米国 緩やかな低下傾向(26年1月CPI)  

~政府機関閉鎖による統計の歪みで、下振れは3月分まで継続~

桂畑 誠治

要旨
  • 26年1月の消費者物価(総合CPI)は、前月比+0.2%(前月同+0.3%)と低下し、市場予想中央値+0.3%を下回った。エネルギー・食品を除く消費者物価(コアCPI)は、同+0.3%(+0.2%)と市場予想中央値と一致したが、上昇率が高まった。一方、エネルギーが、ガソリン、電気料金の下落で同▲1.5%(同+0.3%)となったほか、食品は、卵の急落、野菜・果物、コーヒー、ドレッシング、バター等の下落、外食等の低下によって、同+0.2%(+0.7%)と鈍化した。
  • 金融市場では、1月の総合CPIが市場予想を下回ったことを受け、利下げ期待が若干強まった。FF金利先物の示す3月FOMCでの据え置きの可能性が約91%(前日92%)と低下した。また、4月FOMCでの据え置きの可能性は、約70%(前日約75%)、6月FOMCでの据え置きの可能性は、約31%(前日約38%)に低下した。26年末のFF金利の水準は、3.03%と前日の3.08%から小幅低下した。2年国債利回り、10年国債利回りは低下した(P6)。為替市場では、ドルが主要通貨に対して弱含んだ。主要株価指数は、小幅上昇した。
  • コアCPIでは、財コアが中古車の下落で前月比0.0%(同0.0%)と低い伸びにとどまった一方、サービスコアが同+0.4%(同+0.3%)と上昇した。財コアでは、医療用品、自動車部品が下落に転じたほか、EV需要の縮小の影響で中古車が▲1.8%と下落幅を拡大し、全体を押し下げた。また、家庭用耐久品・消耗品が低下し、衣料品が同率の伸びを続けた。一方、情報機器、アルコール飲料が上昇に転じたうえ、新車、余暇商品、その他財が上昇した。
  • サービスコアでは、ホテルが下落したほか、医療保険が大幅な下落を続けた。また、帰属家賃、賃貸料、余暇サービスが低下した。一方、レンタカー、カーリース、自動車メンテナンス・修理、インターネットサービス、その他個人向けサービスが上昇に転じたことに加えて、専門医療、病院・関連サービス、航空運賃、上下水道・ゴミ収集サービスが上昇した。さらに、電話サービスが下落幅を縮小した。 シェアの大きい帰属家賃、賃貸料は、政府機関の一部閉鎖(25年10月1日から11月12日)によって、データ収集できなかった10月の数値が横ばいと仮置きされた影響で、26年3月分まで伸びが抑制され続ける。
  • コアCPIの上昇モメンタムをみると、6ヵ月前対比年率で+2.5%(12月+2.6%)と緩やかに低下傾向を辿っている。しかし、足元は統計の歪みの影響を受け、実態以上に低下している可能性が高い。
  • 前年同月比では、消費者物価(総合CPI)は、+2.4%(12月同+2.7%)と市場予想の+2.5%を下回った。コアCPIは+2.5%(同+2.6%)と低下し、市場予想中央値と一致したほか、エネルギーが▲0.1%(同+2.3%)と下落、食品が+2.9%(同+3.1%)と低下した。 コアCPIでは、財コアが+1.1%(同+1.4%)、サービスコアが+2.9%(同+3.0%)とともに低下した。シェアの大きい帰属家賃、賃貸料は、データ収集のできなかった10月分が横ばいと推計されたことで、それ以降の上昇率が実態よりも低い伸びとなっており、全体の伸びを低くみせている。
  • 財コアでは、新車、衣服、娯楽用品、その他財が上昇したほか、情報機器が下落幅を縮小した。一方、中古車が下落に転じたほか、家庭用耐久品・消耗品、医薬品など医療用品、自動車部品、アルコール飲料が低下した。 サービスコアでは、航空運賃が上昇に転じたほか、専門医療サービス、病院・関連サービス、インターネット、その他個人向けサービスが上昇した。また、上下水道・ゴミ収集サービス、教育関連サービス、帰属家賃(+3.3%、前月+3.3%)は同率の伸びとなった。さらに、レンタカーは下落幅を縮小した。一方、医療保険、ホテル、電話サービスが下落幅を拡大したうえ、賃貸料(+2.8%、前月+2.9%)、余暇サービスが低下した。
  • 実質平均時給は、前年比+1.2%と上昇した。実質平均週給は、前年比+1.9%と加速し、約5年ぶりの高い伸びとなっており、1月の個人消費を下支えしたと考えられる。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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