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教育格差が経済の男女格差を広げる?

~ジェンダー・ギャップ指数に表れない日本の深刻な教育格差~

鄭 美沙

要旨
  • 世界経済フォーラム(WEF)が公表したジェンダー・ギャップ指数2023によると、日本の男女格差は146ヵ国中125位であった。低順位の要因は経済と政治分野であり、本結果からは教育は男女平等であるようにもみえる。しかし、教育を構成する指標は、先進国はほとんど達成済のものである。指標になっていない、かつ経済参画にもつながるところに、日本では深刻なジェンダー・ギャップが生じている。
  • 一つ目は高等教育機関におけるギャップだ。大学院在学者は男性より女性が少なく、その影響で女性研究者比率もOECD諸国より低い。要因の一つは、理工系学部への女性進学率の低さだ。男性の学部進学者のうち、理工系の割合は28%である一方、女性は約7%に留まる。理工系人材は今後需要が高まると想定されており、このままでは男女の賃金格差がさらに広がりかねない。
  • 進路選択の男女差は、「女性は数学が苦手」といったステレオタイプや、理科や算数・数学の先生に女性が少ないなど身近なロールモデルの不在から生じる。企業によるロールモデルの構築・発信も重要である。
  • 二つ目は社会人教育だ。自己啓発を行った人や専門職大学院・経営系の大学院の学生には、女性が少ない。家事・育児の負担が偏っていることなどが要因と考えられるため、働き方改革や性別役割分担意識の払拭等が求められる。
  • 三つ目は、アントレプレナーシップ(起業家)教育である。積極的に取組んでいる大学や、ビジネス・マネジメントの基本を学びやすい商学・経済系学科の女性比率は30%程度である。女性管理職比率が低く、企業内でリーダーシップやマネジメントを実践的に学ぶ機会も少ないとみられる。
  • これらの教育は、労働参加や転職、昇進等につながる。つまり、経済と教育は連動しており、ジェンダー・ギャップ指数に表れない教育格差に目を向けることは、経済参画のギャップ解消に寄与する。指数をヒントに自国の課題をさらに深堀することや、ギャップを適切に把握するためのデータ整備も求められよう。重層的に施策が進むことを期待する。
目次

1. ジェンダー・ギャップ指数とは

2023年6月、世界経済フォーラム(WEF)がジェンダー・ギャップ指数2023を公表した。ジェンダー・ギャップ指数とは、各国における男女格差を測るもので、2005年から毎年公表されている。今回日本は146ヵ国中125位と前年調査(116位)より低下、過去最低となった。

この順位は、経済参画・教育・健康・政治参画の4つの分野で、データに基づいた計14の指標を総合評価したものである(資料1)。0が完全不平等、1が完全平等を表している。分野別に見ると、経済参画と政治参画が日本の低順位の要因といえる。

図表1
図表1

なお、ジェンダー・ギャップ指数は全体的な水準ではなく男女差を測るため、例えば男女ともに同程度識字率が低い場合は評価が高くなる。すなわち、順位が高くても、相対的に暮らしやすいとは限らない点に留意が必要だ。

教育分野は0.997と完全平等に近く、男女平等であるようにもみえる。しかし、教育を構成する指標は「識字率」「初等教育就学率」など、先進国はほとんど達成済のものだ。大学院や理工系学部への進学、社会人教育、アントレプレナーシップ教育等、今日的に重要性が高まっており、経済参画にもつながる教育については指標になっていない。そして、日本ではこれらに深刻なジェンダー・ギャップが生じているため、本稿では詳細を考察する。

2. ジェンダー・ギャップ指数の算出方法

まず、前提となるジェンダー・ギャップ指数の算出方法を説明する。資料2が、4分野14指標毎の、2023年の日本の結果である。

図表2
図表2

総合順位の算出にあたっては、まず4分野の指標をそれぞれスコア化する。男女比が指標となっているもののスコアは、女性÷男性の数値であり、基本的に1以上は1となる(出生児性比や健康寿命は生物学的特性を考慮、注1)。労働参加率の場合、女性54.20%÷男性71.40%=0.759という計算だ。次に、指標にウェイトが付けられる。ウェイトは標準偏差の低い項目の方が高くなる。つまり、バラつきが小さい、例えば初等教育就学率のように、多くの国でジェンダー・ギャップが解消されたにもかかわらず、ギャップが大きい国は評価を下げることになる。分野毎の順位は、ウェイト付けされた指標のスコアを基に算出される。そして最後に、4分野のスコアを均等に25%ずつのウェイトで合計し、総合的なスコアと順位が決まる。

3. 大学院進学と専攻

前掲資料2のとおり、教育分野は高等教育就学率(男性66.07%、女性64.47%)が順位を下げている(注2)。差が1.6%とわずかにも思えるが、他国は達成済や女性の方が高いこともあるため105位になっている。

ここには大学のほか短期大学や大学院も含まれており、より詳細に見ると大学院進学のジェンダー・ギャップが大きい。2022年度の大学院在学者のうち、女性は32.7%(修士課程31.7%、博士課程34.2%)だ。2006年に30.2%と3割を超えたが、15年以上経って大きな変化は見られない。この差は、修士・博士号取得者の多い研究者の数に影響を与えている。2021年の企業・大学等合わせた女性研究者比率は17.5%であり、ドイツ(28.1%)、英国(39.0%)、フランス(28.3%)等、主要国よりも低い。

これらの要因の一つとして、大学院進学や研究者を選択する人が多い理工系学部への女性進学率が低いことがある。資料3のとおり、男性の学部進学者のうち、理工系(理学部+工学部)の割合は28%(約8.4万人)だ。一方、女性は約7%(約1.9万人)と、OECD平均の15%よりも大幅に低い。

図表3
図表3

理工系人材は、STEM分野(注3)として今後特に需要が高まると想定されている。2030年に先端IT人材が54.5万人不足するという試算もある。人材獲得に向け、企業がこうした人材を高待遇で雇用する場合、理工系が男性に偏ったままでは男女の賃金格差は広がる一方だ。需給ギャップを埋めるためにも、女性の進路選択の拡大は重要な施策である。

4. ステレオタイプとロールモデル

では、なぜ理工系に進む女性は少ないのだろうか。瀬沼(2021)によると、TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)の中学2年生の数学の結果に男女差はなく、高校1年生が対象となるPISA(OECDによる生徒の学習到達度調査)の数学的リテラシーの得点で、男子の方が統計的に有意に高くなる。文理選択や進路を考え始める時期に、成績に違いが生じるようだ。しかし、その差は10点(男子532点、女子522点(2018年))と小さい上、PISAに参加する多くの国・地域で同様の傾向がみられる。それにもかかわらず、日本はOECD諸国より女子の理工系や自然科学系への進学率が低いということは、数学の成績以外に要因があると考えられる。

その一つとして、「女性は数学が苦手」というステレオタイプの存在がしばしば指摘されている。成績のみならず数学への関心や自身の能力への評価も下げているという研究例が多くある(森永(2017))。例えば、日下田(2022)は、算数の上手な勉強の仕方が分からず不安を抱えている女子は、ジェンダーステレオタイプを受容しやすく、理系意識を持ちづらいと述べている。これは、周囲やメディアの「女子は国語が得意」「女子なのに算数ができる」といった声によって無意識に醸成されるため、まずは大人が自身のステレオタイプに気付く必要がある(注4)。

また、身近なロールモデルとなる学校の理科や算数・数学の先生に女性が少ないことも進路選択に影響を与えている。内閣府が公表した調査によると、中学校で理数科目(数学・理科)を1科目でも女性教員から教わっている女子の方が、2科目ともに男性教員から教わっている女子より、自身を「理系タイプである」もしくは「どちらかといえば理系タイプである」と位置付けている割合が高い。ロールモデルとしての女性教員の重要性が示唆される。

大学等への進路選択が近づくと、企業におけるロールモデルも大事となる。その職種で働いているイメージが湧かない、妊娠・出産等ライフイベントを経てもキャリアアップができるか分からない、といった女性が少ないことに起因する不安は生徒の選択や親のアドバイスに影響を与える。企業は、働きやすい環境を整えて女性の理工系社員を増やし、珍しい存在ではなくするとともに、中高生に向けた情報発信も求められよう(注5)。

なお、数学の成績と同様に、女性に対するステレオタイプも日本以外の国にもみられる。従って、この存在がOECD諸国との違いの大きな要因とは言い切れないが、ジェンダー・ギャップの深刻さを鑑みると、その払拭に取組む必要性は特に高いといえる。

また、2022年度の国立大学在学者の女性比率は35%である。このギャップも入試に数学が課されることが一因と考えられる。データ分析のように数学の知識が求められたり、イノベーションに向けて分野横断的知見が重要視されたりするなか、そもそも高校段階で早期に文理が分かれること自体も見直すべきであろう。さらに、2014~2019年の5年間で、多くのOECD諸国で理工系学部卒業生が増えているが、日本は変化がない。文部科学省が理工農系学部を拡充する支援事業(注6)を始めたように、ジェンダー・ギャップの解消に加え、男女ともに進路の幅を広げる施策が必要である。

5. 社会人教育

ジェンダー・ギャップが大きいものとして社会人教育も挙げられる。厚生労働省「能力開発基本調査」によると、2021年度に自己啓発を行った男性は40.9%、女性は27.6%であった。拙稿「社会人でも生じる教育格差~学び直しをしやすい環境としづらい環境~」で述べているように、女性は非正規雇用の割合が男性より高く、正社員より自己啓発支援を受けづらいことや、家事・育児の負担が重く学ぶ時間を取りづらいことが要因と考えられる。

また、教育機関が開講する、仕事に直結する学びにもジェンダー・ギャップがある。ビジネスや会計、法律等の分野で高度専門職業人を養成する専門職大学院では、女性比率は約35%である。さらに、都内で開講されている夜間の社会人向け経営学系大学院、いわゆるMBAが取得できる4校の女性比率をみたところ、いずれも25%前後であった。女性にとって、仕事・家庭・学びの3つのバランスを取ることは依然として困難のようだ。なお、米国フォルテ財団によると、米国のトップビジネススクール14校では、2022年のフルタイムプログラムの女性入学率が45%以上となった。20年前は27%で、女性の少なさが指摘されてきたなか、少しずつ改善された結果である。

リスキリングやリカレント教育によるスキルアップは、転職や昇進、すなわち賃金上昇の機会となる。政府や企業がリスキリングを推奨するなか、男女公平な学びの機会を提供しなければ、賃金格差はさらに広がる。働き方改革や「男は仕事・女は家事」といった性別役割分担意識の払拭、業務時間内のリスキリング実施等が求められよう。

6. アントレプレナーシップ(起業家)教育

起業家における男女の偏りは世界的に課題となっている。Silicon Valley Bank(2020)によると、少なくとも1人の女性創業者がいる米国スタートアップは28%だ。2017年22%より上昇しているが、まだ割合は少ない。日本も同様にジェンダー・ギャップが生じている。起業家の女性比率は34.2%であるが、資金調達上位50社のうち、創業者か社長に女性が含まれる企業が手にした調達額は50社総額のわずか2%となる(金融庁(2022))。新規上場企業に占める女性社長の比率も2%と、事業規模が拡大する過程でジェンダー・ギャップがさらに広がっている。

そもそも日本は男女ともに起業が活発ではないため、近年アントレプレナーシップ(起業家)教育の導入が推進されている(注7)。しかし、その受講率にもジェンダー・ギャップが存在する可能性がある。文科省の調査によると、アントレプレナーシップ教育を実施している国公私立大学・短期大学、高等専門学校は33%、全国の学生における受講率は3.2%と低い(注8)。この調査での男女比は不明のため、その他情報より推察する。

文科省は大学発新産業創出プログラム(START)を実施し、アントレプレナーシップ教育・起業支援体制の構築支援等による、大学等発ベンチャー創出を図っている。本事業に参画する大学は、アントレプレナーシップ教育に積極的であるため(注9)、主幹機関となっている10大学の男女比を調べてみた。結果は、学部の女性比率は平均27.8%と、男女偏りなくアントレプレナーシップ教育を受講したとしても、女性受講者が少なくなる。

さらに、一般的にビジネス・マネジメントの基本を学びやすい学科は商学・経済学系であるが、在学者の女性比率は約30%だ。理工系に加え、日本は法学・政治学、商学・経済学に相当する社会科学専攻の女性割合もOECD諸国で最低水準にある(河野(2023))。また、5節で述べたとおり、経営学系大学院の女性比率は低く、社会人になってからも起業やビジネスを体系的に学ぶ機会が少ない。これらを踏まえると、アントレプレナーシップ教育にジェンダー・ギャップが存在すると推察される。

なお、大学発ベンチャーの業種はITやバイオ・ヘルスケア・医療機器が多い。起業につながるシーズを見つけるにあたっても、現状では自然科学系の男女の偏りが課題になるようだ。

また、女性起業家が少ない理由として、知識やノウハウの取得機会のほか、ネットワーク形成機会の少なさも指摘されている。社会人大学院では、多様な学生とのネットワークを築けるため、この点でもジェンダー・ギャップが起業の阻害要因となる。起業時の年齢は、30~40歳代が多い。出産や育児などライフイベントが重なる時期だ。社会人教育同様に、女性の家事・育児の負担を軽減させ、学習のほかネットワーク形成の時間確保が必要である。合わせて、若年齢での起業も可能とするために、学生時代から起業を志せるような、大学・企業による支援の強化も求められる。

アントレプレナーシップ教育のみならず、実践的にリーダーシップを身に付ける機会にもジェンダー・ギャップがある。プラン・インターナショナル・ジャパン(2022)によると、授業や部活・委員会、校外学習でリーダーシップを学んだという女子生徒の割合は、中学校・高校ともに共学校より女子校の方が多い。学生時代から性別役割分担意識が働き、男性がリーダー、女性がサポート役という位置づけになりやすいという指摘があり、そうした傾向が反映された可能性がある。ただし、学生時代にはリーダー経験の有意な男女差がないという研究もある(坂田(2019))。

男女差があると仮定しても、企業の管理職比率の差ほどではないだろう。前述のとおり、起業時の年齢は30~40歳代が多く、一般的に管理職になった頃だ。日本の女性管理職比率は低く、男性の方が企業内でリーダーシップやマネジメントを経験する機会が多い。リーダー経験がないから管理職になれない、管理職になれないからリーダー経験が乏しい、双方向の因果があるが、いずれにせよリーダーシップを経験から学ぶ機会は、学生時代よりも企業内で男女差が拡大するといえる。

以上をまとめると、アントレプレナーシップ教育と実践的なリーダーシップ経験という起業につながる2つの学びにジェンダー・ギャップは存在する。

7. まとめ~分野・部門横断的にジェンダー・ギャップ解消に取組むべき~

本稿では、大学院進学と専攻、社会人教育、アントレプレナーシップ教育等において、ジェンダー・ギャップが生じていることを確認した。これらを踏まえると、3つの示唆がある。

(1)経済参画と教育のつながり

前述のとおり、今後需要の拡大が見込まれる理工系に女性が少ないことは、男女の賃金格差拡大の要因になりうる。また、社会人教育は、転職や昇進による賃金上昇や起業につながるネットワーク形成に寄与する。要するに、日本のジェンダー・ギャップ指数が低い原因である経済参画は、教育と密接に連動しているのだ。教育のジェンダー・ギャップ解消は、女性の労働参加率や賃金格差、管理職比率を改善させ、結果として指数を押し上げる。従って、総合的なギャップの解消には、指数に表れない教育格差に目を向けることが非常に重要だ。

(2)ジェンダー・ギャップ指数の活用

ジェンダー・ギャップ指数は「順位」に注目されがちだが、それが何を比較したものなのか、結果が実態を適切に反映しているのかよく考えるべきであろう。冒頭述べたとおり、ギャップを示しているため、順位が高いからといって暮らしやすいとは言い切れない。今回示した教育分野のように、順位算出の指標にならない部分にギャップが存在することもある。自国が取組むべき課題について、ジェンダー・ギャップ指数をヒントに深堀することが、この調査の有効な活用方法である。

(3)データの整備

ジェンダー・ギャップを適切に把握するにはデータが必要だ。全大学の経営学系やデータサイエンス系学部等への入学者やアントレプレナーシップ受講者の女性比率、企業のイノベーションやテック関連部門の女性比率、管理職昇格時の平均年齢や職種毎の勤続年数・賃金の男女差等々、男女の偏りを実感していても、正確なデータが整備されていないものは多い。EBPM(証拠に基づく政策立案、Evidence Based Policy Making)が進められているとおり、効果的な取組みには、まずデータによる実態の可視化が不可欠だ。

本稿では、教育が経済参画のジェンダー・ギャップ解消に寄与すると述べたが、解決策の一つであり、もちろん他にも取組みは必要だ。女性が教育によってスキルを身に付けたとしても、企業が評価しなかったり、家庭の事情でやむを得ず退職したりするようでは、教育の効果を発揮できない。また、地方における進学率や浪人率、偏差値の高い大学の在学者など、本稿で触れていない教育のジェンダー・ギャップもまだある。企業・大学・政府等あらゆる部門でジェンダー・ギャップとその要因を特定し、重層的に施策が進むことを期待する。

以上

【注釈】

  1. 出生児性比は0.944、健康寿命は1.06をジェンダーパリティ(男女比が同率)と設定。
  2. ジェンダー・ギャップ指数における高等教育就学率は、UNESCO, UIS.Stat education statistics data portalの総就学率を用いており、国際教育標準分類(ISCED)のレベル5~8に該当する短期大学、専門学校等、大学、大学院の修士及び博士課程相当が含まれる。文科省実施の学校基本調査における進学率とは集計方法が異なる。学校基本調査では、男子の学部進学率は59.7%、女子は53.4%(2022年度)。進学率は地域によって異なる。
  3. STEMとは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字をとったもの。芸術・リベラルアーツ(Arts/Liberal Arts)のAを加えて、STEAMとされることも多い。
  4. 文学系や看護学系など女性比率が高い専攻もある。「男らしくない」といったバイアスにより、男子が選択しづらくなっている可能性にも留意が必要だ。
  5. 現在、内閣府男女共同参画局が中心となり「理工チャレンジ(リコチャレ)」という取組みが進められている。理工系分野が充実している大学や企業などの紹介や、団体が実施するイベント情報の提供、理工系分野で活躍する女性からのメッセージ紹介などが行われている。
  6. 「大学・高専機能強化支援事業」として、令和4年度第2次補正予算にて3000億円の基金を設置。デジタル・グリーン等の成長分野をけん引する高度専門人材の育成に向けて、大学・高専の成長分野への学部転換や高度情報専門人材の確保に向けた機能強化を支援する。今年7月に初回の支援対象校が選定された。
  7. アントレプレナーシップ教育は起業家教育とも言われ、起業家精神(チャレンジ精神、創造性、探究心等)と起業家的資質・能力(情報収集・分析力、判断力、実行力、リーダーシップ、コミュニケーション力等)を有する人材を育成する教育とされている。
  8. 文部科学省が実施したアンケート調査に基づく結果。国内国公私立大学・短期大学、高等専門学校1,077校を対象とし、回答した868校の実施状況を示している。受講率は、全国の学生数約300万人における受講学生率となる。
  9. 大学発新産業創出プログラム(START)に参画している104校のうち、アントレプレナーシップ教育を実施しているのは87%(90校)。一方、参画していない566校では30%(168校)に留まる。

【参考文献】

  • 河野銀子(2023)「大学におけるジェンダーギャップの現状と課題」内閣府男女共同参画推進連携会議オンラインフォーラム資料
  • 金融庁(2022)政策オープンラボ「スタートアップエコシステムのジェンダーダイバーシティ課題解決に向けた提案」
  • 経済産業省(2016)「-指導事例集-「生きる力」を育む起業家教育のススメ~小学校・中学校・高等学校における実践的な教育の導入例」
  • 厚生労働省(2023)「令和4年度能力開発基本調査」
  • 坂田桐子(2019)「女性の昇進を阻む心理的・社会的要因」『なぜ女性管理職は少ないのか 女性の昇進を妨げる要因を考える』青弓社
  • 瀬沼花子(2021)「学校での算数・数学とジェンダー」『学術の動向』26巻7号
  • 内閣官房教育未来創造会議(2022)「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」
  • 内閣府男女共同参画局(2019)「男女共同参画白書令和元年版」
  • 日本政策金融公庫総合研究所(2022)「2022年度新規開業実態調査」
  • 日下田岳史(2022)「なぜ女子は理系意識を持ちづらいのか」『教育学研究』第89巻第4号
  • プラン・インターナショナル・ジャパン(2022)「日本における女性のリーダーシップ2022」
  • 文部科学省(2022)「令和4年度学校基本調査」
  • 文部科学省(2023)「令和4年度全国アントレプレナーシップ醸成促進に向けた調査分析等業務報告書」
  • 文部科学省科学技術・学術政策研究所(2022)「科学技術指標2022」
  • 文部科学省国立教育政策研究所(2019)「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)~2018年調査国際結果の要約~」
  • 森永康子(2017)「『女性は数学が苦手』―ステレオタイプの影響について考える―」『心理学評論』60巻(2017)1号
  • OECD(2021)“Education at a Glance 2021”
  • Silicon Valley Bank(2020)“2020 Women in US Technology Leadership Report”
  • Sydney Lake“MBA programs are nearly reaching gender parity with more than 41% women enrollment”Fortune 28 Jan.2023
  • World Economic Forum(2023)“Global Gender Gap Report2023”
  • 鄭美沙(2022)「社会人でも生じる教育格差~学び直しをしやすい環境としづらい環境~

鄭 美沙


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。