内外経済ウォッチ『米国~利上げは加速で22年末に終了へ~』(2022年6月号)

桂畑 誠治

目次

FRBは50bpに利上げ加速

FRBは、22年5月のFOMCで利上げ幅を22年ぶりとなる50bpに拡大することを決定した上、6、7月も50bpの利上げ継続を示唆した。また、バランスシートの縮小を6月1日に開始すると決定した。上限は、当初月額475億ドル、3ヵ月後に月額950億ドルに増額する。

パウエル議長は、利上げ幅を75bpに拡大することは、FOMC内で積極的に検討されていないと指摘した。ただし、FRBは不透明感の強い経済・金融環境を映じ、柔軟な政策運営を行う方針を示しており、インフレの動向次第で、利上げ幅の75bpへの拡大や9月のFOMC以降50bpの利上げを継続する可能性がある。金融市場では、23年に入ってもFRBが利上げを継続し、3.4%付近まで政策金利を引き上げると予想されている。

労働市場逼迫も物価にピークアウトの動き

景気全体を示すISM景気指数は、製造業、非製造業ともにピークから低下傾向にあるものの、高い水準を維持、景気の堅調持続を示している。労働市場では、4月の非農業部門雇用者数が前月差+42.8万人(3月:同+42.8万人)と高い伸びを続け、3カ月移動平均で前月差+52.3万人(3月:同+54.9万人)と速い回復基調を維持している。また、労働参加率が62.2%にとどまるもと、4月の失業率は3.6%(3月:3.6%)に止まり、労働市場の逼迫が続いている。このような労働市場の逼迫により、4月の給与所得は前年比+11.7%(3月:同+11.8%)と高い伸びを続け、消費を支えている。一方、インフレは、22年3月の個人消費支出(PCE)コアデフレーターが前年同月比+5.2%(2月:同+5.3%)と高い伸びだが、ピークアウトの動きを示した。

個人消費支出コアデフレーター(前年同月比)
個人消費支出コアデフレーター(前年同月比)

22年半ばに中立金利に到達、年末に引締め的水準に

FRBは、労働市場の過熱を抑え、インフレの低下を促すために、できるだけ早期にFF誘導目標が中立金利を上回ることを目指している。6、7、9月に50bpの利上げを行えば、FF金利誘導目標が2.25~2.50%とFOMC参加者が試算した中立金利の中央値である2.375%を上回る。

前年の急上昇の影響もありPCEコアデフレーターは低下するほか、年前半の市場金利の急上昇やウクライナ危機による世界経済の鈍化等を背景とした景気減速で、労働市場の逼迫は徐々に緩和すると予想される。11、12月に25bpの小幅の利上げを行うことでFF金利誘導目標は2.75~3.00%と引締め的な水準となり、23年もインフレの低下、労働市場逼迫の緩和が継続することから、FRBは様子見に転じ、政策金利の据え置きを続ける公算が大きい。

FOMC参加者の中立金利(中央値)
FOMC参加者の中立金利(中央値)

桂畑 誠治

桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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