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- 【1分解説】米国の国家安全保障戦略(NSS)とは?
米国の国家安全保障戦略(NSS、National Security Strategy)は、同国の安全保障に関する最上位の戦略文書です。2025年12月に公表されたNSSの最大の特徴は、「米国第一」を軸に、西半球(南北米大陸)を最優先とする姿勢を明確にした点にあります。また、価値観や国際秩序より、米国自身の安全と繁栄に直結する利益を重視する考え方が全体を貫いています(資料)。
中国やロシアへの向き合い方にも、その姿勢が表れています。民主主義対権威主義といった価値観の対立は強調されず、両国への強い批判は避けています。一方で、台湾海峡をめぐっては「一方的な現状変更は支持しない」とし、第一列島線(日本列島から台湾、フィリピンを結ぶ防衛ライン)の防衛をめぐり、日本や韓国の名前を具体的に挙げ、防衛費負担の増加を促しています。
欧州については、包摂的な価値観や移民の増加を同盟の弱体化につながるものとして捉え、その行方を不安視する米国の一方的な視点が強調される一方で、実務面では欧州・ロシア間の戦略的安定の回復と、自立した欧州によるNATO同盟の持続性確保に力点が置かれています。
欧州、アジアについて、ともに一見すると「価値観・原則」と「個別判断」との間で整合性を欠くようにも見えますが、そうした矛盾を解消することを重視していない点に、トランプ政権の特徴が表れているともいえます。

関連レポート
・「自由の守護者か、秩序の破壊者か、変貌する米国~Freedom in the World 2025公表、米国の「力の支配」を憂う~」(2025年4月)
この解説は2026年1月時点の情報に基づいたものです。
石附 賢実
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。

