賃上げ率は5%超え(連合第1次集計)

~実質賃金は早ければ24年4-6月期にプラス転化も~

新家 義貴

33年ぶりの5%乗せ

連合が公表した2024年春闘の第1回回答集計では、賃上げ率は5.28%と、1991年の5.66%(最終集計)以来、33年ぶりの5%超えとなった。昨年の第1回回答集計値の3.80%と比較して+1.48%Ptの改善となる。13日の集中回答日では満額回答が続出していたことなどから強い結果が出ることは確実視されていたが、それにしても強い結果である。

なお、第1次集計では大手主要企業の回答が主であることから、集計が進むにつれて多少下振れていくことが多い。ただ、昨年のケースでは第1次集計で3.80%、最終集計で3.58%と0.22%Ptの修正にとどまった。微妙なところではあるが、24年春闘では連合の最終集計値でも5%台を確保する可能性が出てきたと言えるだろう。

なお、仮に賃上げ率が5%となれば、ベースアップは3%を超える。ベースアップと所定内賃金の伸びが概ね連動することを踏まえると、足元、共通事業所ベースで+2%程度の推移を続けている所定内給与は、24年度には+3%程度まで加速することが予想される。なお、賃上げは4月にすべて反映されるわけではなく、5~6月にかけて浸透していく形になる。一方、物価については、24年2月に上昇率が大きく高まった後、3月以降は再び鈍化することが予想されている。賃金の実質化に用いられる「持家の帰属家賃を除く総合」がCPIコアよりも伸びが高いことを踏まえても、早ければ24年4-6月期、遅くとも7-9月期には実質賃金は前年比でプラスに転じる可能性が高いだろう。筆者はこれまで10-12月期のプラス転化を予想していたため、プラス転化の時期が前倒しになる形である。

こうした高い賃上げ率は、賃金情勢に注目し続けてきた日本銀行にとって強い追い風だ。中小企業の賃上げの行方を見守るとの選択肢もあるが、大企業でこれだけ盛り上がった以上、中小企業でもこの流れを無視することはできないだろう。また、人手不足感については大企業よりも中小企業の方が強く、人材確保の観点から中小企業でも賃上げがある程度実施される可能性が高いだろう。最終集計の結果を待つ必要性はないとの意見が優勢になる可能性が高い。今回の賃上げ集計結果は、3月会合でのマイナス金利解除を強く後押しする大きな材料である。

新家 義貴


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