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【1分解説】パワー半導体とは?

重原 正明

  音声解説

パワー半導体とは、電力の供給・制御にかかわる半導体です。メモリやCPUなどのロジック半導体が論理信号を扱うのに対し、パワー半導体は交流を直流に変える、電圧を変えるなど電力を扱います。特にそのうち高電圧・大電流を扱うものを指してパワー半導体と呼ぶことも多いです。

パワー半導体の進化は省エネ・省資源に貢献しています。携帯機器用の電源アダプターが30年ほど前から軽く小さくなったのは、銅と鉄の塊のような回路が、パワー半導体を主とした回路に置き換わったからです。電気自動車や風力・太陽光発電所などにもパワー半導体は欠かせない存在です。

メモリやCPUの製造ではシリコン上の微細加工技術が鍵となりますが、パワー半導体では半導体の素材(新素材として炭化ケイ素や窒化ガリウムなどがあります)と表面加工技術が大きな要素を占めます。この分野では一部で日本が技術的な優位を持ち、結果2021年パワー半導体製造大手10社のうち半数程度は日本企業です。ただ上位2社と日本企業との差は大きく、競争も激しいためその地位は安泰とは言えません。

パワー半導体は脚光を浴びることの少ない技術ですが、社会課題解決の鍵となるものです。日本での技術開発および実用化のさらなる進展に期待します。

この解説は2023年4月時点の情報に基づいたものです。

重原 正明


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