2025年7-9月期GDP(2次速報値)予測

~1次速報から変化なしを予想も、基準改定による過去数値の改定に注意~

新家 義貴

1次速報から変わらずと予想

12月8日に内閣府から公表される2025年7-9期実質GDP(2次速報)を前期比年率▲1.8%(前期比▲0.4%)と、1次速報から変化なしと予想する。設備投資と公共投資が1次速報から下方修正される一方、民間在庫変動が上方修正されるとみられることが相殺し、GDP全体としては修正されないと予想している。設備投資が下方修正される分、1次速報対比で内容は悪化するとみられるが、景気認識に修正をもたらすほどではないだろう。需要項目別にみても、住宅投資と輸出が足を引っ張ることでマイナス成長という構図は変わらないとみられる。

7-9月期マイナス成長の主因である住宅投資については、前期比ベースでの落ち込みは一時的なものにとどまる可能性が高いことに加え、輸出についても4-6月期の増加からの反動やサービス輸出減といった面もあるため、7-9月期の成長率の弱さについて過度に悲観視する必要はないだろう。これまでのプラス成長と均してみれば景気は上向きと言って構わない。当初懸念されていたような、トランプ関税の影響で日本からの輸出が失速するといった事態は避けられており、景気腰折れに直結する動きは現時点で確認されない。

もっとも、輸出の先行きには不安が残る。米国経済は底堅く推移しているが、方向としては減速傾向にある。関税引き上げの価格転嫁も徐々に進んでいくことに加え、雇用情勢に陰りが出ていることが、低所得者層を中心として個人消費を下押しするだろう。日本からの輸出は当面、低調に推移する可能性が高いとみている。住宅投資の落ち込みに歯止めがかかることや設備投資の増加によって10-12月期のGDP成長率はプラスに転じるとみられるが、輸出の下押しが影響することで、7-9月期の落ち込みと比べると小幅な持ち直しにとどまると予想している。牽引役に欠けるなか、年度下期の日本経済は緩やかな持ち直しにとどまる可能性が高い。

基準改定により過去の値が改定されることに注意

今回の2次速報値公表に際しては、通常の1次速報から2次速報への改定に加え、約5年に一度の「基準改定」が実施される。これは、「産業連関表」、「住宅・土地統計」、「国勢統計」といった構造統計をベンチマーク(基準)として取り込み、過去の計数を再推計する作業であり、合わせて推計方法の見直し等も行われる。この基準改定により、しばしば過去の値が大きく修正されることがあるため注意が必要だ。

内閣府は、今回の基準改定(2015年基準→2020年基準)により、2020年の名目GDPの水準が14.4兆円(改定前GDP比2.7%)程度上方修正されると試算している。産業連関表の反映でソフトウェアを中心に設備投資の水準が大きく嵩上げされることや、住宅・土地統計の反映により住宅賃貸料が上振れることで個人消費の水準も上方修正されるとみられる。名目GDPの水準に関してはかなりの上方修正になることは確実だろう。一方、今回の改定が成長率にどういった影響を及ぼすかは、現時点では分からない。いつも以上に今回の7-9月期の2次QE予測は難しいため、かなりの幅を持って見る必要があり、あくまで参考程度にとどめておくのが良いと思われる。また、7-9月期の値以外に、過去の値についても大きく成長率が改定される可能性もあるため、その点にも注意が必要だ。

需要項目別の動向

実質設備投資は前期比+0.6%と、1次速報の前期比+1.0%から下方修正されると予想する。本日公表された25年7-9月期の法人企業統計では、名目設備投資(ソフトウェア除く)は前年比+2.9%と、4-6月期の同+5.2%から鈍化した。季節調整済前期比でも前期比▲0.3%と微減である。これを元に設備投資の需要側推計値を試算すると、1次速報から下方修正となる。供給側推計値は1次速報対比でやや上振れたとみられるが、需要側の下押しが勝り、設備投資は2次速報で下方修正されると予想される。

デジタル・省力化投資、研究開発投資などによる押し上げもあり、設備投資は増加傾向が続いている。企業収益については、トランプ関税の影響により自動車関連企業の業績は下振れているが、全体としてみれば企業収益の水準が高いこともあって、現時点では企業の設備投資計画が下振れる事態にはなっていない。もっとも、今後、輸出への悪影響が強まる場合、輸出関連製造業を中心に設備投資の手控え・計画見直しといった動きが顕在化する可能性は残る。設備投資の増勢は今後鈍化する可能性があるため、先行きについては慎重に見ておく必要があるだろう。

民間在庫変動は前期比寄与度▲0.1%Ptと、1次速報の▲0.2%Ptから上方修正されると予想する。法人企業統計の結果を受けて、1次速報段階では仮置きだった仕掛品在庫と原材料在庫がそれぞれ上方修正されるとみられる。

公共投資は前期比▲0.6%と、1次速報の同+0.1%から下方修正されると予想する。1次速報で未反映だった9月分の建設総合統計の結果が下振れたことが影響するだろう。

図表
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新家 義貴


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新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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