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注目のキーワード『ゲリマンダー』

前田 和馬

ゲリマンダー(Gerrymander)とは、特定の政党や候補者が有利になるよう、恣意的な選挙区割りを行うことです。19世紀における米マサチューセッツ州の「ゲリー知事」がこのような試みをしたところ、ある選挙区の形がトカゲのような伝説の生き物「サラマンダー」に似ていたため、二つを合わせて「ゲリマンダー」と呼ばれるようになりました。

例えば、A党とB党の支持者がそれぞれ50万人いる自治体にて、4人の議員を選出することを考えます。この場合、一つの選挙区の有権者は25万人ずつです。両党の支持率は拮抗しているので、各党からそれぞれ2人の議員が選出されれば、適切に民意を反映しているように思えます。ここで、A党の支持者を特定の選挙区に20万人(B党は5万人)、残りの3つの選挙区に10万人ずつ(同15万人ずつ)となるように選挙区割りを行います。この場合、A党は1人の議員しか当選できず、逆にB党は残りの3選挙区で勝利することができます。すなわち、特定政党の支持者を故意に一つの選挙区に集中させる、或いは各選挙区に分散させることで、対立政党は多くの議席を獲得できる可能性があります。

米国では2026年の中間選挙を前にゲリマンダーの動きが活発化しています。連邦下院議員の定員は人口比に応じて各州に配分されますが、その定員数をどのような選挙区で選ぶかは州に委ねられています。このため、州政治を掌握している政党は、連邦選挙でもより多くの自党の候補を当選させようとゲリマンダーを試みます。例えば、テキサス州では共和党、カリフォルニア州では民主党が、ゲリマンダーによって州選出の連邦下院議員を従来よりも5議席ずつ増やすことを目指しています。

しかし、こうしたゲリマンダーは必ずしも期待された結果を生み出さないことがあります。ゲリマンダーは過去の投票傾向を基に行われますが、これに大きな変化が生じると目算が狂います。また、あまりに露骨な選挙区割りは有権者の反発を招き、対立政党への追い風となるリスクがあります。

(経済調査部 主任エコノミスト 前田和馬)

前田 和馬


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