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- 内外経済ウォッチ『米国~FRBは据え置き継続でインフレ低下を目指す~』(2024年6月号)
FRBはインフレ上振れを受け利下げに慎重姿勢
24年入り後、FRBの金融政策について市場関係者の見方が大きく変化している。年初、24年に7回程度の25bpの利下げが予想されていたが、労働市場の好調やインフレの上振れが続くもとで、利下げ期待は徐々に後退した。3月のPCEコアデフレーターが3ヵ月前対比年率+4.4%(前月同+3.7%)とインフレの上昇モメンタムの強まりを示したこと等を背景に、追加利上げ懸念が台頭した。この間、市場金利の上昇など金融環境は徐々に引き締まったが、株価の調整が限定的なものに止まるなど、昨年後半ほどの引き締まりは起きなかった。
このようなもと、FRBは5月のFOMCで政策金利であるFFレート誘導目標レンジを6会合連続で5.25~5.50%に据え置くことを全会一致で決定した。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、24年1-3月期にインフレ低下の進捗が見られなかったと指摘したうえで、「FOMCメンバーが2%のインフレに持続的に向かっていると確信を得るにはさらに時間がかかりそうだ」とFOMCメンバーが利下げにより慎重になり、政策金利の据え置きが想定よりも長期化する可能性が高まったことを強調した。一方、利上げについて、議長は「インフレ率を2%まで下げるのに、政策スタンスが十分に抑制的でないという説得力のある証拠が必要だが、今はそのような証拠を目にしていない」と利上げを否定したうえで、現在の政策金利の水準は十分抑制的であり、据え置きでインフレが低下するとの見方を強調した。

高金利の長期化は景気悪化リスクを高める
5月のFOMC後に公表された4月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+17.5万人(前月同+31.5万人)と市場予想を下回り、大幅に減速したものの、6ヵ月移動平均で前月差+24.2万人(前月同+24.1万人)と、中期的に堅調な増加ペースを維持した。失業率は3.9%(前月3.8%)と上昇したが、自然失業率と推測される4.1%を下回っている。
しかし、市場では、雇用の増加ペース鈍化、失業率の上昇、平均時給の鈍化傾向等を受け利下げ期待が高まり、市場金利の低下や株高など金融環境の引き締まりが再び弱まり始めた。このような金融市場の動きは、経済成長を押し上げる方向に寄与するため、インフレ低下を鈍らせ、高い政策金利の長期化に繋がろう。そうなれば、コロナ渦に低金利で調達した資金の枯渇などに伴う資金調達のコストを上昇させ、経済活動を抑制する可能性がある。また、価格下落の続く商業不動産向けの投資資金などの借り換え負担が大幅に押し上げられ、借り換えが困難となれば、債務不履行が大幅に増えよう。融資に占める商業不動産向けのシェアの高い中堅・中小銀行の経営不安に繋がり信用不安が広がれば、経済活動を急激に悪化させ、米経済は深刻な景気後退に陥る恐れがある。

桂畑 誠治
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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