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【1分解説】反ESGとは?

牧之内 芽衣

  音声解説

反ESGは脱炭素の流れに対する揺り戻しで、投資先のESG、特にE(環境)の取組みを重視して投資対象を選別することへの反発の動きです。近年、米国ではESGに対する姿勢が民主党と共和党の分断の象徴にもなっており、共和党は反ESGの姿勢を強めています。

資産運用に関する反ESG運動の主な主張の一つ目は、資産運用会社は金銭的要素にのみ基づいて投資先を選定すべきで、投資戦略を政治化するとリターンが低下するため受託者としての義務に違反するというものです。

二つ目は、投資先から化石燃料産業を排除するべきではないというものです。知事が共和党に所属するテキサス州では、2021年6月、化石燃料産業への投融資をボイコットする姿勢を示した金融機関に対して、州の年金基金などによる投資や契約の締結を禁じる州法が成立しました。2023年にはフロリダ州で、ESG投資を標榜する銀行を公的資金の預金先から除外したり、金融機関による化石燃料産業へのダイベストメントを禁止したりする反ESG法が成立しました。

2021年にはGFANZ(ネットゼロのための金融同盟)が結成されるなど、脱炭素に向けて金融機関への期待は大きくなっていましたが、米国社会の価値観の分断から、一部の資産運用会社はESG投資に慎重になっています。2024年の大統領選挙の結果次第では、機関投資家や金融機関、米国進出企業にも影響が及ぶ可能性があります。

この解説は2024年2月時点の情報に基づいたものです。

牧之内 芽衣


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。