暑さが妨げるシニア世代の健康づくり

~残暑を乗り切る睡眠環境の工夫~

北村 安樹子

目次

1.暑さが妨げる健康づくり

厳しい残暑が続くなか、特に65歳以上のシニア世代には、日中の外出を控え、自宅で過ごす時間が増えている人が多いだろう。

日本ではシニア世代の多くが、ふだんから生活のさまざまな側面で健康づくりを意識している。内閣府が昨年行った調査では、健康について心がけている人は65歳以上男女の9割超を占め、「健康診査などを定期的に受ける」(67.7%)、「休養や睡眠を十分にとる」(67.3%)、「栄養のバランスのとれた食事をとる」(65.8%)などの項目が上位に挙げられた(図表1)。

しかしながら、この夏の猛暑は、ふだんは多くのシニア世代が心がけている健康づくりを難しくさせた面もあった。通院や健康診査のための外出がふだん以上に負担に感じられたり、寝苦しい夜が続き、睡眠不足や食欲の低下を経験した人もいたと思われる。ピーク時に比べるとかなり和らいだものの、多くの地域でまだ気温の高い日が続いている。屋内外での暑さ対策は、健康づくりの観点からも、引き続き重要になると考えられる。

図表1
図表1

2.猛暑で求められた「眠っている時間」「夜間」の心がけ

図表1でみたように、「休養や睡眠をとる」ことを意識している人は比較的多いものの、シニア世代が健康に関して心がけていることの多くは、「起きている時間」や「日中」の生活にかかわる行動が中心だろう。また、猛暑が続いているこの夏は、熱中症予防の観点から屋外では炎天下を避け、日傘や帽子を利用したり、こまめに休憩をとること、室内ではエアコン・扇風機などをうまく活用し、いずれの場合もこまめな水分補給を心がけることが呼びかけられてきた。

しかしながら、気温が高い時期は、「起きている時間」や「日中」の生活・行動にかかわるこれらの心がけに加え、「眠っている時間」や「夜間」の過ごし方にもさらなる留意が必要だ。夜間、暑さのために寝苦しさを感じたり、睡眠不足になることは、日中の活動に悪影響を及ぼす可能性がある。また、高齢者は暑さや水分の不足を感じにくい。エアコンや扇風機の利用が、深刻な体調不良を防ぐことにつながる場合もある。氷枕や保冷剤、冷たいタオルといった多様なツールをうまく活用することも、寝苦しさを和らげる。これらはエアコン・扇風機の故障・不調時など、いざというときの暑さ対策にも役立つ。

3.睡眠環境の見直しで、残暑を乗り切る

シニア世代には、1人暮らしや夫婦のみで暮らす人が増えている。睡眠中の体調の異変に気づく人がいない環境下で眠る人が多いことも、「睡眠」や「夜間」の心がけが重要になる理由だ。

また、先に述べた室温調整や、入眠・起床時の水分補給のしやすさといった面に加え、涼しさを感じやすい衣類や寝具を利用してみることも、心身にリラックス効果をもたらして、良質な睡眠をとりやすくすることにつながるだろう。

残暑が続くなか、寝苦しさを和らげ、安心して眠れる環境を整えることは、自身や家族が起きている時間を健康に過ごす上で大切な視点になる。65歳以上のシニア世代には、ふだんから「休養や睡眠をとること」の重要性を意識している人が多いものの、残暑の続く日々に「暑さ」への対処の必要性をあらためて感じている人もいるだろう。自身や家族の睡眠環境を安全性や快適性の観点から見直してみてはいかがだろうか。

北村 安樹子


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北村 安樹子

きたむら あきこ

ライフデザイン研究部 主任研究員
専⾨分野: 家族、ライフコース

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