- HOME
- レポート一覧
- 第一生命経済研レポート
- 注目のキーワード『プレゼンティーズム』
「プレゼンティーズム」とは、一見仕事をしているように見えても、病気や心身の不調などにより十分なパフォーマンスを発揮できていない状態を指します。休務・欠勤などの「アブセンティーズム」とは異なり、表面上は働いているため、本人も周囲も問題の大きさに気付きにくいことが特徴です。
インフルエンザや風邪が流行し、花粉症の症状も出始める2月は、体調が万全でないまま「年度末も近いから休めない」と無理をして働く場面が増えがちです。多少の発熱や頭痛、だるさを抱えながらも仕事を続けるうちに集中力が落ち、判断ミスやヒヤリ・ハットにつながった経験がある方もいるのではないでしょうか。
これらの原因としては、感染症や花粉症に加え、頭痛や腰痛といった慢性的な身体の不調、睡眠不足やストレス、メンタルヘルスの不調など、日常的によくあることが多くを占めると言われています。「これくらいなら休むほどではない」「忙しくて病院に行く時間がない」と我慢を重ねるうちに、気付かないまま仕事の質やスピードが低下してしまうのがプレゼンティーズムの厄介な点です。
一人ひとりの不調は小さく見えても、企業全体では大きな損失となる可能性があり、プレゼンティーズムによる経済的損失がアブセンティーズムによる損失を上回るとも言われています。日本でも、働き盛り世代のメンタルヘルスや生活習慣病などが企業の業績や社会全体の生産性に及ぼす影響は課題として指摘され、「健康経営」の取り組みが広がる1つの要因となっています。
対策としては、従業員が不調を抱え込まずに相談できる体制づくりが重要です。定期健診やストレスチェックの実施に加え、産業医や保健師、外部の相談窓口などと連携し、早めに相談・受診につなげることが求められます。また、長時間労働の是正や休暇の取得促進、リモートワークを含む柔軟な働き方の導入など、働き方そのものを見直すことも有効です。
私たち一人ひとりにとっても、「多少無理をするのが当たり前」という意識を見直し、睡眠や食事、運動など日々のセルフケアを大切にすることが欠かせません。自分や同僚のちょっとした不調のサインに目を向けることが、結果として仕事の質を高め、組織全体の健康にもつながるのではないでしょうか。
水澤 太一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

