よく分かる!経済のツボ『COP26とは?~温暖化対策に関する国際会議の論点~』

世良 多加紘

目次

COP(Conference of the Parties)とは

2021年10月31日から11月12日まで、英国グラスゴーでCOP26が開催されます。COPは、締約国会議を意味します。昨今話題となっている気候変動に関するCOPは、1995年からほぼ毎年開催されている気候変動枠組み条約の締結国会議であり、その26回目にあたるCOP26には、条約に加盟する197か国が参加します。1997年に開催されたCOP3では、先進国に温室効果ガス排出削減を義務づけた京都議定書が採択されました。また、2015年に開催されたCOP21では、京都議定書に代わるパリ協定をまとめ、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えるよう努力することで合意しました(資料1)。2019年に開催されたCOP25では、環境活動家のグレタ・トゥンベリ氏が出席し、話題になりました。

図表
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実効性のある国際ルールの合意を目指して

COP26では、世界的なCO2排出削減の目標や手段等、パリ協定の具体的な実施ルールについて合意を目指します。世界全体がまとまり、実効性のある国際ルールを策定できるかが焦点となります。COP25では、排出削減量の計上方法について一部の新興国と先進国との間で意見が分かれ、交渉の妥結に至りませんでした。COPの議決は全会一致が原則ということもあり、取り纏めに向けては、COP26の議長国であるイギリスのリーダーシップが問われます。

近年、経済成長が続く新興国を中心にCO2排出量が増加しています(資料2)。世界のCO2削減に向けては新興国の協力が不可欠であるため、取り纏め役である議長国の他にも、新興国を枠組みに巻き込む「旗振り役」が必要となります。アジアの新興国に対しては、ASEANが信頼を寄せる日本がその役割を果たしうるといえます(資料3)。COP26は、2020年10月の2050年カーボン・ニュートラル宣言以降初の会合であり、日本の言動が注目されるなか、国際的なリーダーシップを発揮することが期待されます。

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世良 多加紘


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