2025~2027年度日本経済見通し(2026年3月)(2025年10-12月期GDP2次速報後改定)

新家 義貴

図表
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  • 実質GDP成長率の見通しは2025年度が+1.0%(2月時点予測:+0.7%)、26年度が+0.8%(同+0.9%)、27年度が+1.0%(同+1.0%)である。暦年では26年が+0.7%(同+0.7%)、27年が+1.1%(同+1.1%)となる。25年10-12月期の成長率が2次速報で上振れたことから、25年度の成長率見通しを上方修正した。一方、イラン情勢の悪化によって原油価格が足元で大幅に上昇したことを反映し、26年度は若干の下方修正を行っている。なお、イラン情勢の悪化については長期化を前提としていない。原油価格は目先高止まるものの、次第に落ち着きを取り戻すことを想定している。また、食料品に対しての消費税減税については、実際に実施されるか否か、される場合の実施開始時期、財源等、現時点で詳細が不明のため見通しに織り込んでいない。

  • 25年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.3%と、1次速報の同+0.2%から上方修正された。成長率の上方修正幅が比較的大きい上、設備投資、個人消費など民間内需の上振れが目立つなど内容も1次速報から改善しており、良好な結果と言って良い。また、在庫要因を除いた最終需要では前期比年率+2.6%とヘッドライン以上に強く、7-9月期の落ち込み(前期比年率▲1.8%)を上回る伸びとなっている。均してみれば日本経済は緩やかな回復局面が続いていると評価できる。

  • 26年1-3月期は前期比年率+1.3%のプラス成長を予想している。米国経済が底堅く推移していることから輸出の緩やかな持ち直しが見込めることに加え、物価の鈍化に伴って実質賃金がプラスに転じていることが景気を支えるだろう。これまで賃金の伸びが物価上昇に追い付かず、実質賃金は減少が続いていた。だが、食料品価格の上昇率鈍化に加え、ガソリン旧暫定税率廃止や電気・ガス代補助金の再開といった政策要因もあって1-3月期のCPIは前年比+2%を割り込み、実質賃金もプラス圏で推移する見込みである。所得面での下押しが和らぐことが、個人消費の下支えになるだろう。

  • 26年度の景気は緩やかに持ち直すと予想する。好調に推移する米国景気と実質所得の持ち直しという二つの要因が、日本経済の下支えに寄与するだろう。米国では24〜25年にかけて行われた利下げの効果がタイムラグを伴って、26年の実体経済を下支えすることが見込まれる。また、トランプ減税の実施が内需の下支え要因として働くことに加え、関税による悪影響もピークアウトすることが予想される。25年は関税引き上げ等の政策要因が米国経済の下押しとなったが、26年は政策要因が景気を押し上げる方向に働く。生成AI関連需要も引き続き旺盛に推移することが予想され、26年の米景気も好調に推移する可能性が高い。中国経済の減速が続くとみられることは懸念材料だが、世界経済全体としては回復していくことが予想され、日本からの輸出も緩やかな増加が期待できる。こうした輸出の回復を受けて企業業績も増加が見込まれことに加え、デジタル化・省力化投資や研究開発投資といった押し上げ要因もあり、設備投資も景気の押し上げ要因として働くだろう。

  • もう一つの好材料が実質所得の持ち直しである。26年春闘では、賃上げ率を5.45%(厚生労働省ベース、25年は5.52%)と、3年連続で5%台の高い賃上げが実現すると予想する。①人手不足が年々深刻化しており、人材確保のための賃上げが必要となっていること、②歴史的な物価高の継続により実質賃金が減少を続けていることへの問題意識が労使ともに強まっており、26年春闘では実質賃金改善に向けての意欲が示されていること、③トランプ関税による悪影響が想定よりも小さなものにとどまっていることに加え、価格転嫁の進展もあって企業収益が高水準で推移していることなど、26年も賃上げ機運は高まっている。こうしたなか、25年度の物価を大きく押し上げた食料品価格の大幅上昇が一巡することで物価上昇率は鈍化し、26年度の実質賃金は下げ止まる可能性が高い。また、高校授業料無償化の拡充や小学校給食無償化、年収の壁引き上げといった政策要因も、所得の下支えに寄与するだろう。これまで物価高が家計の実質購買力を毀損してきたことで景気回復の頭を押さえられていただけに、26年度に実質所得の持ち直しが見込まれることは朗報だ。このことが個人消費の安定化につながるだろう。

  • リスク要因は原油価格高騰の長期化である。今回の予測ではイラン情勢の悪化が比較的早期に鎮静化に向かうことを想定しており、経済への影響も限定的なものにとどまるとみている。もっとも、仮に事態が長期化すれば原油価格高騰が続くことで物価が大きく押し上げられ、景気の下押し要因になることが避けられない。エネルギー資源のほぼすべてを輸入に依存する日本にとって、原油価格高騰の影響は大きい。仮に1バレル100ドルといった原油高が長期化する場合、26年度の実質賃金もマイナスとなる可能性が高い。物価鈍化を背景に実質賃金が下げ止まることが2026年度の景気を支えると予想されるだけに、原油価格高騰が長期化した場合、景気回復ペースは大きく抑制されることになるだろう。

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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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