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2026.08.20
米国経済
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トランプ政権
イラン情勢
米国経済マンスリー:2026年8月
~やや弱めの消費・雇用指標~
前田 和馬
- 要旨
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7月の雇用者数や小売売上高は市場予想に反して減少するなど、足下の経済指標にはやや弱さがみられる。一方、前者では季節調整の歪み、後者ではセール前倒しやW杯特需の反動など特殊要因が影響した可能性に留意が必要だろう。
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8月18日時点のアトランタ連銀GDPNowに基づくと、2026年7~9月期の実質GDP成長率は前期比年率+4.0%(4~6月期:+1.5%)と前期から加速する見通しだ。個人消費はガソリン価格の鎮静化、設備投資は減税効果の追い風をそれぞれ受け、堅調に推移する可能性がある。
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この間、7月の物価関連指標は減速の動きが続くなど、関税の価格転嫁は鎮静化しつつあるほか、エネルギー高が広範な品目の値上げに波及している様子はない。金融市場は年内利上げを織り込み続けているものの、複数回の利上げシナリオは後退している。
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【経済指標】
4~6月期実質GDP
2026年4~6月期実質GDPは前期比年率+1.5%(26年1~3月期:同+2.1%)と前期から減速した。内訳をみると、個人消費は+3.2%(+0.5%)と前期から加速するなど堅調に推移した。株価持ち直しや減税効果(税還付)を背景に自動車や家具などの耐久財が増加したほか、外食・宿泊等のサービス消費がサッカーワールドカップ等を通じて押し上げられた。また、設備投資は+8.4%(+10.6%)と前期に続き高い伸びを示した。情報通信機械やソフトウェアによるAI投資はやや減速したものの、設備投資減税を背景に機械投資などが拡大した。一方、住宅投資は+1.5%(-7.8%)と6四半期ぶりに増加したものの、高金利政策による需要抑制を背景に低調に推移している。他方、純輸出の前期比年率寄与度は-1.0%pt(-0.4%)と、消費財や資本財などの幅広い輸入の増加が表面上の成長率を抑制している。この間、食料・エネルギーを除くコアPCEデフレーターは前年比+3.3%(+3.1%)と加速するなど、インフレ高止まりが続いている(詳細は「米国:ヘッドライン下振れも国内需要は力強い(26年4-6月期GDP)」)。

7月全米供給管理協会(ISM)景況感指数
7月ISM製造業PMIは55.6(6月:53.3)と上昇し、7か月連続で好不況の節目となる50を上回った。原油価格の不安定な動きが続いているものの、企業マインドへの影響は限定的に留まっており、AIや防衛関連の需要が製造業活動を支えているとみられる。内訳をみると、生産が58.5(52.2)と大幅に上昇し、全体を押し上げた。また、生産活動に先行する新規受注も56.7(56.0)と上昇したほか、雇用は52.8(49.7)と34か月振りに節目となる50を上回るなど、回復の兆しを示している。この間、入荷遅延は58.9(57.4)、支払価格は71.1(73.0)と、中東情勢を巡るサプライチェーン混乱を背景にそれぞれ高止まりしている。企業コメントでは「半導体最終製品や接続製品(電力、ネットワーク、光子学)の需要が急増している。同様に防衛産業の需要も過去最高水準にある。一方、医療、産業、消費財の受注量は著しく減少している(一般機械)」とAI関連需要等の強さを指摘する声が散見される一方、こうした状況下で「価格変動と納期延長はパンデミック期よりも深刻(電気機器・家電・部品)」と供給制約への懸念がみられる。
他方、7月ISM非製造業PMIは54.1(54.0)と僅かながら前月から上昇したほか、好不況の節目となる50を上回り続けるなど、底堅く推移している。内訳をみると、事業活動が59.1(55.4)、新規受注は57.2(55.1)とそれぞれ上昇した一方、雇用は47.4(51.2)と低下し節目となる50を下回った。他方、入荷遅延は52.8(54.4)と3か月連続で低下するなど、中東情勢を巡るサプライチェーン混乱に緩和の動きがみられる。企業コメントでは「(販売)価格は燃料費と人件費の上昇を背景に上昇が続く一方、需要は安定している(輸送・倉庫)」とインフレ下でも堅調な需要を指摘する声がみられるほか、「電力設備向け資材の需要は引き続き強く、業界内で生産枠の獲得競争が生じている。加えて、多くの供給業者は発注契約における代金の一部前払いを求めている(公益)」とデータセンター関連需要の需給ひっ迫が確認できる(詳細は「米国:AI、防衛関連主導で生産活動が活発化(7月ISM製造業)」及び「米国:非製造業は好調を維持(2026年7月ISM)」)。
7月雇用統計
7月雇用統計における非農業部門雇用者数は前月差-2.3万人(6月:+2.0万人)と、市場予想(+8.0万人)に反して減少した。加えて、同時に公表された5月実績は-6.6万人、6月は-3.7万人とそれぞれ下方修正された結果、3か月移動平均では+2.0万人(+7.7万人)と前月から大幅に減速した。とはいえ、7月の結果は特殊要因が影響した可能性があり、2026年初からの雇用持ち直しが転換したか否かを判断するうえでは、8月以降の結果と合わせて判断する必要があろう。
7月の雇用者数を業種別にみると、政府が-5.3万人(-1.0万人)と地方政府の教育部門を中心に減少した。コロナ以降における季節調整の歪みが影響した可能性がある。また、小売業は-1.94万人(-0.37万人)、娯楽・外食・宿泊が-4.0万人(-4.3万人)と北米サッカーワールドカップ(6月11日~7月19日開催)の反動もあり、それぞれ減少した。一方、医療・社会福祉は前月差+2.26万人(+4.10万人)と高齢化を背景に拡大が続いた。他方、専門・企業サービスは+1.8万人(+3.4万人)と人材派遣サービス等を中心に増加した。また、建設業は+2.2万人(+0.5万人)とデータセンター建設需要を背景に前月水準を上回った。
この間、7月の労働参加率は61.4%(6月:61.5%)と2か月連続で前月から低下した。これまでの労働参加率低下は主に高齢化に起因していた一方、6~7月は若年層を中心としたプライムエイジにおいても労働意欲の減衰がみられる。他方、失業率は4.1%(4.2%)と労働参加の減少もあり前月水準を下回った。また、週平均労働時間は前年比+0.3%(+0.3%)と上昇した一方、平均時給は+3.2%(+3.4%)と小幅に減速した。この結果、労働所得(=民間雇用者数×平均労働時間×平均時給)は+4.0%(+4.2%)と、減速しながらも賃金上昇を背景に増加基調で推移している。他方、CPI上昇率を控除した実質賃金は時間当たりで-0.2%(0.0%)と低下した一方、週当たりでは+0.1%(+0.2%)とガソリン価格低下を背景に2か月連続でプラスを保った(詳細は「米国:予想外の雇用者数減少と失業率の低下(26年7月雇用統計)」)。
7月消費者物価指数(CPI)
7月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.1%(6月:-0.4%)と、前月から小幅に上昇した。足下のトレンドを示す3か月前比年率でみると、総合指数が+0.5%(6月:+2.8%)と大幅に減速したほか、コア指数も+1.6%(+2.3%)とインフレ改善の動きが続いている。
7月の内訳を見ると、エネルギーが-1.5%(-5.7%)とガソリン価格の下落を背景に2か月連続で低下し全体を押し下げた。また、食品は前月比+0.1%(+0.2%)と前月から小幅に鈍化した。外食は加速したものの、肉類を中心に食料品の価格が低下した。この間、食品・エネルギーを除くコアベース指数は+0.2%(0.0%)と前月から上昇した。コアCPIの内訳を見ると、住居費は+0.1%(+0.1%)と帰属家賃が加速した一方、宿泊料の下落がこれを相殺した。また、住居費を除くコアCPIは+0.3%(-0.1%)と前月から加速した。コア財は+0.2%(-0.1%)と中古車や娯楽財を中心に上昇したものの、高関税による価格転嫁は限定的に留まっている。他方、サービスに関しては航空運賃や医療サービスが上昇した。
先行きのCPIを巡って、EIA公表の8月の平均ガソリン価格は前月から上昇に転じると見込まれ、8月における総合インフレの上昇率は加速する可能性がある。一方、コアベース指数を巡っては、高関税による価格転嫁が落ち着くなか、原油高による燃料費や輸送費の上昇がエネルギー以外の品目に波及するかが注目される。なお、労働需給緩和による賃金上昇率の安定は、サービス価格を中心としたインフレ減速要因であることに変化はない(詳細は「米国:予想に一致した7月CPIとインフレ圧力の減速傾向」)。
7月小売売上高
7月小売売上高は前月比-0.6%(6月:+0.2%)と市場予想(+0.1%)に反して大幅に減少した。また、GDP算出に用いられるコア小売売上高(自動車・ガソリン・建設材・飲食サービスを除くコントロール・グループ)も-0.4%(6月:-0.4%)と7か月振りに前月水準を下回った。内訳をみると、無店舗小売が-2.2%(+0.9%)と減少し、全体を押し下げた。6月に前倒しで実施されたオンラインセールの反動が現れたとみられる。また、家電は-0.5%(0.0%)、自動車は-1.8%(+2.4%)と耐久消費財が軟調に推移したほか、ガソリンが-0.9%(-5.8%)と価格下落を主因に減少した。一方、衣料品は+1.9%(-0.7%)、飲食は+0.5%(+0.4%)と増加した。先行きに関して、ガソリン価格の鎮静化を背景に実質賃金が持ち直しており、家計の所得環境改善が緩やかな消費拡大をけん引すると見込まれる(詳細は「米国:7月小売売上高は反動で減少も、基調は巡航速度を維持」)。
7月鉱工業生産
7月鉱工業生産は前月比+0.2%(6月:+0.3%)と2か月連続で上昇した。内訳を見ると、鉱業は+0.2%(+0.3%)と原油高を背景に石油・ガス採掘が活発化したため2か月連続で上昇した。一方、公益は+0.5%(+0.1%)と同月の高気温を背景に前月水準を上回った。また、製造業は+0.2%(+0.3%)と2か月連続で上昇するなど、持ち直しの動きが続いている。製造業の内訳を見ると、コンピュータ・電子製品が+1.9%(+0.5%)と7か月連続で上昇するなど、AI関連需要が全体を押し上げた。また、一般機械は+0.8%(+0.1%)と4か月連続、航空宇宙・その他輸送機器は+1.4%(+0.6%)と6か月連続でそれぞれ上昇するなど、設備投資減税を背景に資本財が堅調に推移している。一方、自動車・同部品は-2.1%(+1.2%)とこれまでの反動もあり4か月振りに低下したほか、化学も-0.2%(+0.7%)と前月水準を下回った。先行きに関して、緩やかな持ち直しが持続すると予想するものの、その動向は中東情勢を巡るサプライチェーン正常化の行方、及びAI関連需要の持続性に大きく依存するだろう(詳細は「米国:高い不確実性の中、7月鉱工業生産は拡大継続」)。
7月住宅着工
7月住宅着工は年率123.9万戸(6月:141.5万戸)と大幅に減少した(前月比-12.4%;6月:同+19.7%)。前月の大幅増からの反動が現れたものの、住宅着工はその水準でみてもローン金利の高止まりを背景に停滞している。7月の内訳を見ると、集合住宅が-16.8%(6月:+76.8%)と前月の反動もあり南部や中西部で大幅に減少した。一方、戸建住宅は前月比-9.9%(+0.9%)と減少し、2022年11月以来の低水準となるなど、在庫積み上がりもあり軟調に推移した。この間、住宅着工に先行する住宅建設許可件数は年率143.3万戸(137.4万戸)と3か月振りに増加した。先行きの住宅市場に関して、これまでの買い控えからの反動が現れる可能性があるものの、移民抑制による労働力不足(供給不足)等が回復を抑制する懸念に警戒が必要だろう。また、住宅ローン金利はFRBによる累積的な利下げを通じてピーク時からは低下したものの、中長期的には高水準にあるため、需要刺激効果は緩やかに留まると見込まれる(詳細は「米国:増減を繰り返すも基調は低調(26年7月住宅着工)」)。
【経済見通し】
先行きの米国経済は緩やかな回復軌道を保つと予想する。アトランタ連銀のGDPNow(8月18日時点)によると、2026年7~9月期の実質GDP成長率は前期比年率+4.0%(4~6月期:+1.5%)と前期から加速すると見込まれる。個人消費はガソリン価格の鎮静化や株高による資産効果を背景にプラス成長を維持する可能性が高い。また、設備投資はAI関連需要によるソフトウェア開発やデータセンターへの投資がけん引するだろう。
今後の注目点は雇用動向、イラン情勢、AI投資の3点だろう。
まず、7月は予想に反して減少したものの、均してみれば年初来の雇用には持ち直しの兆しがみられており、こうした傾向が今後も持続するかが注目される。雇用者数を産業別にみると、医療・介護産業が高齢化を背景に雇用全体を押し上げる構図が続く一方、データセンター需要を背景に建設業や専門・技術サービスで拡大傾向にある。この間、6月の有効求人倍率(=求人数÷失業者数)は1.04(5月:1.03)と3か月連続で1倍を上回るなど、失業率が急騰する懸念はやや後退している。とはいえ、労働参加率は若年層を中心に低下傾向にあるなど、低採用・低解雇の環境にあるなか、一部の人々が労働市場からやむを得ず退出している懸念がある。
次に、イラン戦争を通じたガソリン価格の動向と消費への影響だ。4~6月期はガソリン価格の急騰が実質賃金を押し下げた一方、減税法案による税還付や株価持ち直しによる資産効果が押し上げ要因となり、結果的に消費は堅調さを保った。7~9月期におけるこれらの要因を巡っては、まず、①原油価格(WTI)が1バレル当たり70~80ドル台前半での推移となる場合、米イラン戦争以前よりは高い水準となるものの、その消費抑制効果は4~6月期と比べれば緩やかに留まるだろう。また、②株式市場は7月に半導体関連銘柄を中心に調整の動きがみられた一方、8月上中旬は持ち直すなど、引き続き資産効果が消費を下支えする可能性がある。
一方、原油価格が100ドルを超える場合、再び実質賃金が大幅なマイナスへと転じる可能性が高まる。こうした状況下において、③減税法案の税還付は4~5月に集中したため、今後は押し上げ効果が徐々に剥落すると見込まれる。加えて、個人貯蓄率は足下で低下傾向にあるなど、実質賃金が停滞する環境において家計が消費を拡大する余地は乏しいだろう。このため、原油価格とガソリン価格の再上昇は個人消費を抑制する最大の懸念となる。なお、11月に中間選挙を控えるなか、トランプ政権は原油価格の再上昇を抑制したい意向が強いとみられるものの、米国とイランの間での協議妥結の兆しがみられないなど、中東情勢を巡る不透明感は強い。
最後に、米国経済の先行きを占う上では旺盛なAI関連需要の持続性が焦点となる。4~6月期実質GDPでは設備投資が大幅に増加した一方、AI関連の情報通信機械では半導体等の供給制約や投資単価の高騰もあり減速感がみられた。先行きにおけるAI投資の持続性を巡っても、膨大な設備投資の収益性への懸念が指摘される。また、消費者の電気代高騰への懸念が強まるなかでの電力確保、或いは建設に際しての電気技師の不足といった供給制約は投資スピートを抑制する要因となる。実際、テキサス州やニューヨーク州では電力代高騰等への懸念を背景に、新規データセンター建設の行政承認を一時停止する方針を示している。なお、AI需要が調整する場合には設備投資への影響のみならず、AI・半導体関連銘柄の株価が軟調に推移するといった逆資産効果を通じて、個人消費にも悪影響を及ぼす懸念が強い。


【金融政策】
7月FOMC(7/28~29開催)
7月FOMC(7/28~29開催)において、FRBは5会合連続で政策金利の据え置きを決定した(3.50~3.75%)。政策決定を巡って、クリーブランド連銀のハマック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、ダラス連銀のローガン総裁の3名が0.25%ptの利上げを主張し反対票を投じた。声明文における景気・物価判断は前回から変更がなかった。すなわち、経済活動は「中東紛争による不確実性の高まりにも関わらず、経済活動は堅調なペースで拡大」、労働市場は「雇用増は労働力人口の拡大と歩調を合わせており、失業率はほぼ変化していない」、物価は「インフレ率は+2%目標と比べて高止まりしている。この背景には供給ショックがエネルギーを含む一部のセクターの物価を押し上げていることがある」と、それぞれまとめられた。
ウォーシュ議長は記者会見において、「(インフレ)目標は2%のみ」や「5年以上続いた高インフレは9週間や単月の緩やかな物価下落で解決できない」と述べ、物価動向を注視する姿勢を強調した。また、AI関連投資を中心に景気の堅調さを指摘する一方、前回会合から全般的な金利が名目・実質ベース共に上昇したと述べるなど、金融市場の調整による引き締め効果が利上げの必要性を低下させた可能性を示唆した。また、「今回の政策据え置きは一時停止(pause)ではなく、経済状況と金融政策目標に対する厳正な審査(rigorous review)である」と主張するなど、暗黙的な利上げシナリオを肯定しなかったほか、先行きの政策に関するヒントは引き続き与えなかった。
8/19公表の議事要旨では、ほとんど(most)の参加者が「関税とエネルギー高の影響が剥落することで、年内にインフレ率が鈍化する」と予想する一方、総じて「インフレ見通しは非常に不透明であり、リスクは上振れ方向に傾いている」と指摘された。具体的なリスクとして、中東情勢を巡るエネルギー価格やサプライチェーンへの影響、或いは長期間の高インフレによるインフレ期待の上昇や賃金・価格設定行動が変化する懸念などが挙げられた。これらを踏まえて、ほとんど(most)の参加者は政策金利の据え置きを支持したものの、複数(several)の参加者は0.25%ptの利上げを主張した。また、多く(many)の参加者は「インフレ率が低下しなければ、金融引き締めが必要になる可能性が高い」と述べたほか、何人か(some;一般的にseveralより多い)の参加者は「金融環境はインフレ率を2%に戻すうえで十分に引締め的ではないかもしれない」と指摘した。
また、様々な(various)参加者が前回FOMCから経済の総合的な評価が変化しなかったと述べたなか、ウォーシュ議長はFOMCの開催回数を年間6回(現在は8回)へ削減することが「FOMCメンバーとスタッフに金融政策の戦略的な論点を検討する時間を与える」と述べるなど、2027年以降にFOMCの開催頻度を減らす可能性を示唆した(詳細は「ウォーシュFRBは金利据え置きも、異例の3人が即時利上げ支持」及び「ウォーシュ議長がFOMC開催回数の削減を検討」)。
FRB高官発言


【トランプ政権】
米イランの戦闘激化
6月17日に米国とイランは戦闘終結に向けた覚書に署名したものの、その後も断続的に両軍の攻撃が生じるなか、8月16日に60日間の協議期間が終了した。両国は覚書の延長を否定しており、今後は戦闘が激化する懸念が浮上している。18日、トランプ大統領は「イランとの協議予定はない」と述べた一方、イランのガリバフ国会議長は軍事行動を強化する可能性を示唆している。この間、ホルムズ海峡の通行船舶数は低水準に留まるなど、依然正常化には至っていない。また、イランとオマーンが同海峡の管理を巡り協議を進めているものの、トランプ大統領は合意内容によってはオマーンへの爆撃を示唆するなど、事態収束の兆しはみられない。
中間選挙
トランプ政権の支持率は就任から低迷が続いている。この背景として、これまでの物価高止まり等の「アフォーダビリティ(生活のゆとり)」に対する米国民の不満のほか、イラン戦争とガソリン高による景気先行きへの懸念が指摘できる。とはいえ、米イランの戦闘終結合意後の原油価格はピークを過ぎており、ガソリン価格の高騰が幾分鎮静化するのであれば、トランプ政権の支持率は多少改善することが見込まれる。
11月中間選挙を巡る賭け市場Polymarketの予測をみると、連邦下院では民主党が勝利する確率が8割を上回って推移している。中間選挙は政権与党への逆風となることが多く、物価高への根強い不満も踏まえると、共和党は接戦選挙区で苦戦を強いられるとの見方が強い。ただ、両党が下院における選挙区割りの恣意的な変更(ゲリマンダー)を進めた結果、従来と投票傾向が大きく変わらないならば、共和党は最大16議席、民主党は最大6議席を獲得できる可能性がある(6月4日付けNBCニュース)。共和党はこうした追い風の下、民主党に大敗することを回避し、下院における議席数の差は小幅に留まるかもしれない。
一方、上院は改選議席(35)に共和党寄りの州が多いものの、トランプ大統領の支持率が低迷するなか、勝利予想は民主党と共和党で拮抗している。なお、民主党が上院を奪取するためには接戦であるメイン・ミシガン・オハイオのほか、共和党優勢とみられるアラスカやテキサスで一つ以上勝つ必要がある。とはいえ、民主党はメイン州でスキャンダルを理由に上院候補の差し替えを強いられたほか、ミシガン州では急進左派のエルサイード氏が予備選で勝利するなど、11月の本選挙において無党派層を中心とした広範な支持を獲得できるのか不透明である。



前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 前田 和馬
まえだ かずま
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: 米国経済、世界経済、経済構造分析
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