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2025.02.19
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RBNZは4会合連続の利下げに加え、当面の追加利下げを示唆
~NZドル相場は上値の重い展開が続くほか、日本円に対しては政策の方向性の違いが意識されるか~
西濵 徹
- 要旨
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- ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は19日の定例会合で政策金利(OCR)を50bp引き下げ3.75%とする決定を行った。RBNZは昨年11月の前回会合で先行きの大幅利下げに含みを持たせる考えを示しており、その通りの決定となった。足下の利下げ局面での利下げ幅は累計175bpと急速な利下げに舵を切っている。昨年来の同国経済は景気後退局面入りするなか、足下のインフレはRBNZが定める目標域内で推移している上、景気低迷を受けて雇用環境も急速に悪化しており、大幅利下げへの環境が整ったと捉えられる。
- 会合後に公表した声明文では、先行きの政策運営についてさらなる利下げ余地に言及するなど「ハト派」姿勢をあらためて示している。インフレ報告で示したOCR見通しでは短期的な追加利下げを示唆するとともに、オア総裁も年半ばまでに追加で50bpの利下げに言及している。他方、足下の企業マインドは底打ちするなかでオア氏は景気回復の可能性に言及しており、景気動向をみながら判断する可能性はある。このところのNZドルの対米ドル相場はRBNZのハト派傾斜が重石となってきたが、当面は上値の重い展開が続くと見込まれるほか、日本円に対しては金融政策の方向性の違いが意識されやすい状況が続くであろう。
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、19日に開催した定例の金融政策決定会合において、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を50bp引き下げて3.75%とする決定を行った。RBNZによる利下げは4会合連続である上、過去3会合については50bpの大幅利下げを継続させるなど『ハト派』姿勢を強めている。なお、RBNZは昨年11月の前回会合に際して大幅利下げを実施するとともに、先行きの政策運営についても一段の大幅利下げを継続する方針を示していた(注1)。よって、今回の決定は全会会合で示された方針に沿ったものと捉えられるとともに、今回の決定により足下の利下げ局面における利下げ幅は累計175bpとなり、OCRも2年半近くぶりの水準となるなどハト派姿勢を強めている様子がうかがえる。

なお、ここ数年の同国ではコロナ禍の影響一巡による経済活動の正常化、商品高、国際金融市場での米ドル高を受けた通貨NZドル安に伴う輸入物価の押し上げも重なり、インフレが大きく上振れしてきた。さらに、RBNZがコロナ禍対応を目的に異例の金融緩和に動いて金融市場が『カネ余り』の様相を強めたなか、その後の景気回復を受けて不動産市況は急騰するなどバブルが懸念される事態に見舞われた。よって、RBNZは物価と為替、不動産市況の沈静化を目的に累計525bpの断続利上げに動いたものの、その後もインフレは高止まりするなど物価高と金利高が共存する状況が続いた。なお、2022年後半にインフレは一時30年ぶりの水準に高進したものの、その後はRBNZによる金融引き締め効果に加え、商品高の一巡も重なり頭打ちの動きを強めている。さらに、物価高と金利高の共存状態が長期化したことを受けて、昨年の同国経済はリセッション(景気後退局面)入りするとともに(注2)、昨年末にかけても力強さを欠く動きをみせてきた。
さらに、上述したようにインフレは頭打ちの動きを強めるなか、足下では2四半期連続でRBNZの定めるインフレ目標(1~3%)の範囲内で推移するなど落ち着いた推移をみせている(注3)。なお、足下のインフレはRBNZの想定をわずかに上回る動きをみせているほか、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率も頭打ちが続くも、依然としてインフレ目標をわずかに上回る推移が続くなど、サービス物価を中心に上昇圧力がくすぶる動きもみられる。こうした状況ながら、足下の景気が頭打ちの動きを強めていることを受けて、雇用を取り巻く環境が急速に悪化する動きが確認されており、RBNZにとっては大幅利下げの実施に向けた環境が整ってきたと捉えられる。

よって、会合後に公表した声明文では、今回の決定について「経済見通しはインフレが中期的に目標域内に留まる状況と整合的であり、OCRの引き下げ継続を後押しする」との見方を示している。その上で、経済状況について「依然低迷が続いている」、「余剰生産能力を受けてインフレ圧力は緩和している」としつつ、先行きは「金利低下に伴う支出増が見込まれる一方、世界経済を巡る不確実性の高まりが投資の足かせになるも、年内の回復が見込まれる」との見通しを示している。また、物価動向について「NZドル安とエネルギー価格の上昇が短期的な上振れ要因になる」ものの、「中期的な物価安定を維持し、将来的なインフレに対するショックに対応する態勢は整っている」としつつ、「世界的な通商政策を巡るリスクの影響については現時点で不透明」との見方を示している。また、同時に公表したインフレ報告で示されたOCRの見通しでは、当面は断続的な利下げ実施に舵を切る可能性を示唆するとともに、声明文でも「経済状況が想定通りに進展すれば年内にOCRをさらに引き下げる余地がある」との考えを示すなど、一段の利下げに含みを持たせている。
また、会合後に記者会見に臨んだRBNZのオア総裁も、先行きの政策運営について「今年半ばにかけて50bpの利下げが見込まれる」としつつ、「4月と5月の会合で25bpずつの利下げが正当化される」との考えを示すなど、断続利下げに言及している。その上で、足下の経済状況について「顕著な余剰生産能力が足かせになっている」とした上で、「短期的なリスクは景気減速懸念である」一方「長期的なリスクには世界経済の足かせとなる米トランプ政権による通商政策が含まれる」としつつ、「マインドが改善すれば景気は加速の動きを強める可能性がある」との見方を示している。この背景には、昨年末にかけて幅広く企業マインドは50を下回る推移をみせるなど景気減速が示唆される展開が続いたものの、1月については製造業、サービス業ともに大きく底入れしてともに50を上回る水準となるなど景気回復を示唆する動きをみせていることに留意したと捉えられる。一方、OCRの水準について「3.75%は中立金利の水準の最上限」との見解を示すとともに、「中立金利で維持することが出来れば素晴らしい状況になる」、「景気が好転する兆しがみられる」として、利下げに含みを持たせつつその判断を巡っては景気動向を注視する考えをみせている。


なお、このところのNZドル相場を巡っては、RBNZによる大幅利下げ観測が重石となる展開が続くとともに、米トランプ政権の通商政策を巡る不透明感が米ドル高圧力を招くとの見方も足かせとなる展開が続いてきた。足下では米ドル高の動きに一服感が出る兆しはみられるものの、RBNZが断続利下げに言及するなどハト派姿勢が意識されやすい状況にあることに鑑みれば、先行きのNZドルの対米ドル相場は上値の重い展開が続く可能性に留意する必要がある。オア総裁も足下のNZドル相場について「『フェアバリュー』に近く、所得押し上げに資する」との見方を示すなど好感している様子がうかがえる。さらに、対日本円相場については金融政策の方向性の違いが意識される形で上値が抑えられる展開が続くことに留意する必要がある。

注1 2024年11月27日付レポート「ニュージーランド準備銀、追加緩和に加えて当面は大幅利下げを示唆」
注2 2024年12月19日付レポート「ニュージーランドは景気後退入り、NZドル相場に逆風が強まる展開」
注3 1月22日付レポート「ニュージーランド物価は目標内で推移、次回の大幅利下げに道」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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