離婚への許容度とその理由

~子どものいる離婚と離婚後の家族のつながりとは?~

北村 安樹子

目次

1.離婚の現状

「人口動態調査」によると、2020年の離婚件数は約19万組で、このうち親権の対象となる未成年の子がいる離婚は全体の57.6%を占めた(図表1)。

また、2020年に親が離婚した未成年の子の数は約19万人で、実数としては近年減少している。ただ、子どもの数自体が減少してきたことをふまえると、子どもが親の離婚を経験する可能性は、子どもの数が今より多かった時代に比べ増えているだろう。

2.未成年の子の有無で異なる離婚への考え方

内閣府がこのほど実施した世論調査(注1)によると、日本には離婚を許容する人の方が多いが、未成年の子がいる夫婦の離婚にはなお慎重な意見をもつ人が多い実態がある。この調査でたずねられた離婚に対する人々の価値観をみると、未成年の子が「いない」夫婦については、「夫婦の一方でも、あるいは双方が離婚を望んでいるのであれば、離婚した方がよい」という考えに近いとする人が9割近くを占める(図表2)。この割合は、「夫婦の双方が離婚を望んでいても、離婚はできるだけ避けた方がよい」あるいは「いかなる場合も離婚はしない方がよい」とした人を大きく上回っている。

これに対して未成年の子が「いる」夫婦の離婚には「避けた方がよい・しない方がよい」とした人が4割弱を占め、先の結果に比べ20ポイント以上も高い。つまり、日本には離婚を許容する人の方が多く、離婚はそれほど珍しいできごとではないが、未成年の子がいる夫婦の離婚にはなお慎重な意見をもつ人が多いことがわかる。

ただし、未成年の子が「いる」夫婦の離婚でも「離婚した方がよい」とした人の合計割合は約6割を占め、「避けた方がよい・しない方がよい」とした人の合計割合を大きく上回る。なかでも子育て世代にあたる30代では、「離婚した方がよい」とした人の合計割合が全年代で最も高く(図表省略)、子育て中の世代を含めて、様々な理由から離婚した方がよい場合があると考える人も一定の割合を占めることがわかる。

図表 2 未成年の子がいない夫婦・いる夫婦の離婚についての考え
図表 2 未成年の子がいない夫婦・いる夫婦の離婚についての考え

では、これらの人が離婚した方がよいと考える場合とは具体的にどのような場合なのか。調査結果をみると、最も多くあげられたのは「夫婦が結婚生活を続けることが未成年の子に悪影響を与えるのであれば」(60.0%)であり、「未成年の子に対する心のケアがされるならば」(42.3%)に次いで、「未成年の子の生活に対する金銭面での不安が解消されるならば」をあげた人も4割弱を占めた(図表3)(注2)。親夫婦が結婚生活を続けることによる子どもへの様々な影響を考えた場合に、離婚した方がよい場合があると考える人が少なからずいることがわかる。

未成年の子がいる夫婦が離婚したいと考えたときに、 どのような場合であれば認めるべきだと思うか
未成年の子がいる夫婦が離婚したいと考えたときに、 どのような場合であれば認めるべきだと思うか

3.離婚後の家族のつながりとは?

日本では未成年の子に対し、結婚している間は父母が共同で親権を行うが、離婚後はいずれかの親の単独親権となる。このため未成年の子どもがいる夫婦の離婚では、離婚する際に夫婦の協議等により子の親権者を決定する必要がある。しかしながら、離婚によって子どもと親権をもたない親やその親族とのつながりが断たれてしまうことなどが、子の利益を損ねる場合があることが長く指摘されてきた。

このため、離婚後も父母と親子の継続的なかかわりをもつことが子の利益につながるとする考え方や、父母が適切な形で子の養育にかかわることが望ましいといった観点から、面会交流や養育費負担を通じて離婚後も父母が共同で子を養育することを自治体や弁護士等が支援する取り組みも行われてきた(注3)。

2012年からは、離婚届に離婚後の面会交流や養育費に関する取り決めの状況を記入するチェック欄が設けられ、近年では取り決めをしている、とする割合が60%台中盤で推移している(注4)。しかしながら、離婚が選択されるまでのプロセスやその後の生活では、当事者による合意形成や実施が難しいケースもあることが知られている。

子どものいる夫婦の離婚は、親の結婚生活の継続がもたらす子への多様な影響が想定されるがゆえに選択される場合も多い。親同士の深刻な争いや子の将来への不安を和らげるなど、子の幸せや利益を重視する離婚後の家族のつながりとはどのようなものなのか、様々な観点からの十分な議論が必要なのではないだろうか。

【注釈】
1)内閣府『離婚と子育てに関する世論調査』2022年2月4日
2)「金銭面での不安が解消されるならば」をあげた人は、男女とも30代で最も高い
3)例えば、法務省によるホームページやパンフレット等を通じた情報提供など
 (https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00011.html)
4)法務省「離婚届のチェック欄の集計結果」
 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00156.html(2022年5月19日アクセス)

【参考文献】
1)小谷みどり「離婚が認められない国がある?!」2015年4月
2)石塚理沙「離婚後の共同親権について~離婚後の子の養育の現状と共同親権に関する議論~」『立法と調査』、No.427、参議院常任委員会調査室・特別調査室、2020年9月

【関連レポート】
1)北村安樹子「祖父母による孫育て支援の実態と意識~祖父母にとっての孫育ての意味~ 」、2015年7月

北村 安樹子

北村 安樹子

きたむら あきこ

ライフデザイン研究部 主任研究員
専⾨分野: 家族、ライフコース

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