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よく分かる!経済のツボ『セルフメディケーションのすすめ』

髙宮 咲妃

目次

セルフメディケーションって何?

先月7月24日は「セルフメディケーションの日」、その日を含む月曜日から日曜日までを「セルフメディケーション週間」として健康に関する様々なイベントが行われました。WHO(世界保健機関)の定義によると、セルフメディケーションとは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」とされています。

国としてもセルフメディケーションを推進する政策がとられており、2017年には、従来の医療費控除制度の特例として「セルフメディケーション税制」が施行され、健康診断等を受診している人が、厚生労働省指定の市販薬を購入した際に所得控除が受けられるようになりました(通常の医療費控除との選択適用)。税制が適用される市販薬には共通識別マークが表示されています(資料1)。この特例は当初の予定から5年延長され、2026年末まで適用されます。

なぜセルフメディケーションは必要なのか

セルフメディケーションが推進される背景には,医療機関等における保険診療の対象となる国民医療費の増加があります。厚生労働省によると、2019年度の国民医療費は44.3兆円と、30年前と比較して2倍以上に膨らんでいます。さらに2040年には76.3兆円になる見通しとしており、社会保障給付の持続性が課題となります(資料2)。

国民医療費の増加は、高齢化に伴う慢性疾患および生活習慣病等の医療費の影響が一因です。人生100年時代と言われる今、平均寿命と健康寿命の乖離は、2019年度現在男性は8.73年、女性は12.06年と、男女ともに約10年あります(資料3)。健康寿命をいかに延伸させるかが、医療費の抑制と個々人の幸せな老後を送るために重要なのではないでしょうか。

セルフメディケーションは「日本再興戦略(2013)」、「未来投資戦略(2017)」をはじめ、2022年6月に閣議決定された「骨太の方針2022」にも明記されている国家戦略です。軽度な段階ではまず近所の薬局の薬剤師と相談しながら治療する、まさに「セルフメディケーション」の心掛けが重要です。

髙宮 咲妃


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