米国:民間部門は拡大ペース鈍化も底堅さを維持(2月PMI)

~サービス業が37ヵ月連続、製造業は7ヵ月連続で50超を維持~

桂畑 誠治

要旨
  • 26年2月のS&Pグローバル米国総合購買担当者指数(PMI)は、52.3(前月53.0)と前月比0.7ポイント低下し、拡大ペースが鈍化した。コスト増と悪天候が重なり、製造業・サービス業ともに活動が抑制された。市場予想中央値(Bloomberg集計)の53.1(筆者予想53.1)を下回ったものの、拡大縮小の分岐点である50を37ヵ月連続で上回った。トランプ政権による政策の不確実性が高まる中でも、総合PMI速報値は、比較的高い水準を維持しており、同統計調査対象企業の活動や民間需要の底堅さが示されている。
  • 企業からは懸念要因として、売上低迷、高コスト、政治環境、関税などの政策の影響などが挙げられており、これらは25年から継続した課題となっている。また、発表元は「関税が広範な物価上昇の原因として再び指摘されている」と言及し、価格転嫁が進展している状況を浮き彫りにした。
  • 製造業PMIは、51.2 (前月52.4)と1.2ポイント低下したが、拡大を示す水準を7ヵ月連続で上回った。また、サービス業PMIは、52.3(前月52.7)と0.4ポイント低下したが、堅調な国内需要を背景に高い水準を維持し、37ヵ月連続で50を上回った。
  • 主要項目では、総合新規受注は、海外需要の鈍化を主因に52.2(前月53.0)と低下し、需要の拡大ペース鈍化を示した。製造業が49.6(同51.9)と縮小を示す水準に低下したほか、サービス業が52.7(同53.2)と低下した。総合雇用は、50.2(同50.7)と小幅低下し、雇用の伸び悩みを示唆した。製造業が50.2(同51.4)、サービス業が50.2(同50.6)とともに低下した。
  • インフレ関連では、関税や賃金上昇を背景に、総合投入価格が60.4(前月60.1)、総合産出価格が57.9(同57.0)とともに上昇した。企業がコスト増を段階的に価格転嫁している様子が伺える。ただし製造業では、投入価格が61.9(同62.3)と小幅低下にとどまったが、産出価格が55.3(同58.5)と大幅に低下しており、財価格の押し上げ圧力の緩和と引き換えに製造業のマージンの悪化が示された。一方、サービス業では、投入価格指数が60.2(同59.7)、産出価格指数が58.3(同56.7)とともに上昇しており、サービス分野では依然としてインフレ圧力が強い。
  • 製造業では、生産が52.3(同55.2)、雇用が50.2(前月51.4)、新規受注が49.6(同51.9)、在庫が47.9(同50.9)と低下した。
  • サービス業では、活動指数が52.3(前月52.7)と事業活動の底堅さを示した。また、新規受注は、52.7(同53.2)と低下したが、高い水準を維持しており、需要の堅調さが示された。「将来の活動指数」は、66.8(同62.8)と高い水準に上昇しており、サービス関連企業は先行きに対して楽観的な見方を維持している。
  • 基調をみると、1、2月平均の総合PMI(平均)は、52.7と10-12月期の53.8から低下し、米民間需要の拡大ペースが緩やかに減速したことが示された。製造業が51.8(10-12月期52.2)と低下したほか、サービス業が52.5(同53.8)と低下し、ともに拡大ペースの鈍化を示した。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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