Side Mirror(2024年1月号)

佐久間 啓

早いもので経済研レポートも2024年1月号の発行。これを書いている12月頭でも日によっては12月とは思えない暖かさで今年は昨年以上に“師走感”をほとんど感じない。2023年の金融市場では世界的なインフレが2022年のピークアウトから低下に向かうのかそれとも高止まりするのか、主要先進国政策金利のターミナルレートは見えるのか、といった点に注目が集まったが、インフレとの闘いには何とか勝てる目途がついたと市場は判断したようだ。その一方で地政学上の紛争、問題はなかなか解決への道筋が見えない厳しい状況が続いている。

2024年はどんな年になるのか。相場に世界では古くから干支に絡めて「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる。子は繁盛、丑つまずき、寅千里を走り、卯跳ねる」と言われてきた。もちろん当たった年もあれば全く逆の年もあるので年末年始の挨拶回りの話のネタでしかないのかもしれない。しかし米国でも「大相場は絶望と悲観の中で底を打ち、懐疑とともに育ち、幸福感とともに消えていく」と言われており相場には投資家の心の揺れに伴うリズムがあることを教えてくれる。とすれば日本人になじみの干支に絡んだ格言も相場のリズムを表現したものだとすればあながち“話のネタ”と切ってしまうのも惜しい気もする。

2024年は“辰巳天井”の辰年だ。直近の辰巳は1988年~1989年、2000年~2001年、2012年~2013年。3回のうち2回は〇〇バブルで株価がピークを付けた時期に重なる。ちなみに2023年プロ野球の世界ではあの球団が“あれ”した。あの球団が“あれ”したのは直近では1985年、2003年、2005年。あの球団が“あれ”するとその後数年は経済堅調、株価も好調と言われて年末年始の挨拶回りの恰好のネタになっていた時期があった。だから何だ、という話ではあるが…。

いやいやジンクスで生きていけるほど市場は単純にはできていない。2024年何が起きるか分からないが、何が起きてもパニックにならないように頭の体操を続けることが生き残る秘訣だと思っています。

(佐久間 啓)

佐久間 啓


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