インドは中国を超えるのか インドは中国を超えるのか

ニュージーランド準備銀、追加緩和に加えて当面は大幅利下げを示唆

~金利の「着地点」は若干上方修正も、当面のNZドル相場は上値の重い展開が続く可能性は高い~

西濵 徹

要旨
  • ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は27日の定例会合で政策金利を50bp引き下げて4.25%とした。RBNZは8月会合でコロナ禍後初の利下げに動き、10月会合では利下げペースを加速させるなど「ハト派」姿勢を強めており、そうした姿勢を継続している。足下のニュージーランドでは、インフレはRBNZの目標域に収束するとともに、景気や雇用環境は頭打ちの動きを強めており、一段のインフレ鈍化が見込まれる状況にある。こうしたなか、会合後に公表した声明文では、来年初めにも一段の利下げに言及するなど追加緩和を示唆する姿勢をみせている。他方、同時に公表した金利見通しでは短期的に利下げペースを加速させる一方、中期的な金利の着地点を若干上方修正しており、金融市場の見方を揺さぶる可能性はある。ただし、足下のNZドル相場は米ドル高の再燃を受けて上値が抑えられる展開をみせるなか、当面はRBNZのハト派傾斜が上値を抑える展開が続くほか、日本円に対しても同様に上値の重い展開となることが見込まれる。

ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、27日に開催した定例の金融政策委員会において、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を50bp引き下げて4.25%とする決定を行った。RBNZは8月の定例会合でコロナ禍後初の利下げとともに、継続的な利下げを示唆する動きをみせたほか(注1)、10月の前回会合でも2会合連続の利下げに加え、利下げ幅を拡大させるなど『ハト派』姿勢を強めており(注2)、今回の決定により一段とハト派姿勢に傾斜している様子がうかがえる。ここ数年のニュージーランドでは、コロナ禍一巡による経済活動の正常化や商品高、米ドル高に伴う通貨NZドルによる輸入インフレも重なる形での物価上昇に加え、不動産市況の急上昇によるバブル懸念に直面してきた。よって、RBNZは物価と為替の安定を目的に累計525bpもの利上げを実施したほか、商品高の一巡も重なり、一昨年後半に一時30年ぶりの水準に昂進したインフレは昨年以降頭打ちに転じるとともに、直近7-9月は前年比+2.15%とRBNZが定める目標(1~3%)に収まるなど落ち着きを取り戻している。さらに、足下のインフレは8月の定例会合の際に公表したインフレ見通しを上回るペースで鈍化しており(注3)、RBNZのハト派傾斜を後押ししていると捉えられる。また、4-6月の実質GDP成長率は前期比年率▲0.83%とマイナス成長となるなど頭打ちの動きを強めているほか(注4)、その後も企業マインドが力強さを欠く推移をみせていることを反映して雇用環境も頭打ちの動きを強めるとともに(注5)、足下の企業マインドは再び下振れする動きをみせるなど実体経済を取り巻く環境は厳しさを増している。こうした状況もRBNZによる一段のハト派傾斜を後押ししているとみられ、会合後に公表した声明文では同国経済について「依然として低調で潜在成長率を下回る」とした上で、「生産過剰に伴いインフレ圧力が緩和しており、企業部門の価格決定行動と賃金動向に加え、輸入インフレの鈍化もインフレ低下に寄与している」との見方を示している。その上で、先行きの政策運営について「経済状況が想定通りに推移すれば、来年初めにもOCRを一段と引き下げることが可能と見込まれる」として追加緩和を示唆する考えをみせている。なお、先行きの同国経済に対する見方を巡っては「短期的には物価動向や景気に対するリスクがあり低金利政策が景気を下支えする」としつつ、「中期的には地政学リスクや気候変動に伴う食料を巡るリスクが物価に対するリスクになる」との見方を示しており、会合後に公表したインフレ報告で示したOCRの見通しでは、短期的に利下げペースを加速させる一方、2026年以降の水準は8月時点に比べて高水準とする方針を示している。よって、この『着地点』の上方修正は先行きの金融政策に対する国際金融市場の見方を揺さぶることが予想される。他方、このところの国際金融市場においては、米大統領選でのトランプ氏勝利を受けて米ドル高の動きが再燃していることを受けて、NZドルの対米ドル相場は上値が抑えられる展開が続いており、RBNZが短期的に大幅利下げに動く可能性を示唆していることを勘案すれば、先行きについてもしばらくは上値の重い展開が続く可能性は高まっている。さらに、日本円に対しても日本銀行が追加利上げの可能性に含みを持たせるなど、金融政策の方向性が真逆を向いていることを反映して上値の重い展開が続いており、上述のようにNZドルが米ドルに対して上値が抑えられる展開が続く可能性に鑑みれば、引き続き上値の余地は乏しく、下値を探る展開が続くことに留意する必要があろう。

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以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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