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2026.02.20
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中東混乱時の金融市場の反応
~原油価格動向を占ううえでは、生産設備への影響とホルムズ海峡の封鎖が焦点~
前田 和馬
2月19日、米トランプ大統領はイランに対して軍事行動に踏み切るかを巡り、今後10~15日以内に判断すると述べた。2月18日付けの米CNN報道によると、米軍は早ければ今週末にもイランへの攻撃準備を整える見通しだ。
米国による中東への主な軍事介入に関して、①2001年10月のアフガニスタン戦争、②2003年3月のイラク戦争、③2025年6月のイラン核施設攻撃をみると、原油価格は攻撃以前をピークとし、軍事行動後は横ばいから低下することが多い。世界的な石油生産への影響が限定的に留まったことなどが背景にあるとみられる。なお、いずれも中東の地政学リスクを意識させる出来事であったものの、アフガニスタンはイランやイラクのような産油国ではなく、2001年の原油価格下落は世界景気減速を背景とした需要要因による部分が大きいだろう
今後の原油価格を占う焦点としては大きく2つ考えられる。まず、イランは世界における原油生産の3.9%を占めており(2023年:EIA集計)、周辺国を含む中東の石油生産設備が大きく毀損する場合、原油価格への押し上げ圧力となる。次に、イランがホルムズ海峡の封鎖に踏み切り、実際にそうした状況を維持できるか否かだ。同海峡を通過する石油量は、世界消費量の19.8%、(パイプライン等を除く)海上貿易量の26.9%に達しており、同海峡の長期的な封鎖は日本を含むアジア諸国の原油調達に大きな支障をきたす(IEA[2025])。
一方、こうした中東混乱時の金融市場の動向を巡っては、まず米国株は防衛銘柄を中心に上昇することが多く、日本株に関しても米国株の全体的な動向と一定の連動性がみられる。開戦後の不透明感解消、或いは(26年5月のイラン核施設攻撃では)米軍のミッション成功による泥沼化回避への期待なども、株式市場へのサポート材料となる。また、米長期金利は、株高によるリスクオン、(これまでの)原油高によるインフレ懸念、戦費拡大による財政赤字懸念、これによる金融政策スタンスに依存するとみられ、過去の事例で明確な傾向はみられない。
なお、2001年に関しては、早期の景気回復期待によるリスクオンを背景に、米長期金利はアフガン侵攻後に反発がみられた。また、同期間の日本では金融システム不安による銀行株の低下や為替の円安方向への推移がみられたものの、これらは中東情勢との関係性は弱かったとみられる。


【参考文献】
IEA(2025), “Amid regional conflict, the Strait of Hormuz remains critical oil chokepoint,” IEA: Today in Energy, June 16, 2025(2026-2-20参照).
前田(2023), “原油価格と中東情勢を巡る関係性の整理,” 第一生命経済研究所 Economic Trends.
前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

