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【1分解説】異次元の少子化対策とは?

谷口 智明

  音声解説

「異次元の少子化対策」とは、2023年1月に岸田首相が年頭会見で検討を表明した少子化対策のことです。「少子化問題は待ったなしの課題」であり「こども政策を体系的に取りまとめた上で、6月の骨太方針までに将来的なこども予算倍増に向けた大枠を提示していく」考えを示しました。

そこで、政府は「こども未来戦略会議」を設置し、今後3年間を集中取組期間と位置づけた「加速化プラン」を提示したところです。このプランは、経済的支援の強化と若い世代の所得向上、子育て世帯への支援拡充、共働き・共育ての推進、社会全体の意識改革という4つの柱で構成されています。特に注目されるのは経済的支援の強化で、児童手当の所得制限の撤廃や高校卒業までの支給期間の延長、第三子以降には支給額を3万円に倍増すること等が盛り込まれました。

一方で、本プランの実施には新たに3兆円半ばの財源が必要です。政府は社会保障の歳出改革や社会保険料の上乗せで調整するとの報道もありましたが、結局、具体策は示されず「さらに検討する」こととなりました。とりわけ新たな社会保険料負担の増加には異論もあり、財源の確保は容易ではありません。少子化対策を社会全体で支えるためには、中・長期的な視点から様々な財源を組み合わせ、社会全体で広く負担する必要があるのではないでしょうか。

この解説は2023年6月時点の情報に基づいたものです。

谷口 智明


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

谷口 智明

たにぐち ともあき

総合調査部 研究理事
専⾨分野: 財政・社会保障、教育

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