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2021.09.07
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ライフデザイン調査
ペットという家族との暮らしの備え
~「頼り先」という備えの視点~
北村 安樹子
1.ペットとの暮らしの備え
ペットを飼う人には、ペットのことを家族のように感じている人が少なくない。食事や病気の予防に気を配り、病気になれば治療を受けさせ、できるだけストレスの少ない飼育環境を整える。また、老いれば見守りや介護をして、亡くなればその死を悼み、供養したいと考える人も多いのではないか。
食事や医療、飼育環境に加え、病気や介護までをも視野に入れるとなれば、ペットを飼うにあたっては一定の経済的な負担を考えていく必要がある。また、ペットとの暮らしを考えていく上では、お金の面以外にもさまざまな備えが必要になる場合がある。そこで今回は、飼い主が一時的に世話をできない事態が生じた場合の世話や見守りの頼り先、という視点の重要性について考えてみたい。
2.自分・家族の健康とペット
当研究所が2019年はじめに行った調査によると、ペットを飼っている人は18~69歳の回答者全体の約3割で、最も多くあげられたペットの種類は「イヌ」(14.1%)であった(図表1)。
最近ではネコを飼う人も多いといわれるが、調査結果ではイヌを飼っている人が最も多く、ペットを飼っている人の半数近くを占めた。
イヌやネコを含め、ペットを飼う人には、ペットと過ごす時間やペットとの暮らしから得られる癒しが、自分や家族の健康によいと感じている人も多い。実際、先の調査でも、ペットを飼うことが自分や家族の健康によいと思うとした人(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計割合)は77.3%を占めた(図表2)。
このような人はイヌを飼う人やネコを飼う人では8割を超え、その双方を飼う人では9割近くにも及ぶ(図表省略)。
飼い主の多くは、ペットを飼うことを通じて得られる自分や家族へのこのような効用を評価する一方で、ペットがストレスなく穏やかに過ごすことも重視し、そのための様々な対策も考えている。近年では、働き方などの面でペットとの暮らしに制約の多いライフスタイルの人や、1人暮らし等でペットの世話や見守りを頼める家族がいない人にもペットとの暮らしをおくる人がいる(注1)。ペットの種類にもよるが、このような人のなかには、様々な事情でペットの世話や見守りを一時的に誰かに託さなくてはならない経験をしたことのある人もいる。そのような場合に助けを求められる人がいることの有難さや心強さをよく知る人も多いだろう。
3.頼り先を増やすという備えの形
一方で、ペットを誰かに託さなくてはならない事態をまだ経験したことがない人や、これまでは家族を頼ってきた人のなかには、そのような事態への備えの必要性を感じながら日々を過ごしている人もいるかもしれない。現在は頼りにできる家族がいる人を含めて、家族構成やライフスタイルが変化することや、仕事をはじめ自分や家族の急な予定のために、ペットの世話や見守りを誰かに託さなければならない事態等は誰にでも起こりうるだろう。必要な事態に直面してはじめて誰かに相談しなくてはならなくなることや、ペットホテルやペットシッター等を探すことになる場合もあり得なくはない。
誰かに託す必要がある場合や、これまで頼っていた人を頼れない事態への備えには、経済面の備えとともに別の視点も必要になる。自宅でペットの世話や見守りを頼める人や、安心して託せる預け先があること、また、自宅でみてもらう場合には、自分や家族の不在時に自宅に他者が入ること、自宅の鍵を他者に託すこと、等である。ペットの種類や性格によっては、ふだんとは異なる人と接することや、異なる環境で過ごすことに慣れさせておくことも必要になるかもしれない。経済面での備えとともに、このような場合に利用できるサービスについて調べ、それらを実際に利用してみること、困ったときに相談できる関係をもつことは、ケアの必要な家族との暮らしを考えていく場合と同じように、ペットという家族との暮らしを考えていく際に、飼い主とペットの双方にとって心強さや安心感につながるのではないだろうか。
【注釈】
1)調査結果では単身世帯でペットを飼う人は14.1%と、回答者全体の平均(31.2%)を10ポイント以上下回っている。
北村 安樹子
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 北村 安樹子
きたむら あきこ
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ライフデザイン研究部 副主任研究員
専⾨分野: 家族、ライフコース
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