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- ガソリン補助金拡充のCPIへの影響
- 要旨
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- 政府は、石油元売りに支給している補助金を、現在の1リットルあたり最大25円から、5月以降は35円に拡充する見込み。
- これまでの補助金制度によって、制度がない場合と比べて、CPIコアは3月が▲0.3%Pt、4月が▲0.4%Pt押し下げられたと試算される。支給額が35円となった場合には、制度がない場合と比べてCPIコアは最大▲0.6%Pt程度押し下げられることになる。
ガソリン補助金拡充で、5月のCPIは最大0.6%Pt抑制
報道によると、政府は現在実施されているガソリン補助金制度(燃料油価格激変緩和対策事業)について拡充する方向で最終調整されているとのことである。具体的には、燃料油元売りに支給する補助金を、現在の1リットルあたり最大25円から、5月以降は35円に拡充する予定だ(35円支給でも目標に至らない場合には、35円を超える部分について補助率を2分の1に減らして支給)。また、価格維持の目標についても、これまでの172円から168円へと4円引き下げる。
この制度の対象となるのはガソリン、軽油、灯油、重油であり、このうち消費者物価指数に影響するのはガソリンと灯油である(重油と軽油の価格は消費者物価指数に反映されない)。
これまでの補助金制度によって、制度がない場合と比べて、3月には平均15円程度、4月には平均23円程度、ガソリン価格と灯油価格がそれぞれ押し下げられていたとみられる。CPIコアへの影響では、制度がない場合と比べて3月が▲0.3%Pt、4月が▲0.4%Pt押し下げられたと試算され、物価抑制に大きな効果を果たしていた。もっとも、ロシアのウクライナ侵攻以降の原油価格高騰により、補助金が最大の25円支給される週も増えており、直近週でも25円の支給となっている。今後、原油価格の上振れやさらなる円安の進行等があれば、現行の最大25円の補助金では対応しきれなくなる恐れがあった。5月から上限を35円に拡充することで、こうした事態に対応することを目指す形である。ここで仮に5月に35円の補助金支給が続いた場合には、制度がない場合と比べてCPIコアは▲0.6%Pt程度押し下げられることになる。
また、目標値の4円引き下げについては、これによりガソリン・灯油価格が同額下がると仮定すれば、CPIコアを▲0.1%Pt弱押し下げる効果がある。前述の上限引き上げは、あくまで円建ての原油価格が足元の水準から一段と上昇し、25円の補助金では対応しきれなくなった場合に効果を発揮するものであり、原油価格が上昇しなければ、これまでと抑制効果に大きな変化はない。一方、目標値の引き下げについては、ガソリン・灯油価格を現状の水準からその分だけ直接押し下げるため、5月以降のCPIコアを確実に▲0.1%Pt弱下押しするといった点に注意が必要だ。
このように、ガソリン補助金制度により、CPIはかなり押し下げられている。政府は現在、物価高対策に力を入れているため、今後も様々な形で直接、間接に物価抑制を図る可能性があるだろう。物価の先行きを見る上では、今後の政府の動きにも注目しておく必要がある。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 新家 義貴
しんけ よしき
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経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測
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