1%(同+3.0%)と高い伸びを維持した。鉱業はエネルギー価格の安定・上昇を受け、減少幅を同▲0.2%(同▲0.9%)と縮小。また、製造業は低い在庫水準、旺盛なAI需要、国内回帰の動き等に支えられ、同+0.6%(同0.0%)と加速し、市場予想中央値の同+0.4%を上回った。
  • 製造業は、全20業種のうち、15業種(前月11業種)と広範な範囲で生産が拡大した。自動車・同部品は、トランプ政権による関税政策などへの不透明感は残るものの、低在庫水準に加え、EVからハイブリッドへのラインナップ刷新などによって、生産がプラスに転じた。また、強いAI需要を背景に、コンピューター・電子、一般機械、電気設備・機器・同部品等が伸長。さらに、一次金属、加工金属、非鉄、化学、プラスチックなど素材関連も総じて拡大した。
  • 製造業の業種別生産動向を前月比でみると、拡大した業種は、拡大幅の大きい順に、非鉄(+2.2%)、自動車・同部品(+1.3%)、プラスチック・ゴム(+1.3%)、一般機械(+1.2%)、その他耐久財(+1.1%)、化学(+1.1%)、コンピューター・電子(+1.0%)、紙・パルプ(+0.8%)、家具・同関連製品(+0.7%)、一次金属(+0.7%)、木材製品(+0.6%)、印刷・同サポート(+0.5%)、電気設備・機器・同部品(+0.4%)、その他製造業(+0.4%)、加工金属(+0.1%)の15業種と前月の11業種から増加した。
  • 生産の基調(3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率)を確認すると、1月の鉱工業全体では、公益の大幅な増加、製造業の改善等によって、同+1.0%(同▲1.3%)とプラスに転じた。製造業生産は、25年8-12月分が合計で0.6ポイント下方改定された影響もあって、▲0.1%(前月▲2.2%)と依然マイナス圏ながら大幅に改善した。自動車が、EV向けの支援策の終了を受け、同▲18.6%(同▲24.8%)と低迷を続けたが、ハイテク関連が+13.4%(同+9.5%)と増勢を強め、全体の押し上げに寄与した。
  • 1月の設備稼働率は、生産能力の拡大が続くなか、生産の増加によって、鉱工業で76.2%(前月75.7%)、製造業で75.6%(前月75.2%)と上昇した。ただし、依然として長期平均(1972-2025年)をそれぞれより3.2%p、2.6%p下回る水準にとどまっている。
  • 26年の製造業生産は、減税に伴う個人消費の喚起や設備投資の拡大のほか、世界的な地政学リスクの高まりを受けた軍事装備品の需要増加、低い在庫水準等を背景に、前年比+1.9%に加速すると予想される(25年+0.9%、24年▲1.0%、23年▲0.9%)。
こちらのレポートについては、PDF形式によるご提供となっております。
右上にある「PDF閲覧のアイコン」をクリックしてご覧下さい。

本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ