注目のキーワード『宇宙ごみ(スペースデブリ)』

宍戸 美佳

2024年4月、米航空宇宙局(NASA)は国際宇宙ステーションから投棄された「宇宙ごみ(スペースデブリ、以下デブリ)」が米国フロリダ州の民家の屋根を突き破っていたことを公表しました。このデブリとは、宇宙空間における不要な人工物体のことで、使用済みあるいは故障した人工衛星、打ち上げロケットの上段、 様々なミッション遂行中に放出した部品、それらが爆発・衝突し発生した破片等を指します。つまり、元々宇宙空間に存在していたものではなく、人類による宇宙開発の結果、発生したものです。デブリは、現在地上から追跡されているものだけでも10㎝以上の物体で約3万6,500個、1㎝以上で約100万個、1㎜以上では約1億3,000万個あると言われており、これら大小様々な大きさのデブリは、秒速7〜8㎞という猛烈なスピードで地球の周りを縦横無尽に飛び回っています。

ではデブリの何が問題なのでしょうか。デブリ同士、あるいはデブリが人工衛星に衝突することでさらに多数の小さなデブリが発生します。さらにこの衝突が新たな衝突へと連鎖する可能性があり、そうなるとデブリの数は無限に増殖してしまいます。これらの結果、宇宙空間をデブリが猛烈なスピードで飛びまわることで、衛星の運用に支障を来すこと、あるいは宇宙空間の利用そのものが出来なくなることも懸念されます。

1957年の世界初の人工衛星打ち上げ以降、累計約17,000機が宇宙空間へと打ち上げられ、現在約9,000機が運用されています。これらの人工衛星は通信、放送、ナビゲーション、気象観測、災害監視、防衛、交通管制など、多くのインフラに活用されています。デブリと言われても、わたしたちの日常生活とは無関係の遠い宇宙空間の話に聞こえるかもしれません。しかし、10年前の人工衛星の数がわずか2,000機程度であったことを考えると、私達の生活は急速に人工衛星によって支えられるようになってきています。地球上のみならず、その地球が存在する宇宙空間の持続的利用に向けた取り組み、すなわちこれ以上のデブリの増加を防止すること、およびすでに今存在しているデブリの除去もまた非常に重要な社会課題であると言えます。

(総合調査部 政策調査グループ 宍戸 美佳)

宍戸 美佳


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